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コラム

コラム:米上場クーパン高騰が証明、孫氏の見る目の「妥当性」

[香港 11日 ロイター Breakingviews] - 韓国のネット通販大手、クーパンは、出資者であるソフトバンクグループの孫正義会長兼社長に、お金に換算できないほど貴重な贈り物をしてくれた。それは「孫氏のビジョン」が妥当だという証明だ。10日にニューヨーク証券取引所で新規株式公開(IPO)を実施したクーパンは、11日の初値が81%高となったことで時価総額は1090億ドルに膨らんだ。

3月11日、 韓国のネット通販大手、クーパンは、出資者であるソフトバンクグループの孫正義会長兼社長に、お金に換算できないほど貴重な贈り物をしてくれた。写真は2018年6月、ソウルの物流施設を出発するクーパンのトラック(2021年 ロイター/Josh Smith)

同社は孫氏が投資対象としている他のハイテク企業と共通する特性、つまり1)事業の急成長、2)バリュエーションの高さ、3)活気あふれる創業者――を併せ持っている。少なくとも黒字化はいずれ可能だろう。これはアマゾン・ドット・コムのような同業大手が既に「お手本」を示している。

孫氏率いるソフトバンクグループは2015年、米ハーバード大学を中退したボム・キム氏が創業して5年目の、当時無名だったクーパンに10億ドルをつぎ込み、周囲を驚かせた。その3年後、ソフトバンクグループ傘下のビジョン・ファンドがさらに20億ドルを出資。この時に複数の関係者がBreakingviewsに明かした評価額は90億ドルだった。

そして現在、クーパン株でソフトバンクグループが保有する3分の1相当の価値は11日午前の段階で360億ドルに達し、総合的な投資リターンは300億ドルを超える計算になる。

こんな思いがけない大きな収入は、孫氏にとってまさに勝利と言えるだろう。これまでは共有オフィスのウィーワークやインドのホテルチェーンのオヨの経営不振、金融サービス会社のグリーンシル・キャピタル破綻や、その他の投資先の問題発生が続いたせいで、世界で最も有名なベンチャーキャピタル投資家としての孫氏への信頼は、大きな打撃を受けていた。

しかし、株式市場の上昇や消費者の購買行動の急速な変化を背景に、配車サービスのウーバー・テクノロジーズや宅配サービスのドアダッシュといった、かつては不安視された投資にも追い風が吹き、価値が高まっている。クーパンの上場直後の目覚ましい株価高騰ぶりも、ソフトバンクグループというガチョウが生んだ新たな「金の卵」と言える。

孫氏の投資先企業の多くと同じく、クーパンもまだ黒字化はしていない。だが、その前にまず売上高が拡大している。昨年の売上高は91%増の120億ドルに膨らんだ。

半面、営業赤字は縮小傾向とはいえ、5億ドル強を計上した。アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏と比較されるキム氏は今は、クーパンが食品配送や動画配信、金融サービスといった新規分野に積極的に進出する取り組みを主導しているところだ。

ただ、なお赤字基調のウィーワークやウーバーと異なり、ネット通販の事業モデルは世界中で十分に試され、定着している。規模の経済のメリットは、中国の京東商城(JDドットコム)でも実証されている。アマゾンの例を考えれば、クラウドコンピューティングなど新規分野に参入していく多角化戦略も「うまみ」があると証明された。クーパンの初日の時価総額の迫力は、いかにもパンチが効いているように見える。これこそ孫氏が、いかに同社をえり好みしているかの証明だ。

●背景となるニュース

*リフィニティブによると、クーパンが11日にニューヨーク証券取引所で付けた初値は63.50ドルで、公開価格から81%上昇した。

*クーパンは今回の新規株式公開(IPO)で46億ドルを調達。1億3000万株の売り出し価格は35ドルと、仮条件レンジ(32-34ドル)の上限を上回った。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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