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クレディ・スイス問題、現時点で日本の金融システムに影響の兆候ない=全銀協会長

 3月16日、全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取・写真)は会見で、スイスの金融大手クレディ・スイスの経営不安に関連し「現時点で日本の金融市場、金融システムに影響が生じるといった兆候は見られない」と述べた。写真は2021年3月、都内で撮影(2023年 ロイター/Takashi Umekawa)

[東京 16日 ロイター] - 全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は16日の会見で、スイスの金融大手クレディ・スイスの経営不安に関連し「現時点で日本の金融市場、金融システムに影響が生じるといった兆候は見られない」と述べた。

リーマンショック以降、グローバルな金融機関を中心に資本や流動性などのリスク管理の強化を進めてきていることから「足元の欧州金融機関の資本水準は総じて相応の頑健性を有している。これは本邦金融機関も同様」と理由を挙げた。

ただ、金融市場を取り巻く環境が大きく変化していることから「与信費用や業績全体への影響など個社の状況を含め、注視していくことが必要」とも付け加えた。

クレディ・スイスは、経営不安が強まり、株価が急落。スイス国立銀行(中央銀行)から最大500億スイスフラン(540億ドル)を借り入れる選択肢を行使することで、流動性を強化するための「断固とした措置」を取ると発表した。

また、米カリフォルニア州のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻については、預金全額保護の措置が取られたこともあり、資金繰りの連鎖破綻やシステミックリスクの顕在化のおそれは低下した、との認識を示し「現時点では、グローバルな金融システム不安に陥るリスクは小さい」とした。

日本の金融機関の外債保有リスクは「大手行中心に、ヘッジ等により一定程度コントロールできている」とし、地銀についても「相応の外債の売却を進めている」と指摘。昨年12月のイールドカーブコントロール(YCC)変更後の日本国債の価格下落を踏まえても「総じて資本コンディションを健全な水準に維持している」とした。

黒田東彦日銀総裁の10年については、個人の見解としたうえで「デフレ的な状況から脱却したという意味で、これまでの金融緩和は一定の効果があった」と評価した。一方で、市場における一部機能の低下や金融機関の収益に相応のマイナスインパクトがあったことは事実とも指摘した。

植田和男次期総裁の下での新体制で大規模金融緩和策を調整していく際には、金融・資本市場のボラティリティが高まることも想定されるとし「政策の予見性を高めるフォワードガイダンスを含めた市場との十分な対話が重要」と指摘。金融市場が健全に機能するよう、日銀が適切に決定・判断することを期待している、と述べた。

全銀協会長は4月1日から加藤勝彦・みずほ銀行頭取に交代する。

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