August 11, 2018 / 12:18 AM / 2 months ago

コラム:米M&A、足元の破談が告げる市場の曲がり角

[ダラス 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米企業合併・買収(M&A)市場では、いくつかの案件が破談に終わり、強気ムードが曲がり角を迎えたことがうかがえる。

 8月9日、米企業合併・買収(M&A)市場では、いくつかの案件が破談に終わり、強気ムードが曲がり角を迎えたことがうかがえる。 写真はトリビューン・ブロードキャスティングのテレビ塔。カリフォルニア州で7月撮影(2018年 ロイター/Lucy Nicholson)

トリビューン・メディア(TRCO.N)がシンクレア・ブロードキャスト・グループ(SBGI.O)への身売り合意を破棄し、ライト・エイド(RAD.N)はアルバートソンズとの合併を白紙撤回した。それぞれ当局者と株主の反対が直接の理由だ。いずれも表と裏の顔を使い分けるような交渉の進め方が影響したとみられる。ただM&Aの活況が終盤に差し掛かっている点からすれば、筋の悪い取引が成立しないのは当然と言える。

規制当局は、トリビューン買収を目論むシンクレアに対し、承認の条件として放送局を一部手放すよう求めたことが1年3カ月前に判明。シンクレアはこれに合意したが、同社の経営幹部がさまざまな細工を施したため、米連邦通信委員会(FCC)は先月、シンクレアの対応策は「ごまかし」ではないかと疑問を投じた。結果的にトリビューンはシンクレアへの身売りを撤回しただけでなく、契約違反でシンクレアを訴えて10億ドルの損害賠償を要求した。

一方、ライト・エイドとアルバートソンズの合併計画は、ヘッジファンドのハイフィールド・キャピタルが率いるライト・エイドの株主グループによって打ち切りを余儀なくされた。これらの株主が反発したのは、同社のジョン・スタンドレー最高経営責任者(CEO)が合併計画に自分に有利な条項を盛り込んだ点。具体的には、合併完了後にスタンドレー氏を新会社のトップに就けるなどの内容だ。ライト・エイドとアルバートソンズは株主の合意が得られないとみて、株主投票を翌日に控えた8日に合意を破棄した。

他にもM&Aの行き過ぎを示す事例は多い。テスラ(TSLA.O)のイーロン・マスクCEOは赤字続きのテスラを非公開化する計画だが、レバレッジド・バイアウト(LBO)の規模は800億ドル強と過去最大となる見通し。医療保険大手シグナ(CI.N)は3月に薬剤給付管理(PBM)大手エクスプレス・スクリプツ・ホールディング(ESRX.O)に520億ドルでの買収を提案し、「物言う株主」のカール・アイカーン氏の抵抗を受けている。フィフス・サード・バンコープ(FITB.O)によるMBファイナンシャル(MBFI.O)買収といった銀行のM&Aも、株式希釈化分を取り戻すのに時間が掛かり過ぎるなどとして株主が受け入れていない。

企業や彼らの後ろ盾となっている銀行は次から次へと熱狂的なM&A取引を生み出してきた。トムソン・ロイターによると、今年上半期のM&Aは発表ベースで2兆5000億ドルと、前年同期比60%増加した。あまりの好調ぶりにやや浮かれ過ぎなのは明白だ。だから少なくとも一部の株主や規制当局から、企業や銀行を現実に引き戻すような動きが出るのは良い兆しと言える。

●背景となるニュース

*米メディア大手トリビューン・メディア(TRCO.N)は9日、テレビ放送のシンクレア・ブロードキャスト・グループ(SBGI.O)に39億ドルで身売りする合意を破棄するとともに、契約違反でシンクレアを提訴した。「シンクレアが規制上の問題を巡り司法省や連邦通信委員会(FCC)と無用に厳しく長期にわたる交渉を行った」としている。

FCCは7月、シンクレアの情報開示が不十分だとして、合併承認の是非の判断を行政法審判官による聴聞手続きに委ねた。

*米ドラッグストアチェーンのライト・エイド(RAD.N)と米スーパーマーケットのアルバートソンズABS.Nは8日、合併計画の撤回を発表した。ライト・エイドによると、両社とも計画撤回に伴う賠償などの責任は負わない。

議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズ(ISS)は7月に合併計画に反対するよう投資家に勧告していた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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