[クトゥド(フィリピン) 30日 ロイター] - フィリピンの村で毎年、復活祭前の聖金曜日に、十字架に磔(はりつけ)にされたキリストの受難を再現する儀式が行われているが、32年間連続でキリスト役を続けている58歳の男性が、もはや傷の痛みを感じないと話している。
この儀式は、マニラから76キロほどに位置するクトゥド村で行われている伝統的な宗教行事。内外の観光客が見守るなか、今年はこの男性のほか、7度目の参加となる女性を含めた3人の信者が、ローマ兵に扮した兵士役たちによって、アルコールに浸した釘で木製の十字架に手足を打ち付けられ、磔にされた。
フィリピンのカトリック教会は、この儀式に寛大な姿勢を示す一方、このような流血を伴う献身の示し方は「信仰の誤った解釈」だとし、支持はしていない。
男性は儀式の後、「いままでは、負傷し、足を引きずりながら家に帰っていた。今年は大変気分が良い」と語り、カトリックの強い信仰が痛みを避ける助けになったと思うと述べた。さらに、60歳になるまで、あと2・3回は磔刑に耐えられる気がすると述べた。
人口の約80%がカトリック教徒のフィリピンでは、多くの信者が復活祭までの1週間である聖週間に免罪や祈願の形として苦行を行う。苦行により罪が赦され、病気が癒され、願いが叶うと信じる人がいるという。
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