[チューリヒ 21日 ロイター] - スイス金融大手クレディ・スイス・グループのアクセル・リーマン会長が昨年12月初め、顧客資金の流出が収まったと発言したことについて、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)が調査に乗り出したことが分かった。事情に詳しい関係筋2人がロイターに明らかにした。
リーマン氏は12月1日に英紙フィナンシャル・タイムズがオンライン配信したインタビューで、10月には大規模な資金流出があったが、現在は「完全に底を打ち」、「一部は反転している」と述べた。2日にはブルームバーグ・テレビで、流出が「基本的に止まった」と発言した。
クレディ・スイスの株価は12月2日に9.3%上昇している。
関係筋によるとFINMAは、その時点で顧客がまだ資金を引き揚げていたことをリーマン氏らがどの程度承知していたかを確認中で、発言が誤解を招いた可能性について検証している。
クレディ・スイスが2月9日に発表した年次決算では、10─12月期の顧客資金流出が1105億スイスフラン(1196億5000万ドル)と、市場予想より多かったことが判明。業績の悪さも嫌気され、同行株は同日約15%も下落した。
FINMAの広報担当はコメントを控えた。クレディ・スイスの広報担当は「臆測にはコメントしない」とした。
ロイターの報道を受け、2月21日の市場では、クレディ・スイスの株価が一時5%下落。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムも上昇した。
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