January 30, 2018 / 2:25 AM / 10 months ago

コラム:FRB、物価目標巡る「根本的疑問」に踏み込めるか

[ロンドン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中央銀行の政策論において、従来とまったく毛色の違う考え方が登場してくる歓迎すべき兆しが見える。具体的に言うと、米連邦準備理事会(FRB)の一部当局者が、2%の物価目標の枠組みを修正すべきかどうか思案している。

 1月29日、中央銀行の政策論において、従来とまったく毛色の違う考え方が登場してくる歓迎すべき兆しが見える。ワシントンのFRB本部で2012年4月撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

この論争は今週の連邦公開市場委員会(FOMC)でも続く見通しで、世界の金政策決定に影響を及ぼすだろう。ただし、まだ十分に画期的な内容とは言えないかもしれない。

緩和的でも引き締め的でもない中立金利(自然利子率)の水準は、世界金融危機前に比べて下がっている可能性がある。少なくともFRB当局者は、米国の成長と物価がもっと上向かない一因として、この要因を挙げている。FRBは2015年以降に5回利上げを実施したが、政策金利は10年前の0%程度からようやく1.25─1.5%まで上がっただけだ。今後一段と上昇するとみられるが、次の景気悪化局面でFRBが政策対応できる余地はまだ小さい。BNPパリバのアナリスト陣によると、過去の米景気後退では政策金利は5%ポイントないしそれ以上の幅で引き下げられたのだ。

そこで、物価が最終的にはより急速に上昇するという想定に基づいて1つの提案が出されている。それによると、FRBは、過去に物価上昇率が目標を継続的に上回ったり、あるいは現在のように下回り続けていた場合、それを無視せず、過去の目標からのかい離の埋め合わせに努めるよう求められる。実質的には数年間、物価の水準を着実に切り上げることを目指す方法と言える。

ただこのやり方にはいくつか欠点もある。まず、例えば景気が既に減速しているのに、FRBが過去の物価のオーバーシュートを是正するために引き締めを余儀なくされる場合、経済の変動を増幅させてしまうかもしれない。次に、予想物価の動きも不安定さが増すだろう。基本的な考えを一般に説明するのはより難しくなり、FRBはどれぐらいの期間、物価が目標からかい離するのを許すかを巡って不確実性も生まれる。

ほかに、目標を現在の物価に置くのは変わらないが、物価上昇率を現在幅広く採用されている2%よりも高めるというアイデアもある。しかし2つの方法はいずれも、FRBが今までより長い時間、物価上振れに目をつぶるのを認めるだけに終わるリスクがある。また双方とも、果たして中銀が伝統的な物価指標をそこまで重視するべきかどうかというもっと大きな疑問に果敢に挑戦しているわけではない。

低失業率がインフレを醸成するという昔からの関係性はなお有効なのか、金利が依然として低く株や債券などの資産価格が上昇を続けているのに、消費者物価の上昇ペースが勢いづくまでなぜこれほど時間がかかっているのか、はっきりしない。

本当に好奇心旺盛な中銀当局者なら、物価目標の重要度を下げるべきか、もしくは完全に廃止すべきかどうかを問いかけるだろう。残念ながら、そうなるとFRBや他の主要中銀当局者にとっては、もはや正統な金融政策論の域を超える話になってくるのだろう。

●背景となるニュース

*次回のFOMCは30─31日に開催予定。

*12人の地区連銀総裁は、FRBが現在採用している物価目標の枠組みの変更もしくは詳しい分析を求める声が多数派だ。

*そうした要求は、昨年10月31─11月1日のFOMC以降強まった。議事要旨によると、このFOMCでは2人のメンバーが、物価の伸びが低かった時期の穴埋めのために、FRBが物価上振れを容認できる仕組みを検討するべきだとの考えを示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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