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「開局良好」な中国景気、日本株の追い風に 年後半に警戒も
April 24, 2017 / 11:40 PM / in 8 months

「開局良好」な中国景気、日本株の追い風に 年後半に警戒も

[東京 24日 ロイター] - 日本株が切り返してきた。仏大統領選の第1回投票で波乱がなく、政治リスクが後退したこともあるが、堅調な景気も追い風となっている。原動力の1つが旺盛な中国需要。同国向けの輸出や生産が、今年の第1・四半期の日本景気を後押ししている。

 4月24日、日本株が切り返してきた。仏大統領選の第1回投票で波乱がなく、政治リスクが後退したこともあるが、堅調な景気も追い風となっている。原動力の1つが旺盛な中国需要だ。写真は北京の建設現場。20日撮影(2017年 ロイター/Thomas Peter)

ただ、やや速めのペースであり、今秋の共産党大会後の景気減速には警戒感もある。

<「政治の年」に中国経済が好スタート>

中国国家統計局は、同国の1─3月期国内総生産(GDP)を17日に発表した際、「開局良好」(良好なスタート)というタイトルを付けた。伸び率は市場予想の6.8%を上回る6.9%。中国政府は17年の成長率目標を6.5%前後に置いており、巡航スピードを上回る景気拡大となった。

原動力は政府による財政刺激策とみられている。6.9%成長に対する寄与度は、最終消費が5.33%ポイント、固定資本形成が1.28%ポイント、純輸出が0.29%ポイント。一見、民間消費がけん引しているように見えるが、最終消費の項目は政府支出と民間支出が混在している。

1─3月期の名目GDPの実額18.1兆元に対し、同期の固定資産投資額は9.4兆元。固定資産投資額のうち、公共投資が前年比23.5%と大きく伸びたことで、対名目GDP比の公共投資は前年同期の9.5%から10.5%に拡大した。程度は不明にせよ、公共投資が成長加速のエンジンとなっているのは確かなようだ。

今年は中国にとって「政治の年」。秋に5年に1度の共産党大会が開かれる。党大会の年に必ずしも大型の景気刺激策が実施されてきたわけではないが、今年の第1・四半期は、財政面からの景気後押しが表れている。

<日本の輸出や生産を後押し>

この好調な中国景気が波及しているのが、日本の輸出や生産だ。3月の中国向け輸出額は1兆2995億円と過去2番目となった。2月は春節の影響で輸出が大きく伸びた反動も懸念されたが、3月に入っても強いペースで推移している。アジア向けも中国にけん引される形で3月の輸出額は過去最高となった。

生産も輸出の伸びに後押しされるように堅調だ。3月の鉱工業生産は小幅なマイナスが予想されているが、1─3月期は0.7%の上昇(シティグループ)との見通しが出ている。

4月の予測も8.3%上昇と高い。5月中旬に発表される予定の1─3月期GDPは5四半期連続のプラス成長が予想されている。

「堅調な海外景気を背景に、日本経済は今年緩やかながらも潜在成長率を上回る成長を続けるだろう。上期は補正予算の効果で1.6%、下期も1.2%成長をキープする」とシティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏はみている。

日本株は円高による企業業績への影響が嫌気され、パフォーマンスが悪い。昨年末から4月20日までの騰落率(配当込み)は数少ないマイナス組だ。日本よりも悪いのはロシアやギリシャなど数えるほどだが、ファンダメンタルズはそう悪くない。地政学リスクなどがクリアになれば、再評価される可能性もある。

<「人事の年」後半の景気減速に警戒も>

ただ、中国も秋以降の景気動向には不透明感が漂う。今年前半の景気拡大を加速させたのは財政政策だが、金融政策は慎重モードに入っている。

16年末の中央経済工作会議で、共産党指導部は金融政策のスタンスを「穏健中立」と定め、08年秋のリーマン・ショック以降、続けてきた量的緩和の「出口」を探り始めた。不動産などのバブルをこれ以上、膨らませるわけにはいかないためだ。

さらに、財政政策も共産党大会後の秋以降には減速する可能性がある。今年は、7人の最高指導部のうち、国家主席と首相を除く5人が「68歳定年」の慣例に従って交替するほか、末端まで大規模な人事刷新が行われる予定だ。

今年前半の景気加速に、地方政府が大きな役割を果たしているのは、景気実績のアピール合戦になっているためだとみられている。

「大会前には人事は決まる。そうなれば政策の方向性は倹約方向に変わるかもしれない。今年の経済成長は前半でやや無理して稼いだので、後半はやや引き締めても計画通りに着地できる」とSMBC日興証券のシニアエコノミスト、肖敏捷氏は話す。

中国政府は、政権を脅かすような景気後退には陥らせないだろう。しかし、わずかな景気変動でも、日本経済にとっては小さくない影響が出るのは今年前半をみても明らか。今後も中国動向には神経質になりそうだ。

*日本の対中国輸出額

輸出額 伸び率

2016年4月 1034940 -7.7

5月 901966 -14.9

6月 1043819 -10.0

7月 1029722 -12.7

8月 969093 -8.8

9月 992992 -10.6

10月 1074827 -9.2

11月 1103153 4.4

12月 1301077 12.4

2017年1月 886985 3.1

2月 1196625 28.2

3月 1299534 16.4

*単位:百万円、%、出所:貿易統計(財務省)

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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