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コラム:北朝鮮の核を封じ込める3つの方法
2017年7月1日 / 02:33 / 3ヶ月前

コラム:北朝鮮の核を封じ込める3つの方法

 6月29日、米国のドナルド・トランプ大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮の核を巡る「現実」に向き合わなければならない。それは、北朝鮮は核開発を放棄しないということだ。写真中央は、北朝鮮の指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長。5月、KCNA提供(2017年 ロイター/KCNA/via REUTERS)

[29日 ロイター] - 米国のドナルド・トランプ大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮の核を巡る「現実」に向き合わなければならない。それは、北朝鮮は核開発を放棄しないということだ。

米韓首脳は、北朝鮮の指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長による核兵器構築を阻止するとの非現実的な努力はあきらめ、その使用を阻止するということに重点を置く必要がある。

制裁と軍事的威嚇では北朝鮮が動じないという事実を、トランプ大統領は受け入れなければならない。文大統領も、金正恩氏が核兵器開発と自身の生き残りを同一視する限り、韓国による経済・政治面での「太陽政策」は効果がないということを受け止めるべきだろう。

米国政府はまた、危機があまりに深刻で他の選択肢が残されていない場合を除き、軍事行動は除外すべきである。1981年と2007年にそれぞれイラクとシリアの原子炉を破壊したようなイスラエル型の空爆が成功するには、北朝鮮は核開発プログラムを先に進め過ぎており、多くは秘密裏に行われている。

北朝鮮の核兵器を破壊するため、米国が軍事侵攻を行うことによってもたらされる破壊行為は、朝鮮半島の大半に及び、大勢の韓国人が犠牲となる可能性がある。

幸いにも、核時代の歴史は、そのような事態が起こらないようにするためのヒントを与えてくれる。要するに「封じ込め」だ。

封じ込めには労力を要する。成功させるには3つの要素が必要だ。

1つ目は抑止である。米国とソ連、インドとパキスタンなど、核保有国のあいだで緊張が高まった際、核戦争というアルマゲドンが起きるリスクは、核ボタンを押すことへの圧倒的な抑止となることが証明された。

朝鮮半島にとっての教訓は、米国が1991年に撤収した核兵器を韓国に戻すことだ。もしそれが政治的にあり得ないなら、北朝鮮が核を使用したり、重大な核の脅威を引き起こしたりする場合、米国は北朝鮮を、外国の核戦力の支援を受けて壊滅させるという確固たる政策を打ち出すべきだ。

2つ目は、戦争のリスクを一段と低下させる対策を確立し、冷戦時代のような態度で臨むことだ。

それは、韓国・北朝鮮と米国とのあいだで即時にコミュニケーションを取ることを可能とするような、南北間の復活したホットラインに米国も加わるような対策である。米国と北朝鮮にそれぞれ連絡事務所を設置できれば、なおさら良い。

 6月29日、米国のドナルド・トランプ大統領(右)と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領(左)は、北朝鮮の核を巡る「現実」に向き合わなければならない。それは、北朝鮮は核開発を放棄しないということだ。ワシントンで撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

大規模な米韓合同軍事演習と北朝鮮による軍事的威嚇を減らすといったように、朝鮮半島の軍事境界線の両側において軍部隊と重火器を実証可能なほど削減することは、奇襲への懸念を和らげてくれる。選択肢は多岐にわたる。米国は、中国や他の第3者を通じて、北朝鮮の関心を利用するといった試験的な試みを始めることも可能だろう。

3つ目は、危機管理である。核兵器を手にした北朝鮮が事実上、韓国政府を辱めるため、あるいは脅すために韓国海軍の艦船を沈没させるような事件を頻繁に引き起こすようになるのかは判断しがたい。もしそのような事態に及んだ場合は深刻な緊張状態が生まれ、エスカレートするのを阻止することが何よりも重要となる。

予想外な出来事によって当事国が戦略に奔走したキューバ危機や1969年の中ソ国境紛争とは異なり、朝鮮半島で危機が発生することはあり得る話だ。米国と韓国が危機に応じるべく軍事作戦の手はずを整えることは間違いないが、過去の核危機から判断すると、米国は外交的な準備不足に陥る可能性がある。

この点においても、米国は歴史から教訓を学ぶことができる。

もし危機がコントロール不能に陥りそうな場合、米国には準備が整った調停役が必要となる。インドとパキスタンのあいだで度々起きている危機において、米国による調停が非常に重要な価値のあることが証明された。北朝鮮に関して言えば、有事の際には中国が調停役として働く用意があるかどうか、米国は中国と話し合うべきだ。

次に、トランプ大統領と文大統領は、可能な解決策を提案するため、第3者をパイプ役として活用することができるだろう。キューバ危機では、ソ連はモスクワを訪れていた米国のビジネスマンと、ワシントンのABC記者を裏のパイプ役として利用していた。一方、当時のケネディ米大統領は弟のロバート・ケネディ司法長官に、駐米ソ連大使だったアナトリー・ドブルイニン氏に圧力をかけさせた。

北朝鮮の場合、米国は民間レベルのいわゆる「トラックII外交」のなかで経験豊富な元当局者に協力を求めることも可能だ。あるいは、大統領経験者のような人物に、非公式に「許可」を与えることもできるだろう。1994年に米国が北朝鮮の寧辺核施設爆撃を検討した際、当時のビル・クリントン大統領は、北朝鮮と接触するため、ジミー・カーター元大統領に白羽の矢を立てた。

最後に、解決策を探るため、敵対国の首都に政府の最高幹部クラスを送り込むことだ。1969年の中ソ国境紛争では、衝突を食い止める最後の試みとして、ソ連はアレクセイ・コスイギン首相を北京に派遣した。そして、それは功を奏した。

北朝鮮に核を保有させないという考えは幻想にすぎない。核保有国としての北朝鮮とうまくやっていく対策を講じる時期に来ている。その仕事に、すぐにでも取り組もうではないか。

*筆者は米ジョージ・H・W・ブッシュ政権下の国務省政治・軍事局で政策アナリストを務めた。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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