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焦点:ビッグデータ販売に通信会社は慎重、情報保護強化売りにする動きも

[バルセロナ 23日 ロイター] -米政府による電話盗聴やインターネット監視の実態が暴露されたことで、通信会社は、蓄積された個人情報である「ビッグデータ」を販売すべきかどうか再考を促されている。

それでも、携帯電話利用者の位置や移動経路、ネット閲覧などに関する情報は数十億ドル規模の市場に発展する可能性があり、通信会社にとっては抗しがたい魅力を秘めている。

スペインのテレフォニカTEF.MCや米ベライゾンVZ.N、フランスのオレンジORAN.PA、シンガポールのスターハブSTAR.SIといった大手通信会社は、ビッグデータの販売についてまだほんの瀬踏みの段階にすぎないとくぎを刺した上で、顧客保護のためにデータを匿名化、グループ化した形でのみ売ると約束している。

彼らはこうしたデータが広告の領域のみならず、不正を突き止めたいクレジットカード会社から、渋滞を避けるルート設定をする救急車の運行会社、インフルエンザの流行に対応する保健当局にまで利用できると宣伝している。

元米諜報機関職員のエドワード・スノーデン容疑者によって政府の情報監視活動が明るみになった後も、一部の通信会社はビッグデータ活用事業を展開し続けることを決めた。これに対して、顧客情報保護に熱心で最も信頼できる企業として、自らを売り込む動きも出始めた。

ベライゾンのプレシジョン・マーケティング・インサイツは、携帯電話利用者の情報を提供しており、スノーデン容疑者の暴露があった時点では、スポーツチームなどと組んで試験的な商業利用を行っていた。

同社幹部のコルソン・ヒリア氏によると、経営首脳陣と取締役会はその後、匿名であっても顧客情報を販売することが適切かどうかあらためて協議した末に、この計画を推進することを決めたという。

ヒリア氏は「プライバシーは今、渦中の問題であるが、われわれは主導的な姿勢を取れると考えている。適切に行動し、消費者や政策担当者との対話を先行的に行えば、会社の評判を落とすリスクにはならない」と話した。

こうした路線とは正反対に進む通信会社もある。例えばドイツテレコムDTEGn.DEは昨年、ドイツ国内で送受信される電子メールを暗号化するサービスを開始。同社の最高経営責任者(CEO)は「個人分野の情報保護は価値あるコモディティだ」としている。

<宝の山>

通信会社は顧客情報をネットワーク運営に際しての偶発的な産物ではなく、1つの資産として認識する立場に移行したことで、慎重な対応を迫られている。

人々はグーグルGOOG.OやフェイスブックFB.Oなどに個人情報が渡るのは無料サービスと引き換えだとおおむね納得しているが、行動追跡が現実世界にまで広がれば憤慨するだろう、とある通信業界コンサルタントは指摘する。

各種調査では、通信会社の方がインターネット関連会社よりも個人情報保護に関する信頼度は高い。オレンジが委託した調査によると、携帯電話事業者が情報を安全な状態に保ってくれていると考える人の割合は41%で、フェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の20%を上回った。

通信会社が集めたデータは匿名化された上で蓄積され、企業や政府などの利用に向けたパターン分析ができるようにしている。個人情報保護団体や規制当局によると、こうしたデータが匿名化され、個々人ではなくある程度の集団として扱われる限りは、通信会社による販売は可能だという。

<具体的な活用を模索>

ビッグデータ活用プロジェクトの1つの事例として、テレフォニカが英第4位のスーパーマーケットチェーン、モリソンズMRW.Lと組んで実施した、イングランド南西部の住民行動調査が挙げられる。

テレフォニカは、モリソンズの店舗を訪れる客と近隣のライバル店を使う客の居住地域を解析し、販売促進の対象とすべき世帯を割り出した。そしてこの地域全体の1100万世帯のうち、40万世帯に絞ってクーポンを送付するよう助言した結果、客足は150%増加して割り引きに伴う売上高の落ち込みもないという成果につながった。

テレフォニカの「スマート・ステップス」を運営するフィル・ドゥーティ氏は「われわれは、モリソンズと競争相手が真に闘いを繰り広げている場所を探り当てた。それがモリソンズによるマーケティングの取り組みにとって最も実りのある地域だった」と述べた。

ドゥーティ氏によると、スマート・ステップスは英国内に十数社の顧客を有し、年内にはブラジルでも試験的な運営を始めるという。

テレフォニカは昨年、ドイツの当局から導入前に運営プログラムをつぶされた経緯があり、現在は前もって規制当局に話を持ち込むようにしている。

もっとも通信会社にとって、ビッグデータを企業が購入してくれる商品に仕立てるのは簡単ではない。彼らは運輸業や製造業、旅行業などがどのようなデータを欲しがっているのかを正確に把握していないからだ。

そこで一部ではマーケティング専門家や広告代理店、IBMIBM.Nなどのコンサルタントに頼っている。

ベライゾンのヒリア氏は、同社がデータ販売に関して複数の広告テクノロジー企業などと提携交渉中で、第2・四半期中に一連のビッグデータ商品を取りそろえる方針であることを明らかにした。

ドイツのソフトウェア企業SAPSAPG.DEも、いくつかの通信会社との間で、企業や広告主などが利用するために定期契約するような集中的なプラットフォームでビッグデータを処理する事業で協力へ向けた交渉を進めている。事業収入はSAPと通信会社が分け合うことになる。

(Leila Abboud記者)

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