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コラム

コラム:米マイナス金利、日銀追加緩和などで現実味

[ニューヨーク 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)は昨年12月に利上げに着手したが、米大手銀向け健全性審査(ストレステスト)には米短期債利回りがマイナス化するとの想定を盛り込んだ。欧州中央銀行(ECB)に続き先週末には日銀もマイナス金利を導入し、短期債利回りをゼロ以下に押し下げようとしている。米金利のマイナス化は今のところはまだFRBの想定する最悪のシナリオにすぎないが、現実味のある仮説になっている。

 2月2日、米金利のマイナス化は今のところはまだFRBの想定する最悪のシナリオにすぎないが、現実味のある仮説になっている。写真はイエレンFRB議長。ワシントンで2014年7月撮影(2016年 ロイター/Kevin Lamarque)

健全性審査は金融規制改革法(ドッド・フランク法)で年1回の実施が義務付けられ、2016年審査の前提となるシナリオが先週発表された。シナリオは「基本」、「悪化」、「極めて悪化」の3種類。「極めて悪化」は世界経済が景気後退に陥り、米短期債利回りがマイナス化すると想定している。ただFRBはこうした条件設定はあくまでも仮定のシナリオであり、予想ではないと念を押している。

しかしこうした想定はもはや突拍子もないものには見えない。健全な米労働市場や比較的安定した成長など、FRBの段階的な利上げ路線継続を支持する材料には事欠かない。年率換算で前期比0.7%増と精彩を欠いた第4・四半期国内総生産(GDP)速報値ですら、前年比では1.8%増となる。

ただ見えにくい場所には問題が潜んでいる。世界的な市場の乱高下は、実体経済の動きを映したり、もしくは実体経済に影響を与えない限りFRBにとって問題にならないだろう。しかし刻々と変わるスクリーンの数字は、それ以上に心理的な悪影響が大きそうだ。日銀のマイナス金利導入などでドル高が進み、米国の輸出業者の競争力がそがれる恐れがあるのも懸念材料だ。

いずれにせよ新たな景気後退が起きればいずれ米国にもおよび、米国債利回りがゼロ以下になるかどうかにかかわらず、マイナス金利はFRBの政策判断で魅力的な選択肢になるかもしれない。イエレン議長などFRB当局者がそのときまでに十分な幅の利上げを実施できていなければ、政策金利をゼロに引き下げるだけでは十分な効果が得られないだろう。

イエレン議長は昨年11月に下院金融サービス委員会の公聴会で、仮に米経済が悪化に転じればマイナス金利導入などあらゆる策を検討すると述べた。米経済の悪化時点までに、ECBや日銀などが預金に手数料を課す政策にはたとえ小さくとも効果があると証明していれば、マイナス金利はFRBにとって最悪のシナリオから通常利用する政策対応手段に変わるだろう。

●背景となるニュース

* 米連邦準備理事会(FRB)は1月28日、金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づき米大手行を対象に年1回実施する健全性審(ストレステスト)の前提となるシナリオを公表した。

*FRBの「包括的資本分析およびレビュー(CCAR)」によると、3つのシナリオのうち最悪のケースでは、世界経済が景気後退に陥り、企業財務にストレスが掛かって、米短期国債の利回りがマイナスに陥ると想定した。

*日銀は1月29日、マイナス金利の導入という予想外の追加金融緩和に踏み切った。

*FRBの発表は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。

1.usa.gov/1nS0MiW

*CCARのシナリオは以下のアドレスをクリックしてご覧ください。

1.usa.gov/205WdNW

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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