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コラム

コラム:米株価の予想水準、利上げ織り込み進んでも下がる気配なし

[オーランド(米フロリダ州) 1日 ロイター] - ここ数週間で起きた米金利見通しの劇的な変化から浮かび上がってきた1つの興味深い要素は、株式ストラテジストらが、今年末に向けた米株価予想の修正をためらっていることだ。

 2月1日、ここ数週間で起きた米金利見通しの劇的な変化から浮かび上がってきた1つの興味深い要素は、株式ストラテジストらが、今年末に向けた米株価予想の修正をためらっていることだ。ニューヨーク証券取引所で1月26日撮影(2022年 ロイター/Brendan McDermid)

現在の短期金融市場は、米連邦準備理事会(FRB)が年内に少なくとも5回利上げする展開を織り込んでいる。ところが株価に対して比較的強気のBNPパリバから、比較的弱気のバンク・オブ・アメリカ(BofA)まで、誰も今年の株価水準の予想を引き下げていない。

留意すべきは、各銀行が今年の株価予想を公表した昨年終盤時点で、今年の利上げは計50ベーシスポイント(bp)にとどまり、利上げ開始時期は早くて年後半と見込まれていたことだ。そのころは米10年国債の実質利回りはマイナス1%未満だった。中にはモルガン・スタンレーのエコノミストのように、今年の利上げを全く想定していなかった向きもあった。

しかし今や、連邦公開市場委員会(FOMC)はすべからく市場関係者にとって、展開がどんどん変わっていくイベントになっている。年明けの米国株は過去最大級の乱高下に見舞われてもいる。

それでも株式ストラテジストの間では、「落ち着いて押し目を拾え」という姿勢が圧倒的に優勢だ。

例えばBofAの場合、エコノミストチームは先週、業界で最も急激な引き締めサイクルの見通しを打ち出した。25bp幅で年内に7回、来年に4回の利上げがあり、政策金利は最終的に2.75-3%に達するというのだ。昨年終盤には今年について利上げを3回としていた。これに比べると大きくタカ派方向に傾いた形だ。ところが昨年終盤に示したS&P総合500種の今年末予想水準は4600だったが、これは今も変わっていない。

BNPパリバはどうかと言えば、エコノミストチームが今年の利上げについて、25bpが計3回とみていた昨年終盤、米株ストラテジストチームは今年末のS&P総合500種を5100と予想。その後同社の今年の想定利上げ回数は6回に増えたが、S&P総合500種予想はやはり5100のままだ。

本来、金利上昇は株価の足を引っ張る。企業の借り入れコスト増大につながるほか、特にハイテク株や中小型株にとって計算上、割引率上昇を通じて現在価値を切り下げるからだ。

<マクロ面の支え>

ではプラス材料は何だろうか。

マクロ経済の面では、米国の成長率見通しに暗い影が差してきているとはいえ、景気後退(リセッション)の確率はなお非常に小さい。また米国債のイールドカーブはフラット化圧力が続いている。こうした中で、経済成長が相応のペース(コンセンサスは3%を十分に上回る伸び)が維持される限り、企業利益は堅調に推移するはずだ。

今年の米企業の増益率のコンセンサスは8%前後だが、BNPパリバのグレッグ・ブトル氏によれば2桁の増益率が達成できて、金融環境の引き締まりのもたらす逆風を打ち消せる。同氏の自信は変わっていない。

ブトル氏の試算では、10年国債の実質利回りが25bp上がると、米国株の株価収益率(PER)を1.1ポイント程度押し下げる。先週のある時点では、実質利回りが底値から50bp前後も跳ね上がったため、PERは2.2ポイントほど低下した。

それにもかかわらず、ブトル氏はS&P総合500種が1月に一時10%強、ナスダックが約20%も下がった株安局面を振り返り、警告と受け止める部分は全くないと主張する。

同氏は「市場がFRBの利上げを織り込む動きはいささか波乱を起こし、われわれの見解に逆風となる。一方で市場は効率的だ。常に先を見ている」と述べた。

<10%下落は買い場>

ゴールドマン・サックスのデービッド・コスティン氏の見積もりでは、1月28日でS&P総合500種終値が付けていた4432前後、10年債実質利回りのマイナス0.60%を基点に置き、他の条件が変わらないと仮定すれば、実質利回りが60bp上がってゼロになると、S&P総合500種は10%安の4000に、100bp上昇なら15%安の3800まで落ち込む計算になる。

ところがコスティン氏は、過去のパターンからすると、S&P総合500種が10%下落したところで買いに動けば、次の1年で得られるリターンの中央値は15%になると主張する。現在の水準に置き換えるとS&P総合500種は4975に達することになる。

同氏は「米経済がリセッションに突入しないのであれば、株価の調整は通常、絶好の買い場だ」と指摘する。

株式ストラテジストが予想を変えたがらないもう1つの理由は、同僚の金利チームの見方に同意していないという単純なものかもしれない。実際、JPモルガンの株式ストラテジスト、マルコ・コラノビッチ氏らのチームが1月31日付ノートに記したように、株式分析側は現在の市場の利上げ織り込みが行き過ぎだと考えている。

コラノビッチ氏らは「当社のエコノミストたちは現在、年内に5回の利上げを想定している。しかし物価関連データが改善し、最終的に利上げ回数が減る可能性はあると思う」と指摘した。今の状況なら、利上げが少なくなる可能性は株価にとってさぞ強材料になることだろう。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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