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消費者物価、10月コアは+3.6% 40年8カ月ぶりの伸び

[東京 18日 ロイター] - 総務省が18日に発表した10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は103.4と、前年同月比3.6%上昇した。前月の3.0%上昇を大幅に上回り、1982年2月以来の伸び。原材料高を背景に、多くの食料品が10月から一斉に値上がりしたことが影響した。押し下げ要因となってきた携帯電話通信料も1.8%上昇した。

 総務省が18日に発表した10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は103.4と、前年同月比3.6%上昇した。写真は都内で2020年12月撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)

日銀が目標とする2%を上回るのは7カ月連続。ロイターがまとめた民間予測は同3.5%上昇だった。

生鮮食品を除く食料は5.9%上昇。伸び率は前月の4.6%を上回って1981年3月以来の高い伸び。ビールや日本酒などの値上げで酒類が5.0%上昇。外食は5.1%上昇で、81年4月以来の伸び率となった。生鮮食品を除く食料の調査対象176品目の88%に当たる154品目が上昇したが、総務省の担当者は伸び率としては10月の5.9%がいったんのピークになる可能性があると話す。

家庭用耐久財は11.8%上昇して75年3月以来の伸び率。原材料高や円安でルームエアコンは13.3%上昇。

一方、エネルギー価格は15.2%上昇で、前月の16.9%上昇から伸び率が鈍化した。このうち、ガソリンは2.9%上昇、電気代は20.9%上昇。

10月に始まった政府の観光振興策「全国旅行支援」の影響で、宿泊料は10.0%下落。

コアCPIの対象522品目のうち、上昇が406品目、下落が74品目、変わらずが42品目。上昇品目数は前月の385品目を大きく上回った。

10月の総合指数は前年同月比3.7%上昇し、2014年5月以来の伸び率。消費増税の影響を除けば1991年1月以来。天候不順により、生鮮野菜が6.7%上昇して指数を押し上げた。

生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は2.5%上昇し、2015年3月以来の伸び。消費増税の影響を除けば1992年6月以来の伸び率となった。

<10月コアCPI、制度要因除けば「プラス4.5%」>

10月コアCPIは第2次オイルショック末期の1982年2月以来の伸びとなったが、政府の補助金でガソリン価格の伸びが縮小したほか、全国旅行支援がコアCPIを0.2%程度押し下げた。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・主席エコノミストは、これらの制度的な要因を除けば、10月のコアCPIは4.5%程度の上昇率になっていたと指摘する。

食料品を中心に一斉に値上げされた10月に続き、11月には乳製品が値上げされた。酒井氏は12月にコアCPIはプラス4%程度まで伸び率を拡大する可能性が高いとみる。

もっとも、来年入り後は政府の総合経済対策が効果を発揮し、コアCPIの伸び率は縮小するとみられる。酒井氏は、2023年1月以降のガソリン・電気・ガス代の価格抑制策で23年前半のコアCPI前年比は1.3―1.4%ポイント程度下押されると予想する。

UBS証券の栗原剛・次席エコノミストは、23年度は経済対策の影響もあってコアCPIの伸び率は1.2%に鈍化するとみている。

日銀の黒田東彦総裁は18日、衆院・財務金融委員会で、物価の先行きについて従来の説明を繰り返した。エネルギーや食料品などの押し上げ寄与の減衰で「年明け以降来年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していく」と述べ、来年度以降は2%を下回る水準まで低下するとの見方を示した。

(和田崇彦)

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