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インタビュー:ソフトバンク、第4四半期はコスト前倒しで実力以下の数字

[東京 15日 ロイター] - ソフトバンク9984.Tの藤原和彦常務執行役員(経営企画・海外シナジー推進統括、ソフトバンクモバイルCFO兼務)はロイターの取材に対し、移動通信事業が第4・四半期に営業減益になったことについて、前倒しでコストをかけた部分があるとして、実力より相当低い数字になっているとの認識を示した。

 5月15日、ソフトバンクの藤原常務執行役員は移動通信事業が第4・四半期に営業減益になったことについて、実力より相当低い数字になっているとの認識を示した。写真は同社のロゴ。昨年5月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

米スプリントS.N買収などで9兆円超まで膨らんでいる有利子負債については、国内分は国内携帯電話事業から生み出されるキャッシュフローで対応できる範囲内に収まっていると説明した。

米スプリントに関しては2014年の最終黒字は厳しいの認識を示したが、コストコントロールで収益の反転にはこぎつけたと指摘、今後はネットワークが改善していく中で成長軌道に乗せられるかどうかがカギとなるとの見方を示した。

詳細は以下の通り。

──第4・四半期の移動通信事業は営業減益だ。

「まず3月に向けて、国内競争が過熱した影響があった。また、前期は営業利益1兆円の目標に対して相当余裕のあるハンドリングだったので、前倒しでコストをかけた面もある。今期は一時益を含まず1兆円の目標を掲げているが、1兆円以上というイメージでとらえている。そうした中で、経費を先行させておきたいという思いがあり、除却なども積極的に行った。よって、第4・四半期の数字は実力より相当低い。第1・四半期以降の数字をみてほしい」

──1契約当たりの月間平均収入(ARPU)が低下している。

「(従来の通信料売り上げに相当する)サービス収入がビジネスの実態を一番表している。現在は7%程度の伸びで、少し鈍化傾向にある。アップルAAPL.OのiPhoneが絶好調だった時期は2ケタあったので、それに比べると少し弱含みになっているのは事実だ。当時は毎年1000億円級の利益増だったが、さすがにそこまではいかない」

「ただ、利益は成長している。通信だけ足しても6000億円規模あり、この規模で成長しているというのは、巡航速度と言っていい。もちろん、1000億円規模で伸びればそれに越したことはないが、国内マーケットの状況や競争環境を踏まえ、設備投資などいろいろなところにお金を使っており、それなりの及第点ではないか」

──ソフトバンクは最近、料金競争をしなくなったとの指摘がある。

「番号持ち運び制度(MNP)の競争が典型だと思うが、いま1社が何かをすると、すぐにコピーされてしまう。例えばキャッシュバックなどは一番コピーしやすい。料金もコピーされやすい中で、どう差別化するかは悩ましい問題だ」

「この状況に満足しているわけでは決してない。ソフトバンクらしさをどう出すかは、一番大事なテーマだ。モバイルインターネットナンバー1の会社になろうという中で、ここ数年はネットワークの改善を徹底的にやって、ネットワークはむしろ差別化できたくらい頑張った」

「ただ、過去のイメージを払しょくするにはそれなりに時間がかかるので、ネットワークでの差別化にはつながっていない。3社がiPhoneを扱うようになったいま、どう差別化していくかはいろいろ検討している」

──孫正義社長は決算会見で検討している新料金プランについてNTTドコモ9437.Tと同等か少し角度を変えたものになると発言した。

「ビジネスを破壊するようなことはしないが、いろいろ声も入ってきている。料金については比較的いいイメージ、チャレンジングなイメージを持ってもらっているので、そのあたりも踏まえて検討していきたい」

──前期のフリーキャッシュフローはスプリントなどの買収で大きなマイナスになった。

「設備投資は今後下がってくるが、支払いまではタイムラグがあるので、昨年度のピークが今年度の支払いに来るイメージだ。米スプリントもネットワークをキャッチアップするために、昨年、今年がピークになってくるので、その意味では日米ともに設備投資のピークがある」

「よって、今期のフリーキャッシュフローはそれなりに厳しい数字になるというのはもともと計画していた。ただ、2015年度以降は設備投資が下がっていく一方で、収益が伸びていくので改善に向かうだろう」

──2014年3月末の連結有利子負債は9兆円超だ。

「まず国内はキャッシュを生み出せるビジネスに完全になっている。スプリント買収で一次的に負債が膨らむが、これは国内事業で吸収できる範囲内だ。米国もセルフファンディングしている状態で、独立してビジネスができれば問題ない」

「国内は一時的に膨らんだ負債が、強いキャッシュフローで消していけるという絵が描けるかどうかが重要で、その意味では、設備投資が下がってきて、EBITDAがそれなりの成長があれば、絵は十分描けている」

──レバレッジレシオの現状をどうみるか。

「純有利子負債/EBITDA倍率は3.6倍で、まだ余力がある。リーマンショック後に純有利子負債ゼロに向けて1.1倍まで落としたが、ある程度のレバレッジでやはり成長を目指した方がいいということで方針転換した。リーマン後に本気で減らそうと思ったときには減らせる体制にあるということを証明したつもりだ。いざとなったら、こういうオペレーションもできるが、現在は成長のチャンスがあるなら成長すべきではないかと判断している」

──しかし9兆円超という数字はやはり大きい。

「設備投資が日米ともにしっかりとコントロールできるか、そして収益が右肩上がりになっている、あるいは底堅いという2点が重要だ」

「米国の設備投資はずっと高原ではなく、ピークが出てくる。業績も底を打った。いまはコストのマネージだとか、そういったところで収益の反転にこぎつけたが、今後はネットワークが改善していく中で、成長を引き出せるかどうかがカギとなる。最終黒字は2014年の段階ではまだ厳しいだろう」

──米国市場について孫社長は「2強2弱」から「3強」による競争が必要だと主張している。

「確かに上位2社と3番、4番の差は非常に大きい。上位2社はこの5年間、シェアをどんどん伸ばしてきている。そのような状況のなか、競争できる範囲が限られるのは確かだ。このまま強い3番になって生き残っていくという絵は描けるが、上位2社と伍して戦っていく、米消費者に感動を与えるようなサービスを提供するには規模が大きくなった方がはるかに絵が描ける」

「TモバイルUSTMUS.Nも頑張っているが、上位2社の脅威になっているかというと、そんなことはない」

──スプリントはどこがいけなかったのか。

「米国のネットワークは日本とは比較にならない。日本は極限の争いをしているが、米国はネットワーク接続率が数パーセントとか10%とか差がつくような世界だ。スプリントはネットワークが相当遅れていた。そこが一定水準にいかないと、競争はなかなか厳しいというのが実感だ」

──弱いネットワークで傷ついたブランドイメージを復活させるのは容易ではない。

「まずはコストのところで健康体にならないといけない。お金を生まなければいけないし、黒字で安心してもらわないといけない。健康体になるところまでは努力でいけるが、成長となるとやはりトップラインが伸びてくる必要がある。利益がガンガン伸びる会社になるには、トップラインの問題は避けて通れない。今年後半から来年にかけて、どういう絵が描けるかが試金石になってくる」

──アリババIPO-ALIB.Nは持分法利益への貢献はわかるが、事業のシナジーは見えにくい。

「いますぐ見えるものもあれば、将来を目指す中で見えてくるものも必ずある。例えば、ヤフー4689.Tのオークションモデルが向こうにいって、花が開いた。そして今度は成功したアリババのショッピングモデルをヤフーに持ってきている。アリババもヤフーに影響を与えているし、ヤフーもアリババに影響を与えている。これこそまさにシナジーだ」

*取材は14日に行いました。

*一部表記を修正して再送します。

志田義寧 編集:田巻一彦

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