May 23, 2018 / 7:58 AM / 7 months ago

焦点:消費税10%へ需要変動対策、官邸に「5兆円構想」も

[東京 23日 ロイター] - 2019年10月の消費税率10%への引き上げに向け、政府は需要変動対策の検討に乗り出した。14年の増税時に事前の想定を上回って、景気が落ち込んだことに対する「反省」があるためだ。首相官邸には5兆円規模の対策の構想も浮上しているとみられるものの、財政規律に配慮した対応も求められることから、規模の調整は曲折が予想される。

 5月23日、2019年10月の消費税率10%への引き上げに向け、政府は需要変動対策の検討に乗り出した。写真は一万円紙幣と硬貨。2006年3月撮影(2018年 ロイター/Toshiyuki Aizawa)

<増税への警戒感強い首相官邸>

関係省庁の職員が参加した「消費税率引上げによる需要変動の平準化に関するタスクフォース」。その席上、内閣府幹部が配布した「検討事項」と題した1枚の資料には、税率引き上げ後の住宅減税や「すまい給付金」の拡充などの具体策が並んだ。

今年6月に策定する「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)に、需要変動対策の考え方を反映させ、詳細は年末にかけて調整する方向だ。

来年に予定される増税幅は2%で、前回と比べて「個人消費や成長率の下押し効果は、小幅なものにとどまる」(黒田東彦日銀総裁)との見方がある。

日銀が4月に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」によると、来年の税率引き上げに伴う増税額は約5.6兆円だが、軽減税率の導入や教育の無償化措置などにより、差し引きの家計負担は2.2兆円程度になると推計。14年の約8兆円に比べれば、負担は軽くなる見通しだ。

それでも、増税に対する首相官邸の警戒感は根強いとみられる。16年6月に安倍晋三首相が2度目の増税延期を決断する前、財務省は、増税を実施する代わりに消費税2%分に相当する5兆円規模の経済対策を打つ案を持ちこんだが、それでも増税の実現には至らなかった。

官邸筋によると「今でも首相の頭には、増税実施なら5兆円の対策、との考えがある」という。

<政府・日銀の反省>

財務省や日銀にも、14年の増税の影響を見誤ったとの反省はある。過去の消費増税前後の経済の動きを海外と比較した財務省の内部資料によると、ドイツや英国の実質国内総生産(GDP)が増税後も緩やかに伸びる一方、日本だけは大きく沈む姿が示されている。

同省幹部は「海外諸国と比べて対策がおろそかだった」と認めた上で「首相の最終判断は読めないが、前回の過ちを繰り返さないよう、抜かりなく対策の準備を進めるだけだ」と語る。

14年の消費税増税時は、1年半後に予定されていた2回目の増税分もにらんで駆け込み需要が膨らんだ可能性がある。

にもかかわらず、政府・日銀ではそれを「アベノミクスの効果と勘違いし、反動減を楽観視した可能性は否定できない」(経済官庁幹部)との声もある。

日銀の前田栄治理事は22日の国会で、展望リポートで示した試算を紹介しながら、「消費税率引き上げの影響は、その時々の消費者マインド、雇用・所得環境、物価の動向にも大きく左右されるので、不確実性が大きい」と述べ、日銀として消費増税の影響を含めて「先行きの経済・物価動向を丹念に点検していく」と動向を注視する。

梅川崇、伊藤純夫 編集:田巻一彦

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