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コラム:米銀ストレステスト、全行合格で効力に陰り
2017年6月23日 / 05:18 / 5ヶ月後

コラム:米銀ストレステスト、全行合格で効力に陰り

[ワシントン/ニューヨーク 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)は22日、今年のストレステスト(健全性審査)の第1次審査の結果を公表し、対象となった米銀34行が全て合格した。来年の審査では、オペレーショナルリスクなどの側面で要件が緩和されそうだ。

 6月22日、米連邦準備理事会(FRB)は、今年のストレステスト(健全性審査)の第1次審査の結果を公表し、対象となった米銀34行が全て合格した。写真はワシントンにあるFRBのビル。2016年撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

銀行が投資家への積極的な利益還元を望めば、FRBは今後、ストレステストの繰り返しでは銀行のこうした動きを阻止できなくなるかもしれない。

ストレステストは大手行のバランスシートを点検し、先の世界金融危機のような深刻な事態を乗り切る体力があるかどうかを調べるもので、導入から7年が経過した。審査のプロセスはなお非公開だが、それでも銀行は既にFRBの意図を飲み込んだ。

改善は順次進んでいる。銀行は10年前の「グレートリセッション」の時代と比べて安全の度合いが格段に上昇。最大手行のリスクベースの自己資本比率は2009年には5.5%だったが、今年は12.4%へと2倍以上に高まった。大手行はキャッシュや、売却が容易な証券の保有を増やすことも義務付けられた。今回の審査では、最悪のシナリオを想定した場合でも審査対象となった34行の普通株式等Tier1自己資本比率は平均9.2%となり、必要最低基準の4.5%の2倍以上に達した。

こうした動きを背景に、ストレステストで使われている面倒な前提条件の一部が今後数年のうちに緩和される可能が高い。また対象行は資産規模500億ドル以上の銀行に限定されるかもしれない。現在はバランスシート上の資産が100億ドルを超える銀行はいずれも追加規則の適用対象となっている。ただ、当初の審査結果発表の対象は大手行34行に絞られている。米財務省は緩和の動きに加え、銀行に審査プロセスの情報をより多く開示することも支持している。

さらには、FRBが銀行のオペレーショナルリスクを見極める質的な点検を審査から外すことも検討されている。ただ、質的な審査は銀行が慢心していないかどうかを点検する重要な手段で、銀行に軌道修正を求める手立てでもあり、FRBは過去に実際に銀行にこうした要求を突き付けてきた。ストレステストがあまりにも容易にクリアできるようになれば、銀行は自分で自分にお墨付きを与えて、また自由に振る舞うようになるだろう。こういう流れは大抵は良い結果を生まないものだ。

●背景となるニュース

・米連邦準備理事会(FRB)は22日、米銀34行を対象とした今年のストレステスト(健全性審査)の第1次審査の結果を公表。普通株式等Tier1自己資本比率4.5%の資本要件を全行が満たした。各行は、米失業率が現在の2倍以上の10%に上昇し、世界的な景気後退が発生するという厳しい想定においても十分な自己資本を有していると示さなければならなかった。

・審査の第2部に当たる包括的資本分析(CCAR)の結果発表は28日。CCARには銀行の資本計画の承認が含まれ、銀行側は承認を受けないと配当金支払いや株式買い戻しなどが実施できない。CCARには経営リスクの把握など主観的な基準が含まれており、これまでの審査では株主還元を阻まれる銀行も出ている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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