May 13, 2020 / 7:19 AM / 2 months ago

コラム:「スウェーデン流」コロナ対策をマネできない理由

[ロンドン 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - スウェーデンの新型コロナウイルス対策はユニークだ。西側諸国として唯一、ロックダウン(封鎖)を導入しておらず、結果的に経済的な打撃は小さくて済むだろう。ただ、他の国が「スウェーデン流」をまねるのは難しそうだ。

5月12日、スウェーデンの新型コロナウイルス対策はユニークだ。写真は8日、ストックホルムの公園でくつろぐ市民(2020年 ロイター/Henrik Montgomery /TT News Agency)

スウェーデンが成功した第1の理由は、過半数に届かない与党社会民主労働党と緑の党が連立し、中道右派などの閣外協力をあおぐという政権の事情にある。法案の成立には複数の党の支持が必要だからこそ、新型コロナ対策では、ほかのどこの国が試したとしても及ばないほど、幅広い政治的コンセンサスを得た形になった。

第2に国民は保健当局など政府を信頼しており、そのためロックダウンを強制しなくとも、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の指針におおむね従った。

第3にスウェーデンは子供のいない単身世帯が国全体の56%と、欧州連合(EU)加盟国でずばぬけて高い。そのため同居者間で感染が起きる懸念が、例えば世代間同居がより一般的なイタリアなどと比べて低いことになる。

国民100万人当たりで見たスウェーデンの新型コロナ死者が約322人相当と、英国やイタリア、スペインなどロックダウンを徹底的に実施した国より大幅に少ないのは、こうしたことで説明できる。

ただ、経済的な犠牲を小さくした代償として、他の北欧諸国やドイツよりは新型コロナ死者全体数は多い。とは言え、少なくとも経済面では、こうした「賭け」は功を奏した。第1・四半期の国内総生産(GDP)は前期に比べてマイナス0.3%と、ユーロ圏経済の落ち込みの10分の1に満たない。

もっとも、他国がスウェーデン流のコロナ対応をまねても同じような結果にならないかもしれない。

スウェーデンは充実した福祉制度が売りだ。だから労働者は自主隔離がしやすい。金銭的な苦境に落ち込まないように保証されているからだ。社会福祉支出の規模はGDPの約25%と、経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も高い。休職すれば賃金の大半が補償される。こうした制度は自営業者にさえも適用される。

2019年の公的債務の対GDP比はわずか35%で、財政には経済的支援を行う余裕がたっぷりとある。スウェーデン政府は先月、減収規模に応じて企業の固定費の最大75%を補償する総額390億クローナ(約4300億円)の救済策を発表した。これがあればレイオフは食い止められ、経済の急回復も保証される。

ロックダウンでスウェーデン流を踏襲したい国はどこであれ、同じ成果を手にするためには、もっと多くのことをまねる必要があるだろう。

●背景となるニュース

*世界保健機関(WHO)によると、スウェーデンは新型コロナの死者数がこれまで3225人で、イタリアの3万0560人、スペインの2万6621人、英国の3万1855人と比べると、大幅に下回っている。

*スウェーデン政府は7日、新型コロナ感染拡大の影響を和らげるため、147億クローナ(15億ドル)の追加経済対策を発表した。アンデション財務相は同日、新型コロナ対策関連の支出が総額1850億クローナになったと明らかにした。

*従業員に病気休暇を取らせた企業の関連コストを政府が肩代わりする策は、5月末までの予定だったが、7月いっぱいまで延長する。従業員が受け取る各種手当も増額した。

*政府は4月30日、企業の減収規模に応じた390億クローナの支援計画を発表した。賃金を除く3、4月の固定費に対し、22.5%から75%の幅で支援金を出す。

*同国統計局5月5日の発表によると、今年第1・四半期の国内総生産(GDP)の前期比成長率はマイナス0.3%だった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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