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アングル:長期化する中国コロナ規制、最大のリスクと投資家警戒

[香港/上海 20日 ロイター] - 中国政府が新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ政策」を強化する中で、上海のロックダウン(都市封鎖)など各地で規制措置が長期化してきた。これが中国経済を脅かす一番のリスクとなり、資産運用担当者らは中国株の保有圧縮やディフェンシブ銘柄への乗り換えを余儀なくされている。

 中国政府が「ゼロコロナ政策」を強化する中で、上海のロックダウンなど各地で規制措置が長期化してきた。これが中国経済を脅かす一番のリスクとなり、資産運用担当者らは中国株の保有圧縮やディフェンシブ銘柄への乗り換えを余儀なくされている。写真は黒龍江省牡丹江市で14日、防護服を着て監視カメラを設置する作業員。チャイナ・デーリー提供(2022年 ロイター)

ピクテ・ウエルス・マネジメントやプリンシパル・グローバル・インベスターズといった世界的な資産運用会社や、中国投資専門のメガトラスト・インベストメント、ウォーター・ウィズダム・アセット・マネジメントなどは、中国の多くの主要都市で何週間にもわたって行われている厳しい感染対策としての行動制限が人々や企業に重くのしかかっていると指摘する。

メガトラスト・インベストメント(香港)のキ・ワン最高経営責任者(CEO)は「上海全域のロックダウンは大きな出来事だ。これは時間が経過すればあっさり消えてしまうリスクではないかもしれない。ロシアとウクライナを巡る危機とは性質が違う」と述べた。

今年に入り、中国株の値動きは西側の経済制裁を受けているロシアを除くと世界で最も低調。代表的指標のCSI300は年初来の下落率が17%に達している。実体経済も3月に入って急減速し、消費や不動産、輸出が痛手を被った。

上海汽車集団(SAIC)や中芯国際集成電路製造(SMIC)など幾つかの国内最大級の上場企業は、3月終盤に始まった上海のロックダウンによって生産に支障が出ている。一部メーカーは今週、上海の工場を再開する準備に乗り出したとはいえ、なおほぼ全域が封鎖されている都市での操業は難航するだろう。

プリンシパル・グローバル・エクイティーズで中国株と香港株計60億ドル相当を運用するアラン・ワン氏は、パンデミックとの闘いが企業利益に影を落としつつあり、収益状況は「かなり失望的」になっていると分析する。

このためワン氏のファンドは既に、消費者の需要に依存している電子商取引やその他インターネット関連銘柄の保有を減らし、公益、新エネルギー、インフラ、素材、国有企業といったディフェンシブ銘柄の比率を高めている。

ピクテ・ウエルス・マネジメントのアジアマクロ経済調査責任者ドン・チェン氏は、2020年以降、投資家は主に中国の規制強化を心配してきたが、今はゼロコロナ政策の推進に伴って消費者と企業の信頼感が圧迫され、経済の足を引っ張る事態が不安材料になったとの見方を示した。

「(規制強化と同じくゼロコロナも)政治的な決定と言っても差し支えないので、政策の失敗が起きるリスクが増大している。だからこそ多くの投資家が今回、より深く心配しているのだ」とチェン氏は説明した。

華宝基金管理のチーフエコノミスト、リ・フイヨン氏は、中国本土の資本市場にとって新型コロナウイルスを巡る問題が最大の懸念材料となっており、ロシアとウクライナの戦争や米国の金融引き締めといった対外要因よりずっと比重が大きいと指摘。感染が制御されるか、政府が感染対策を軌道修正しない限り、経済はさらに苦境に陥ると警告した。

<底打ちシグナル>

中国株は、既に2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻で打撃を受けていた。中国とロシアのつながりの強さから、中国も西側の制裁対象になるのではないかとの観測が背景で、3月中に63億ドルが流出した。

ただロックダウンはより国内的な問題で、影響も可視化される。

ノムラのアナリストチームは先週、中国の国内総生産(GDP)の40%を占める45の都市が現在全面的か部分的なロックダウンを実施しており、景気後退(リセッション)に突入するリスクが高まっていると指摘した。

こうした逆風を和らげる狙いから、15日には人民銀行(中央銀行)が銀行の預金準備率引き下げを発表したほか、当局は最も痛みが大きい部門の支援や、財政支出とインフラ投資の拡大を約束した。

しかし華宝基金管理のリ氏は、封鎖された都市でそうした政策措置はほとんど効果を発揮しないと冷ややかだ。「あるプロジェクトの許可を得たとしても、建設を開始できない。資金を支援してもらっても実際に取引するのは不可能だ。手元にお金があるからといって買い物にも行けない」という。

フィデリティ・インターナショナルの資産管理部門グローバル最高投資責任者アンドルー・マカフェリー氏は、同社がまとめた第2・四半期見通しで、新型コロナウイルスの感染拡大と、上海や深センで実施されている大規模なロックダウンの影響が、中国の生産活動の足を引っ張り、政府が目指す今年の成長率目標である5.5%の達成が難しくなるのは必至だとの考えを明らかにした。

中国株を売り持ちにしているウォーター・ウィズダム・アセット・マネジメントのヘッジファンド運用担当者ユアン・ユウェイ氏はもっと率直な表現をしている。

同氏によると、感染力の強いオミクロン株をゼロコロナ政策で抑える方針は、中国で古来言われる「杯水車薪(燃えさかる大量の薪をコップ1杯の水で消し止めようとする役に立たない行為)」にたとえられる。その政府がゼロコロナ政策を撤回すれば、「株価が底を打ったという正真正銘のシグナルを発信する」ことになるという。

(Xie Yu 記者、Samuel Shen記者)

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