December 16, 2018 / 12:28 AM / in 3 months

コラム:勤続5年で1ヵ月休暇、米企業が「表彰前倒し」に走る訳

[ニューヨーク 10日 ロイター] - かつて米国では、勤続30年を迎えた社員には金時計を贈って表彰したものだった。だが、ハダス・ストレイト氏の場合は違う。

 12月10日、勤続5年での表彰は、シリコンバレーのような、過酷なライフスタイルや終わりのないプロジェクトの締め切りに追われて社員が燃え尽きやすい職場文化で特に広がっている。NYで2014年9月撮影(2018年 ロイター/Shannon Stapleton)

グローバル・コミュニケーション企業アリソン・アンド・パートナーズの上級副社長である同氏は、勤続わずか5年の社員に贈られる1カ月の有給休暇から戻ったばかりだ。数週間、ケープコッドで家を借りて過ごしたという。

ニューヨークに拠点を置くストレイト氏はその間、一度も仕事のメールをチェックしなかったと断言する。

「働かなかったのは子どものとき以来」と同氏は言う。「少し不安だったけど、仕事に戻ったときはリフレッシュしている。心機一転、また仕事をする気になる」

勤続表彰を「前倒し」で受けているのはストレイト氏だけではない。米人材マネジメント協会の今年の調査によると、63%の企業が勤続を表彰して報酬を与えていることが分かった。また、報酬は年間9%増加していた。

勤続5年での表彰は、シリコンバレーのような、過酷なライフスタイルや終わりのないプロジェクトの締め切りに追われて社員が燃え尽きやすい職場文化で特に広がっている。

米ソーシャルメディア大手のフェイスブック(FB.O)は2015年から「リチャージ」プログラムを提供している。勤続5年を経過した社員は「リフレッシュしてリラックスするための連続休暇」として30日を取得することができると、同社の福利厚生担当副社長のTudor Havriliuc氏は説明した。

いったい何が起きているのだろうか。

米国の雇用状況にそのヒントは隠されている。米労働省労働統計局(BLS)によると、失業率は3.7%で歴史的低水準に近づいている。また、全米自営業者連盟(NFIB)が小規模事業主を対象に最近行った調査では、37%が求人を出しても埋まらなかったと回答している。この数字は同調査史上、最も高いという。

同時に、企業は収益を上げ続けるために賃上げには消極的だ。したがって、大規模な賃上げを行うことなく社員を表彰して在籍率を向上させる1つの方法として、勤続報酬があるのだ。

最近では勤続30年、40年の社員はほとんどいないため、働き盛りで、ライバル企業や管理職のヘッドハンターにスカウトされる可能性が最も高い勤続わずか数年の社員を表彰する企業が増えている。

<勤続記念日>

「昨今の労働市場では、求職者よりも仕事の方が多い状況であり、最高の人材を獲得しようとする競争はかつてないほど激しくなっている」と、米人材マネジメント協会の広報担当者、バネッサ・ヒル氏は指摘。「企業は、社員を入社させて働き続けてもらうためにはどのような報酬手当が最も効果的か探しており、勤続報酬を提供する企業が増えている」

勤続5年の社員が享受しているのは長期有給休暇だけではない。

企業が毎月の固定費を節約するのを助ける会社「SIB Fixed Cost Reduction」は、勤続5年の社員に5万ドル(約565万円)という高額の小切手を提供している。

「長期間、同じ仕事を続ける人はもはや少なく、多くの場合は多少の給料アップを求めて転職する。したがってこうした報酬により、転職しなくても今の会社でまだ成長できるし、もっと稼ぐことができると示せる」と、サウスカロライナ州チャールストンに拠点を置く同社のダン・シュナイダー最高経営責任者(CEO)は話す。

ほとんどの企業の場合、社員の在籍期間は2年程度だとシュナイダー氏は言う。法外な額の小切手で社員のやる気を出させることで、同社社員の平均在籍年数は現在4年に上がったという。

もちろん大金を手にした人間は使い道を誤ることもあるため、社員が勤続報酬の現金を不必要なものに使ってしまう可能性もある。

したがって、報酬で得た現金を散財するかわりに、長期的に生活状況を改善させるようなことに使った方がいいだろう。例えば、学生ローンを完済したり、住宅や結婚式の頭金に充てるべきだと、シュナイダー氏はアドバイスする。

また、もし報酬が長期有給休暇の形で贈られる場合、それをきちんと活用すべきだと、前出のハダス・ストレイト氏も助言する。

長期有給休暇の目的は要するに、楽しんで充電し、リフレッシュすることだ。休暇中、5分ごとに仕事のメールをチェックするなら、そうした目的は台無しになり、自身や雇用主を欺くことになるとストレイト氏は言う。

「勤続5年で1カ月の有給休暇をもらったと人に話すと、皆びっくりする。そのようなことは聞いたことがなかったから。休みをもらって、とても長い昼寝をしたような感じがした」

*筆者はロイターのコントリビューターで、個人的見解に基づいて書かれています。

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