June 2, 2018 / 12:47 AM / 5 months ago

コラム:ボルカールール修正案で露呈、FRBの慎重姿勢

[ワシントン 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)が30日公表したボルカールール修正案を見ると、パウエル議長の下でFRBがこの問題に関して慎重な態度を保っている様子が分かる。

 5月30日、米連邦準備理事会(FRB)が公表したボルカールール修正案を見ると、パウエル議長の下でFRBがこの問題に関して慎重な態度を保っている様子が分かる。ワシントンのFRB本部で2012年4月撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

大手行は、小幅の変更にとどまった今回の提案に失望するだろう。順守コストは低下するかもしれないが、パウエル氏が率いるFRBは、前任のジャネット・イエレン氏の体制と同じように銀行を野放し状態には戻したくないと考えている。

トランプ米大統領が銀行を縛っている各種規制を撤廃すると息巻いたことが銀行業界の期待を煽り、金融監督機関の相次ぐ幹部交代も楽観論を高めた。FRBについて言えば、トランプ氏は銀行監督責任者を業界に批判的だったダン・タルーロ氏から、パウエル氏と同様に投資会社カーライル(CG.O)幹部の経験を持つランダル・クオールズにすげ替えた。

しかし今のところ、FRBは2008年の金融危機後に設定した路線をほぼ踏襲したままだ。タルーロ氏は昨年退任する前に、自身で望ましいとみなした銀行規制改革の大枠を策定。それは特に中小銀行に対するいくつかの細かい部分の規制緩和は含んでいたが、大手行は厳しい要求を引き続き課せられる内容だった。

例えば、FRBは年次ストレステスト(健全性審査)の一環としていわゆる「ストレス資本バッファー」を導入するというタルーロ氏の構想を残すと決めた。これによって国際的にシステム上重要な8つの米大手行は、中小銀行よりも多くの資本を手当する必要が出てくる公算が大きい。

FRBが示したボルカールール修正案で主に恩恵を受けるのはトレーディング活動が控え目な中小銀行で、これらはルール順守の負担が軽減される。このほかすべての銀行について、60日未満の資産保有は反証しない限り自己勘定取引とみなす、という規定が撤廃される。流動性管理を目的とする取引や外国銀行へのルール適用除外範囲も拡大される。

銀行業界全般としてもルール順守のコストは少なくなる可能性がある。とはいえ、トレーディング活動に対する多くの制限は残る。こうしたやり方は、ボルカールールを根本から破棄するのではなく手直しするのだというタルーロ氏の哲学と相通じる。補完的レバレッジ比率算定方式や生前遺言作成頻度の見直しといったボルカールール以外の規制変更提案においても、基本的な性格は維持されている。

与党・共和党が優勢な議会が今月承認した金融規制改革法(ドット・フランク法)改正ですら、トランプ氏が大々的にやると約束した割にはそれほど思い切った変更にはならなかった。ホワイトハウスとFRBの陣容が様変わりしたにもかかわらず、FRBは大幅なリスクテークを容認する立場とはなお適切に距離を置いている。

●背景となるニュース

*FRBは30日、銀行の自己勘定取引を禁止するボルカールールの修正案を公表した。60日未満の資産保有について、銀行側が反証しない限り自己勘定取引とみなす規定は今後撤廃される。

*トレーディング活動は新たに3段階に区分され、それに応じて異なる順守・報告義務が銀行に課せられる。トレーディング勘定の資産が100億ドル未満の銀行は、ヘッジなどの面で規制が和らぐ。

*銀行が流動性管理目的で行う特定の外為取引はボルカールールの適用を除外される。また米国外で自己勘定取引に関与する外国銀行は、ルール免除のために米国内の支店や系列会社から資金を調達していないと証明する必要もなくなる。

*ボールカールール見直しに関係している他の4つの規制当局、つまり連邦預金保険公社(FDIC)と通貨監督庁(OCC)、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)も同様の提案を行う見通しだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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