July 22, 2015 / 8:07 AM / 4 years ago

コラム:高まる「大戦」の脅威、米国が備えるべき兵器は

[20日 ロイター] - テロ行為や中東での内乱が続く21世紀の世界において、米国は、前世紀を形づくった深刻な国家安全保障への懸念に再び直面することを理解しなければならない。つまりそれは、大国同士の衝突が起きるリスクを意味する。

 7月20日、テロ行為や中東での内乱が続く21世紀の世界において、米国は、前世紀を形づくった深刻な国家安全保障への懸念に再び直面することを理解しなければならない。写真はF35戦闘機。ネバダ州の空軍基地で2013年4月撮影。米空軍提供(2015年 ロイター)

米国防総省は今月公表した国家軍事戦略のなかで、中国やロシアを安全保障を脅かす国として挙げ、第1次・第2次世界大戦のような大国同士の大戦が勃発する可能性は「高まっている」と指摘した。

米中がアジア太平洋地域で軍拡競争を行う一方、北大西洋条約機構(NATO)はロシアによるクリミア併合後に厳戒態勢を再び強化している。米軍制服組トップの統合参謀本部議長に指名されたダンフォード海兵隊司令官は、最近出席した上院軍事委員会の公聴会で、安全保障上の最大の脅威は、過激派組織「イスラム国」ではなく、ロシアだと明言している。

しかしながら、米国の国防体制は過去に片足をまだ突っ込んだままであり、未来へは足を踏み入れたばかりだ。国防総省はこうした脅威の新たな組み合わせに対処するため、軍事刷新については主張するものの、依然として過去の危険な妥協に縛られた高額な兵器プログラムに固執している。そのような兵器システムは現在の戦闘でうまく機能しないばかりか、敵に対する米国の脆弱性が高まる恐れがある。

このような古い考え方がもたらす危険は、軍事サイト「War Is Boring」に掲載されたテストパイロットの報告が如実に物語っている。同報告によると、最新鋭ステルス戦闘機F35は模擬戦闘において、40年前のテクノロジーを使用するF16に劣り、至近距離での空中戦で持ちこたえることができなかったという。

国防総省とF35を製造するロッキード・マーチンは同報告に異議を唱えなかったが、同機は接近戦の必要がないため、テストは公正を欠くものだと主張した。

興味深いのは、約半世紀前にも同じようなことがあったことだ。F4戦闘機は当初、機関砲は装備されずに戦地へと派遣された。なぜなら、空対空ミサイルの新時代到来で接近戦は過去のものになると、国防総省が楽観していたからだ。その結果、F4は北ベトナム軍の旧式なミグ戦闘機に接近戦で撃墜された。その後、F4には機関砲が装備され、米海軍は接近戦を想定した戦闘機パイロットのエリートを養成する海軍戦闘機兵器学校、通称トップガンを設立するに至った。

<「神頼み」はやめよ>

国防総省はこのように、最善の結果を期待する「神頼み」的な計画をいまだに繰り返している。例を挙げると、海軍は試験航行で実戦では「生き残れない」とされた軍艦を4億7900万ドルかけて購入している。一方、空軍の新型空中給油機KC46は、「中程度の脅威」を超える環境への防衛システムを持たない。ここでも国防総省は、戦艦や軍用機が当初想定した戦闘とは違う状況に陥らないよう願っているのだ。

だが、米防衛計画は常に最悪の日を想定しておくべきである。先のF35の模擬接近戦を例に見てみよう。国防総省は、F35にはまだセンサーが完備されておらず、機体の表面も完成されたものではなかったとして、テストの失敗は現実的ではないとしている。しかし実際には、これら指摘された「欠陥」は正しいテストなのかもしれない。

テクノロジーは、戦争で不測の事態が起こり得るという事実を変えることはできない。戦闘機の部品は、大国同士の衝突という究極の戦闘状況においては計画通りに機能しない可能性がある。もしくは敵によるハッキングや電波妨害で、パイロットが実力を発揮できないこともあるだろう。繊細なステルス戦闘機が、被害を受けた飛行場からうまく離着陸できないことも起こり得る。

このような問題は、米国政府が新たなテクノロジーと結びつけて連想しがちな理想の戦いによって引き起こされるだけではない。新しいテクノロジーはあらゆる問題を解決できるという考えのせいでもある。

2001年に発売された米ゼネラル・モーターズの自動車ポンティアック「アズテック」に例えると分かりやすいだろう。同車はスポーツカーであり、ミニバンであり、SUV(スポーツ用多目的車)であるというすべての役目を果たそうとした結果、過剰に機能が搭載され、価格も高過ぎた。

似たような特性が現在、国防総省の多くの兵器プログラムで見て取れる。当初はあらゆるタイプの戦争に万能だとされていたが、結局そうではないことが露呈した。

最新の国家軍事戦略に明記されているように、もし米軍が他の大国の軍隊と交戦しなくてはならなくなった場合、「結果は計り知れない」だろう。

そうなった場合の結果は、単に大きな危険を被るだけでは済まされない。ばく大な損失、そして恐らくそれは失敗を意味する。さらには、次世代の米兵器システム開発担当者にも重くのしかかってくるだろう。現状のプログラムや考え方を維持することは、予算の問題だけでなく、現代の比較的小規模な戦争での苦労をはるかに超える軍事的損失を受けるリスクを冒すことになる。

<次世代への投資>

変革しなければ、中国のような敵対国が対等に、もしくは軍事的優位に立つ日が遠からず来ることになるだろう。国防総省と米議会、そして防衛産業にとっての課題は、そのストーリーを書き換えることだ。失敗にさらに金をつぎ込むことはやめなくてはならない。

新世代の無人の陸海空システムへの投資に加え、国防総省は、海軍の電磁加速砲(レールガン)や新しいレーザーシステムなど、戦況を一変させるような革新的兵器の開発も推進し続ける必要がある。多くの予想よりも早く、量・質ともに米軍事力に匹敵するようになるとみられる中国のような国と戦うには、長距離空対空ミサイルなどが極めて重要となるだろう。

すでに新たな競争は始まっている。中国は現在、3つの異なる長距離ドローン攻撃プログラムのほか、新たな大型ドローンをテストしている。この大型ドローンは、国防総省が投資しているステルス戦闘機を検知する可能性があるという。

大国同士の競争というリスクが高まっているだけでなく、米国が正しく計画を立てられるかにも未来はかかっている。平時では、「神頼み」的なやり方でメディアの批判などはかわせるかもしれない。だが戦時においては、米国が耐えられないような失敗を招くリスクを冒すことになる。

*筆者のシンガー氏とコール氏は、近未来の設定で米中戦争を描く「Ghost Fleet: A Novel of the Next World War」を共同執筆。シンガー氏は21世紀の戦争が専門で、ニューアメリカ財団のシニアフェロー。コール氏は大西洋評議会(アトランティック・カウンシル)でシニアフェローを務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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