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クレディ・スイス問題:識者はこうみる

[16日 ロイター] - スイスの金融大手クレディ・スイスは16日、スイス国立銀行(中央銀行)から最大500億スイスフラン(540億ドル)を借り入れる選択肢を行使することで、流動性を強化するための「断固とした措置」を取ると発表した。スイス規制当局は15日、経営不安から株価が30%急落した同社に流動性を供給すると表明し、異例の対応を取った。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●ECB・FRB会合通過まで沈静化見込まず

<INGのアジア太平洋調査責任者、ロバート・カーネル氏>

昨晩起きた全てのことを踏まえると市場は引き続きかなり熱を帯びている。今日は欧州中央銀行(ECB)の理事会がある。これをこなして影響を見極める必要がある。この影響の出方が、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)に関するわれわれの見方に響く可能性がある。

(ECB・FOMCを)通過するまでは市場の変動が激しいだろう。シリコンバレー銀とシグネチャー・バンクの閉鎖に続いてクレディ・スイスの問題があり、次はどこかという疑問が市場を慎重にさせている。現状の金利水準では、石を持ち上げて気持ち悪いものを発見するような状況が大いに起こり得る。

●市場は金利見通し修正

 スイスの金融大手クレディ・スイスは16日、スイス国立銀行(中央銀行)から最大500億スイスフラン(540億ドル)を借り入れる選択肢を行使することで、流動性を強化するための「断固とした措置」を取ると発表した。識者のコメントをまとめた。写真は同社のロゴ。香港で同日撮影(2023年 ロイター/Tyrone Siu)

<フィデリティ・インターナショナルのアジア太平洋地域株式責任者、マーティ・ドロップキン氏>

シリコンバレー銀行の経営破綻による影響に加え、世界経済と金利の先行きを巡る不透明感が続く中、市場混乱の可能性がある。年初からの世界的な株高の勢いは先月の反落で衰え、粘着性のあるインフレの継続と過熱気味の労働市場を背景に、市場参加者は金利見通しの変更を余儀なくされている。

●仏銀などへの波及は想定せず

<IGグループ(シドニー)の市場アナリスト、トニー・シカモア氏>

500億スイスフランの借り入れで短期的には流れを止めることができるだろう。それが長期的にクレディ・スイスの問題を解決するのに十分かどうかは、おそらく議論の余地がある。

他の銀行、フランスの銀行に波及するかどうかについては、私はそうなるとは思わない。彼らは欧州ソブリン危機を通じて確実に教訓を得たと私は考えている。

●高金利の副作用

<ナティクシス・コーポレート&インベストメント・バンキングのシニアエコノミスト、ゲイリー・ナン氏>

投資家はシリコンバレー銀行とクレディ・スイスに対し異なる理由での懸念を持っているかもしれないが、双方とも高金利という副作用に苦しんでいる。経済的ストレスや流動性問題がより頻繁に起こる可能性があり、不透明感の高い環境で「ブラックスワン(確率は低いが起きれば影響が大きいリスク)」の可能性が高まっている。

各国中銀は迅速な対応で状況に応じて悪影響を回避することが可能だが、世界は平均よりも高いインフレを受け入れ、金融安定を保つべき時期でもある。

*動画を付けて再送します。

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