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コラム

コラム:米国株、国債に比べればなお割高 底値はまだ先か

[オーランド(米フロリダ州) 25日 ロイター] - 米国株のバリュエーションはことし急低下したが、低落した米国債に比べれば株は依然として割高であり、投資家は株価が底を打つのはまだ先だと感じている。

 米国株のバリュエーションはことし急低下したが、低落した米国債に比べれば株は依然として割高であり、投資家は株価が底を打つのはまだ先だと感じている。写真はニューヨーク証券取引所前で2021年3月撮影(2022年 ロイター/Brendan McDermid)

主要なバリュエーション指標を見ると、株式の割高度合いは数年ぶりの水準に達しており、一部指標では2007年以来で最も大きくなっている。マルチアセット戦略を採る投資家にとっては、債券の比率を高めるべきだというシグナルが発せられている状態だ。

S&P500種総合指数が年初から20%下落して株価収益率(PER)が長期平均を下回ったことで、株価は底を打ったとの期待も生じている。しかし債券との競争が厳しさを増している点を考慮すると、状況は変わってくる。

トゥルイストのキース・ラーナー共同最高投資責任者(CIO)は「債券の株式に対する競争力は、少なくとも過去10年間で最も高い」と言う。

ニューバーガー・バーマンのマルチアセット・クラス・ポートフォリオのエリック・ナッツェンCIOも「この環境下では、リスク調整ベースで見て債券の方が株式よりも魅力的だと考えている」と述べた。

<ギャップに注意>

S&P500種の益回りと10年物米国債利回りの差は、ここ数週間で2.18%ポイントまで縮小し、2007年以来の最低水準となった。

「株式リスクプレミアム」と呼ばれるこの差は、最も安全な資産とされる米国債ではなく、一般に価格変動リスクの高い株式を買う投資家への「報酬」と見なされる。

しかし今年は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ退治のために40年ぶりの急激なペースの利上げを行っているせいで報酬が減っている。S&P500種の益回り(PERの逆数)は年初から約200ベーシスポイント(bp)上昇したが、10年物米国債利回りの上昇幅はさらに大きく、約270bpに達しているからだ。これは1950年代初頭以来で最も大きな上昇幅となる。

つまり、S&P500種のバリュエーション自体は低下して株の魅力は増したが、米国債のバリュエーションの方がさらに魅力的だということだ。

S&P500種の配当利回りと米国債利回りを比べても、似たような状況が見えてくる。10年物米国債利回りが4.23%前後なのに対し、配当利回りは約1.75%だ。約2.5%ポイントというこの差は、2007年以来で最も大きい。

<株式60%/債券40%>

株式を60%、債券を40%組み入れる伝統的なポートフォリオを組んでいる投資家は今年、大きな痛手を被っている。24日時点でS&P500種は年初来20%、ICE・BofAアグリゲート米国債指数は同15.6%、それぞれ下落しているからだ。

トゥルイストの計算では、典型的な「60/40」ポートフォリオは年初から18%の損失を出しており、データが取られ始めた1926年以来で4番目に悲惨な年となりそうだ。

バンク・オブ・アメリカのストラテジストによる推計はもっと厳しく、典型的な「60/40」ポートフォリオのリターンは今年、過去100年で最悪となる見通しだ。

とはいえ、過去には債券の方が魅力的でも株価が大幅上昇した例はある。FRBが計425bpの利上げを行った2004年6月から06年6月にかけて、S&P500種の益回りと10年物米国債利回りの差が200bpを超えることはほとんどなく、100bpを下回る場面さえあった。それでもS&P500種は約20%上昇したのだ。

もっとも、現在と当時では重要な違いがある。つまり現在は実際にインフレが起こっており、当時のグリーンスパンFRB総裁による「慎重なペース」の利上げに比べ、ずっと急激に金利が引き上げられている。

当時はS&P500種の予想PERが2年間で約16.5倍から13.5倍へと、徐々に低下した点にも留意が必要だ。現在の予想PERは15.3倍と、年初の約22倍から低下しているが、株式の魅力が債券を上回るには、さらに低下する必要がありそうだ。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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