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浮上のきっかけ探るドル/円、深かった米経済の「谷」
June 26, 2014 / 8:02 AM / 4 years ago

浮上のきっかけ探るドル/円、深かった米経済の「谷」

[東京 26日 ロイター] - ドル/円が浮上のきっかけを探っている。米国の1─3月期国内総生産(GDP)が予想以上に悪かったことが明らかになり、米金利上昇シナリオがさらに後退。101円台後半でくすぶり続けている。

 6月26日、ドル/円が浮上のきっかけを探っている。写真は2009年10月、都内で撮影(2014年 ロイター/Yuriko Nakao)

ただ、足元の米経済指標は堅調で、年後半にかけた景気回復シナリオが崩れたわけではない。今後を左右する1つの焦点は米物価動向だ。

    <米GDPの大きな下方修正>

米国の第1・四半期(1─3月)の国内総生産(GDP)確報値は改定値の1.0%減から2.9%減に引き下げられた。1.0%でさえ、大きいマイナスとみられていたため、「2.9%減はかなりのサプライズ」(米系投信エコノミスト)だといえる。

GDP下方修正の要因と考えられているのは、1)オバマケアの導入で伸びるとみられていた医療費支出が予想外に伸びなかった、2)在庫の増加スピードの鈍化、3)新興国の経済減速により輸出が伸びなかった──ことなどだ。

一時的な要因も含まれているが、予想外に米経済の「谷」が深かったことが確認されたことで、米長期金利は低下し、ドル/円も下落した。

ただ、金融緩和長期化の観測も強まったことで、米ダウ.DJIも49ドル高と反発。景気悪化よりも金融緩和を材料視する金融相場から、マーケットが脱し切れていないことを示した。

一方、エコノミストからは、米経済の回復シナリオが崩れたわけではないとの強気な声も根強い。「1─3月期は寒波に加え、テクニカル的な景気圧迫要因が多かった。マイナス幅が大きいので、年間の成長率はいく分押さえられそうだが、4─6月期以降、回復するというシナリオに変わりはない」とシティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏は指摘する。

実際、足元の経済指標が底堅いのも確かだ。前日発表された5月の耐久財受注自体はやや市場予想を下回ったが、企業の設備投資の目安とされる航空機を除く非国防資本財受注は0.7%増と増加に転じた。

6月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値は、サービス部門指数が61.2と、調査が始まった2009年10月以来、約4年半ぶりの高水準だった。PMIの60台はかなりの強さだ。

1─3月期の「谷」が深かった分、年間通じての米成長率は3%に届かない可能性が大きくなってきたが、4─6月期以降、順調に成長していることが確認されれば、2015年中の利上げも現実味を帯びてくる。

そうなれば、一度色あせた「円安・日本株高シナリオ」も復活する可能性がある。「日銀追加緩和期待が後退した今、米金利動向がドル円の最大のドライバー。需給主導の日本株上昇だけでは、ヘッジファンドなど海外勢は円安ポジションを作りにくいようだ」(国内信託銀行)という。

    <米物価が占う米金融政策の先行き>

    今後の焦点は米国の物価動向だ。米経済の成長スピードが緩やかだとしても、物価が上昇すれば、現在の超金融緩和政策の障害となる。折しも地政学リスクの高まりから、原油価格が上昇。ガソリン価格の影響度が大きい米経済だけに警戒感が強まっている。

    実際、5月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年比2%を超えてきており、今夜発表のコアPCEデフレーターに注目が集まっている。イエレン議長はじめ米連邦準備理事会(FRB)執行部はハト派色が強く、目標の2%から多少上振れても容認するのではないかとの見方が多いが、マーケットで先回り的に金利が上昇する事態もありうる。

    一方、FRBは、こうした金利上昇の可能性に「先手」を打とうとしているのではか、との見方もある。

       米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は24日、バランスシートが高水準のままでも、連邦準備理事会(FRB)には金融政策を引き締める手段があるとの見方を示した。 米ニューヨーク連銀のダドリー総裁も、FRBの資産規模縮小を、利上げの後に行う可能性に言及している。

    市場が想定していた金融引き締めに至る道筋は、テーパリング(量的緩和縮小)、資産規模縮小、利上げ、という順番だったが、資産規模をキープしたまま利上げが実施されれば「金利はなかなか上がらないことが想定される」(国内証券・債券トレーダー)という。

    この点に関し、三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は、2通りの受け止め方ができると指摘する。「資産規模を維持することで金利上昇を抑える効果が期待できる一方、資産規模の縮小を経ないことで、いつでも金利を引き上げることができるという市場に対しての『脅し』にもなる。ただ、そうした議論はFRB内でも煮詰まっていないのだろう。今後の講演などに注目が高まってきた」と話している。

    (伊賀大記 編集:田巻一彦)

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