[香港 19日 ロイター] - 中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング が米国で上場するとした決定をめぐり、上場計画を担当していた同社幹部のジョー・ツァイ氏が当初有力とみられていた香港上場を断念したのはここ最近だったことが分かった。事情に詳しい複数の関係筋が明らかにした。
幹部が取締役会に一定の権限を持つアリババの株式保有構造が香港上場の障害となっていた。関係筋によると、アリババ側は上場規則の見直しをめぐるパブリックコメントに期待を寄せていたが、この手続きの遅れに加え、競合他社が相次いで米テクノロジー市場に対する意欲を示していたことから香港市場ではなく、米国市場を選択したという。
アリババの新規株式公開(IPO)規模は、2012年の米フェイスブック の規模160億ドルを上回るとみられている。
アリババは約1年間にわたって香港当局や香港取引所幹部と交渉を進めていただけに、香港の金融業界にとっては大きな痛手だ。
一方、コンサルティング会社EY(香港)の金融サービス部門担当マネジングパートナー、キース・ポグソン氏は「香港がアリババのIPO案件を逃したのは残念だが、正当な理由によって負けたのだともいえる」と指摘。「香港はこうした株式保有構造を問題視する市場であり、投資家保護に配慮していると示し、信念を曲げなかった香港の規制当局をたたえるべきだ」と述べた。
アリババは「(米国でのIPOにより)一段とグローバルな企業となり、自社の透明性が高まる」と説明した16日発表の声明文に付け加えることはないとしている。
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