September 10, 2018 / 12:20 AM / 13 days ago

コラム:米賃金上昇、「偉大さ」取り戻すにはなお力不足

[ワシントン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国の賃金に関する足元のデータは前途に希望を抱かせるが、まだかつての素晴らしさを取り戻せていない。8月の雇用者数は力強く増加し、平均時給は前年比で2.9%増と、2009年以来の高い伸びになった。問題はそれでも、かろうじて物価上昇率に追い付く程度にとどまっていることだ。

 9月7日、米国の賃金に関する足元のデータは前途に希望を抱かせるが、まだかつての素晴らしさを取り戻せていない。ニューヨーク州で2014年10月撮影(2018年 ロイター/Shannon Stapleton)

長らく続いている米景気回復において、賃金の大幅な伸びはずっとその部分だけが欠落した要素だった。失業率が非常に低い(8月は3.9%)からこそ、特に悩ましい状況となっている。そして確かに8月の平均時給の著しい増加は心強いのだが、7月の消費者物価指数(CPI)も前年比上昇率が2.9%に達していた。

野党・民主党は、この賃金の伸び悩みを11月の中間選挙の争点にしている。10日からの週には、バイデン前副大統領とジルブランド上院議員が、米国の労働者の賃金をどうやって引き上げるかを話し合う集会に参加する。

トランプ政権はこうした民主党のメッセージへの反論を試みている。5日には大統領経済諮問委員会(CEA)が、従来の賃金計算方法は、医療保険などの福利厚生を考慮に入れていないので、実態を過小評価していると論じた報告書を公表した。政権側はCEAの新たな計算方法なら、既に発表された家計の年間平均所得が1000ドル強上振れすると主張し、自分たちの成長重視政策の成果だとアピールする材料にしている。

トランプ大統領や与党・共和党の他のメンバーからは、昨年成立した税制改革に基づく法人減税によって、家計所得も今後2年で2000ドル、4年では4000ドル増えるとの見通しも示されている。

しかしタックス・ポリシー・センターによると、5つの区分で最も低い所得層のうち、今年減税を受けられるのは27%にすぎず、大半の課税額は実質的に変わらない。

また多くの米国民は暮らし向きが良くなったとは感じていない。8月に明らかになった調査では、45%が過去2年間で懐具合が良くも悪くもなっていないと答え、17%は懐具合が悪化したと話した。

米経済は良好な状態で、減税は少なくとも一時的な押し上げ効果をもたらすだろう。賃金上昇も適切な方向にある。とはいえ、米国の労働者はなお、その恩恵に浴していると言えるほど金銭的に豊かになってはいない。

●背景となるニュース

*米労働省が7日発表した8月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が20万1000人増となり、失業率は横ばいの3.9%だった。ロイターがまとめたエコノミスト予想は19万1000人増。

平均時給は0.10ドル増の27.16ドルで、前年比2.9%増と、2009年6月以来の高い伸びを記録。労働参加率は小幅低下して62.7%になった。

*専門職・企業サービスは5万3000人増、ヘルスケアは3万3000人増。6月と7月の非農業雇用は5万人下方改定され、6─8月平均の増加幅は18万5000人となっている。

*大統領経済諮問委員会(CEA)は5日、従来の賃金計算方法が対象範囲をあまりにも限定していると論じた報告書を公表。公式データには賞与や医療保険などが含まれていないと指摘した。従来のやり方で算出された昨年第2・四半期から今年第2・四半期までの実質賃金はほぼ横ばいだったが、これらの要素を加味した税引き後実質平均報酬は1.4%増加したという。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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