January 27, 2020 / 4:03 PM / in 2 months

中国国家主席、新型肺炎封じ込めに自信 WHO事務局長と会談

[北京 28日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は28日、訪中した世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長と会談し、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について国際協力の強化を表明すると同時に、WHOと国際社会の冷静で客観的な判断を信じていると語り、新型肺炎の封じ込めに自信を示した。

WHO報道官によると、テドロス事務局長は習主席と感染が拡大している地域の住民と居住外国人の健康を守る方法について協議。武漢から自国民を退避させる国が相次ぐ中、退避に「代替する」対策についても話し合った。

中国国営テレビによると、習主席は「このウイルスは悪魔であり、われわれは悪魔が隠れるのを許さない」とし、「中国は国際協力を強化すると同時に、ウイルス(の感染拡大)防止に向けたWHOの関与を歓迎する。WHO、および国際社会はこのウイルスについて冷静、客観的、かつ理性的に判断すると信じており、中国はこのウイルスに対する戦いで勝利すると確信している」と述べた。

WHOは23日の緊急会合で、新型肺炎について「国際的な公衆衛生上の緊急事態と判断するには時期尚早」との判断を下し、緊急事態宣言を見送っている。

新華社によると、テドロス事務局長は王毅国務委員兼外相との会談で、中国には新型コロナウイルスの感染を管理・抑制できる力があると確信していると述べた。一方、現在中国にいる外国人の退避は推奨しないとし、冷静な対応を呼びかけた。また、中国との連携強化の方針も打ち出した。

中国の保健当局はこの日、新型コロナウイルスによる肺炎の死者数が106人となり、北京で初の死者が出たことを明らかにした。米政府は27日、中国への渡航を自粛するよう勧告。金融市場では中国経済への打撃を巡る懸念が広がっている。

中国国家衛生健康委員会によると、死者は前日の81人から106人に増加。6人を除いて全員が湖北省武漢市の患者だったという。国内で確認された感染者は27日時点で4515人と、前日の2835人から増加した。

27日は新型肺炎への懸念で世界的に株が売られ、米主要株価指数はいずれも1.5%超下落。原油価格も3カ月ぶりの安値を付けたたほか、人民元も年初来安値まで下げた。市場は、世界第2位の経済大国である中国が、感染拡大を受けた移動の禁止や春節(旧正月)の連休延長で打撃を受けると不安視している。

28日のアジア市場でも株価が下落。中国市場が休場となる中、オフショア人民元CNH=や豪ドルAUD=D3が売られているほか、原油も軟調となっている。

中国以外ではこれまでに日本、タイ、オーストラリア、米国、フランス、カナダなどに加え、ドイツとスリランカ、カンボジアで新たに患者が確認されているが、今のところ死者は報告されていない。

トランプ大統領は、新型肺炎の感染拡大について、必要な支援を提供すると表明。「新型ウイルスについて中国と極めて緊密に連絡を取っている。米国内で確認された感染件数はまだ非常に少ないが、注意深く見守っている。習主席にはいかなる支援も提供すると伝えた。米国には類まれな専門家がいる!」とツイッターに投稿した。

米疾病対策センター(CDC)は27日、米国内で新たな感染例は見られていないと発表。これまで5人の感染が確認されているほか、全米26州で110人が検査を受けており、そのうち32人が陰性反応を示しているという。

2件の国内感染を確認しているカナダは、湖北省訪問を避けるよう国民に呼び掛けた。

タイは28日、中国からの渡航者で新たに6人の感染を確認し、国内の感染者数が14人となったことを明らかにした。新たに確認した6人のうち5人は湖北省からの渡航者で、同一家族のメンバーという。タイで確認された死者数は中国外では最多となる。

韓国政府は、新型肺炎の拡大阻止に向けて全力で臨むと表明、予算に計上している感染症対策費などを活用する構えを示した。また、ボラティリティーが高まった場合は金融市場の安定化に動くと強調した。

中国の国連大使は27日、グテレス国連事務総長と会談後、中国政府は感染拡大の阻止を「最重要」と位置付けていると強調。「透明性と科学的な協力の精神の下、国際社会と協調している」と述べた。

グテレス事務総長は、国連として「感染拡大を阻止する中国の能力を完全に信頼しており、あらゆる支援を提供する用意がある」と表明した。

中国の習近平国家主席(右)は28日、訪中した世界保健機関のテドロス事務局長と会談。新型コロナウイルスによる肺炎について国際協力の強化を表明すると同時に、WHOと国際社会の冷静で客観的な判断を信じていると語り、新型肺炎の封じ込めに自信を示した。代表撮影(2020年 ロイター)

<高まる批判>

李克強首相は武漢市を訪問し医療関係者を激励、支援拡大を約束した。青色の保護衣とマスク姿の首相は、今後2日間で2500人の医療関係者が武漢入りするとしたほか、新病院の建設予定地を視察した。

一方、検閲が厳しい中国のソーシャルメディア上で、新型コロナウイルスを巡り当局者への批判が高まっている。

湖北省では、提供されるマスクの数を巡り知事が会見中に発言を2回訂正したことに批判が集まった。武漢の周先旺市長は、市の対応が「十分ではなかった」と認め、辞任の意向を示唆した。

中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」のあるユーザーは「彼(知事)がデータを何度も間違えるのであれば、感染がこれほど急速に広がるのも無理はない」などと書き込んだ。

人口が約1100万人に上る同市は、春節の連休の中で事実上の閉鎖状態にあり、湖北省も大半で移動が制限されている。ウェイボーでは「湖北省出身者は差別を受けている」との投稿も見られている。

<中国は対策強化>

中国は感染拡大の防止策を矢継ぎ早に打ち出している。鉄鋼業の集積地である河北省唐山は、市内のすべての公共交通機関の運行停止を発表。北京公交集団は、河北省に向かうバスサービスの大半を28日から停止することを明らかにした。

国家移民管理局は、国境をまたぐ人の移動を抑制するため、海外旅行の時期を見直すよう国民に促した。

政府系紙によると、天津市は新型肺炎の感染者の治療に特化した病院を用意する。

また新華社によると、チベット自治区は27日から、すべての観光地を一時的に閉鎖した。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は28日に会見し、香港と本土を結ぶ高速鉄道を30日から運休し、本土と行き来するフェリーの運航も停止すると発表した。

ラム長官によると、本土向けの飛行機の運航便数が半減する見通し。また本土から香港への個人旅行の認可手続きを一時停止するとした。

欧州では中国へのツアーを中止する業者も出ている。

フィリピン移民局は28日、中国人を対象としたフィリピン到着時のビザ発給を停止した。

米フェイスブック(FB.O)は、中国本土への不要不急の渡航を差し控えるよう従業員に促したことを明らかにした。

北朝鮮は、新型コロナウイルスの拡大阻止に向け、中国経由で入国した外国人すべてに1カ月の隔離措置を適用する。在平壌のロシア大使館が北朝鮮外務省から通知されたことをフェイスブックで明らかにした。

中国の保健当局は28日、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎を巡り、死者数が106人となり、北京で初の死者が出たことを明らかにした。写真は北京の天安門広場で撮影(2020年 ロイター/CARLOS GARCIA RAWLINS)

このほか、ロシアは2月7日まで極東地域の中国との国境を封鎖する。

タイ観光当局は、中国人観光客の訪問者数が今年は200万人減少し900万人になるとの予想を示した。

*内容を追加しました。

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