Reuters logo
コラム:ビザとマスター、中国参入で浮かれるのは尚早
2015年7月28日 / 04:16 / 2年前

コラム:ビザとマスター、中国参入で浮かれるのは尚早

[香港 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ビザ(V.N)とマスターカード(MA.N)による中国での挑戦が始まろうとしている。中国は7兆ドル規模に及ぶクレジット・デビットカードの清算業務を外資に開放する。

 7月27日、ビザとマスターカードによる中国での挑戦が始まろうとしている。中国は7兆ドル規模に及ぶクレジット・デビットカードの清算業務を外資に開放する。写真はマスターカードのロゴ。北京で昨年10月撮影(2015年 ロイター/Jason Lee)

しかし両社が市場参入を果たしたとしても、盤石の地位を誇る既存勢力との闘いが待っている上、オンラインの世界からもアリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)のような予想外のライバルが出現するだろう。中国政府が昨年10月に清算業務開放の計画を発表して以来、両社の株価は急伸したが、浮かれるのはまだ早そうだ。

中国で発行された銀行カードは今年第1・四半期時点で約50億枚に上る。これらのカードを用いた支払いは現在、政府系の中国銀聯(ユニオンペイ)を通じた清算が義務付けられており、同社が銀行と商店の間の処理・清算手続きを一手に引き受けている。この状況に変化が生じる。中国人民銀行(中央銀行)は6月1日、中国銀聯と競合する清算ネットワーク設立の申請を国内外の法人から受け付け始めた。

ビザとマスターカードにとって、2020年までに世界最大のカード市場になると見込まれる中国での清算業務参入は魅力的だ。今後10年間でクレジット・デビットカード利用の消費支出が年率20%ペースで伸びると想定すると、2024年までに中国でのカード決済は42兆ドルを超える。

しかしカード手数料は厳しく規制されており、西側諸国の水準を大幅に下回る。バークレイズによると、例えばスーパーマーケットは支払い1件ごとに0.38%前後、レストランおよび高級品販売店は最大1.25%の手数料を支払っている。手数料の70%はカードの発行銀行に、20%は加盟店が利用する決済代行業者に渡り、中国銀聯が受け取るのは10%にすぎない。これに対し、米国でマスターカードがスーパーマーケットに課す手数料は最大1.48%に達する。

中国のカード手数料率を平均0.5%と仮定すると、ビザとマスターが合計10%の市場シェアを獲得した場合、それぞれの社の清算ビジネス収入は2025年時点で11億ドルとなる見通しだ。両社とも既に中国の銀行と強力な関係を結んでいるが、異なる清算ネットワークへの切り替えを店舗に説得するのは骨が折れるだろう。iリサーチによると、小売店が現在最も多く利用している決済代行業者は中国銀聯の傘下企業で、2013年時点の市場シェアは4割だ。

オンライン企業の存在も不透明感に輪を掛ける。事情に詳しい複数の筋によると、アリババの決済子会社アリペイも清算業務ライセンス認可を申請している。アリペイなら顧客がカードを使う必要がないため中国銀聯を介さずに済む上、小売店舗に課す手数料も低い。iリサーチによると、オンライン決済は昨年時点で1兆3000億ドルとまだ規模が小さいが、今年は45%増加する見通しだ。中国政府が新規則を発表して以来、ビザとマスターの株価は上昇して時価総額は340億ドルと220億ドル、それぞれ増加した。この興奮ぶりはぬか喜びに見える。

●背景となるニュース

*6月1日以降、企業は外資、国内系を問わず、中国人民銀行に銀行カード清算事業のラインス取得を申請できるようになった。以前はビザやマスターカードは独立系の清算ネットワーク設立を禁止され、中国銀聯を通すしかなかった。

*中国国務院の規則草案によると、企業は人民銀と銀行監督当局が定める一定の基準を満たす必要がある。例えば登録済み資本金が10億元(1億6000万ドル)を超え、3年連続で黒字であることなど。外資系企業は申請前に国内法人を設立する必要もある。

*規則草案へのパブリックコメントは8月3日まで受け付けられる。

*人民銀によると、昨年のクレジット・デビットカード支払いは42兆3800億元(6兆8400億ドル)で、前年比33%増えた。

*国務院は昨年10月29日、カード清算市場を開放すると表明していた。当時から7月23日までにビザ株は34%、マスター株は25%上昇し、FTSE・USA金融サービス指数の13%上昇に対してアウトパフォームした。

*人民銀の草案(中国語)は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。

bit.ly/1Ko83zX

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below