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コラム:米税制改革、共和党が「原則」捨てても実現を急ぐ理由
2017年12月4日 / 02:17 / 9日前

コラム:米税制改革、共和党が「原則」捨てても実現を急ぐ理由

Gina Chon

12月2日、米上院共和党は、税制改革を早期に実現したいがために自らの原則を放り出そうとしている。写真左は、ミッチ・マコネル上院院内総務。ワシントンで11月撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米上院共和党は、税制改革を早期に実現したいがために自らの原則を放り出そうとしている。上院は2日に税制改革法案を可決したが、その直前に財政赤字を巡る懸念や過度に富裕層寄りの性格を覆い隠すためのいくつかの修正が行われた。下院で既に可決された内容が異なる税制改革法案との一本化がこの先には待っている。

しかし、ロシアの米大統領選干渉疑惑に関する捜査がいよいよトランプ大統領の最側近グループに波及する状態になってきたことから、共和党としてはこれまで以上に政治的な成果を必死で示さなければならない状況に置かれている。

ミッチ・マコネル上院院内総務らの共和党指導部は、税制改革法案の採決前ぎりぎりの段階でさまざまな譲歩策を盛り込んだ。

かつて共和党の代名詞だった財政赤字への警戒姿勢は、経済成長が想定に届かなかった場合に自動的に増税するという案がルール違反と分かった後はほとんど放棄されてしまった。両院税制合同委員会によると、経済成長が税収に及ぼす効果を考慮に入れたいわゆる「ダイナミック・スコアリング」に基づく推計でさえ、上院案は今後10年で1兆ドルの赤字増加をもたらす。

かと思えば法案賛成を保留していた議員をなだめるためのいくつかの措置が講じられた。例えば企業が本国に還流する利益への課税率は引き上げられ、代替ミニマム税は個人向けが変更されるものの企業向けは現状維持とされた。同時に不動産地方税の控除は上限1万ドルのままとなり、パートナーシップなどのパススルー企業向け税制優遇は拡大している。下院案で撤廃している医療費の控除も引き上げられた。

これは下院案とのすり合わせが不可欠な項目の1つ。そのほか下院はすべての減税を恒久化した半面、上院は個人所得減税を時限措置としている。課税区分やパススルー企業の税制優遇、代替ミニマム税を巡っても違いがある。

上院が税制改革案を可決する前には、フリン前大統領補佐官がロシア問題で連邦捜査局(FBI)への偽証を認めた。フリン氏は大統領選において最も早期かつ熱心にトランプ氏を支持した人物の1人であり、モラー特別検察官の捜査に協力すると決断したことで、トランプ氏が抱えるリスクは高まった。ただしこうしたロシア問題を巡る情勢は今のところ、トランプ氏が掲げる経済政策の目玉である税制改革を煽り立てる役割を果たしつつある。

●背景となるニュース

*米上院は2日、法人税率を35%から20%に下げることなどを柱とする税制改革法案を可決した。財政赤字を懸念する議員を説得するため、企業が本国に還流する利益への課税率を流動性資産は当初案の10%から14.5%に、非流動性資産は5%から7.5%に引き上げた。いずれも下院案よりやや高い。代替ミニマム税は個人向けを変更する一方、企業向けは手を付けない。下院案は企業向けを撤廃している。

*スーザン・コリンズ上院議員は、上限1万ドルの不動産地方税の控除を維持するという共和党指導部の譲歩も引き出した。他のすべての地方税の控除は、下院案と同じく撤廃する。両院税制合同委員会は11月30日、ダイナミック・スコアリングの下で上院の税制改革法案は今後10年間で財政赤字を1兆ドル膨らませるとの見通しを示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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