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FOMCに身構える市場、「水面下」の議論を見極め
2014年6月17日 / 08:02 / 3年前

FOMCに身構える市場、「水面下」の議論を見極め

[東京 17日 ロイター] - 本日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)に市場は身構えている。政策自体は100億ドルのテーパリング(量的緩和縮小)が粛々と決定されるとしても、注目されているのは「水面下」での議論だ。

6月17日、今日から始まる米連邦公開市場委員会に市場は身構えている。政策自体は100億ドルの量的緩和縮小が粛々と決定されるとしても、注目されているのは「水面下」での議論だ。写真はイエレンFRB議長。ワシントンで5月撮影(2014年 ロイター/Jonathan Ernst)

会見や経済見通しからタカ派的なニュアンスが漏れれば、リスクオン・ポジションの巻き戻しが進み、円高・株安になる可能性もあると警戒されている。

<「氷山の一角」の下を探る>

「氷山の一角」──。三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は今回のFOMCをこう予想する。今回明らかになる政策や発言はごく一部であり、水面下では、白熱したさまざまな議論が繰り広げられるとみているためだ。

議論のポイントはタカ派とハト派のせめぎあい。米経済指標をみると、ISM指数などは順調に回復。短期の失業率は6.3%まで低下し、年末の予測値の6.1─6.3%に接近している。失業率低下が賃金上昇に結びつく可能性もある。VIX指数.VIXなどボラティリティは大きく低下しており、過剰なリスクテークが広がれば、局所的にせよバブルが発生しかねないとの警戒感がタカ派にはある。

「無風」となった前回の会合同様、政策自体は100億ドルの資産買い入れ額の縮小が決定されるとの見方が多いが、採決においては反対者が出てくる可能性があると市場では警戒されている。「ダラス地区連銀のフィッシャー総裁やフィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁などタカ派のメンバーが150億ドルへの増額を提案する可能性がある」(邦銀)との予想もある。

今年の投票権は有していないが、米セントルイス地区連銀ブラード総裁は今月9日、米失業率の低下や心強い内容となっている他の経済指標を受け、利上げ開始時期に関する自身の予想を前倒しする可能性があるとの見解を示した。米経済が寒波の影響から回復しつつあるなかで、タカ派的な意見は広がりをみせている可能性がある。

一方、労働市場には「スラック(緩み)」があり、賃金は上昇しにくく、インフレの脅威よりもディスインフレの懸念の方が大きいため、テーパリングの加速や利上げは時期尚早というのがイエレン議長をはじめとするFRB執行部の考え方だ。失業率も短期ではなく長期を重視している。

150億ドルへのテーパリング増額は否決され、最終的にイエレン議長をはじめとするハト派が主導権を握るとの見方が市場では多いものの、FOMC内でタカ派的な意見がどこまで勢力を伸ばしているのかを探るのが、今回の大きな焦点となる。

<注目集めるFRBの経済見通し>

「水面下」での議論を推し量る手段として、いつも以上に注目されそうなのが、四半期ごとの経済見通しだ。

経済見通しでは、GDPや失業率、物価などの見通しに加え、フェデラルファンド(FF)金利の最初の引き上げに適切な時期と金利水準も示される。利上げ時期は前回3月時点は今年が1人、来年が13人、2016年は2人。金利水準の平均予想は、来年末時点が1%、2016年末は2.25%だった。

今回のFOMCから、スタンレー・フィッシャー前イスラエル中銀総裁がFRB副議長として、ラエル・ブレイナード前財務次官がFRB理事として加わる。FOMC内の勢力図がどうなったのかを、この経済見通しにおけるFOMCメンバーの「予想分布図」によって市場は見極めようとしている。

一方、第1・四半期のGDP成長率が寒波の影響でマイナス1.0%と大きく下振れたため、成長率見通しを引き下げる可能性もある。しかし、足元の経済指標の動きを反映させ、失業率を引き下げ、インフレ予想を引き上げるとすると、整合性がとりにくい予想になってしまう。

イエレン議長の会見では、この点をどのように説明するか注目される。短期の失業率の低下が賃金を上昇させ、インフレ圧力を強めるとの考えをにじますようであれば、タカ派的な「匂い」を市場がかぎとる可能性もある。

<米株の反応がポイント>

イエレン議長のイメージがハト派的であるだけに、経済見通しやFRBを代表しての発言となる会見で、タカ派的なニュアンスが漏れてきたと市場が受け止められれば、サプライズになるとの見方が多い。

イングランド銀行のカーニー総裁が、利上げ時期が市場の予想よりも早まる可能性を示唆したこともあって、マーケットには米FOMCでのタカ派的な内容に対して、一定の備えができつつある。しかし、低水準にとどまる米金利が示すように、現在の金融市場は、緩和モード長期化を前提に動いている。

世界銀行に続き、IMF(国際通貨基金)も米経済見通しを引き下げているなかで、FRBが強気な見通しを示せば、早期利上げの観測を強めやすい。「タカ派的なニュアンスが出たほうがマーケットインパクトは大きくなる」とマネースクウェア・ジャパン市場調査室の山岸永幸氏は指摘する。

ただ、FRBのタカ派的な内容に対するドル/円や日本株の反応は読みにくい。米金利が上昇すれば、ドル高・円安要因となるが、米株が下落すればリスクオフの円買い需要が発生するためだ。日本株も米株安が進む中では、円安になっても素直に反応にしくいとみられている。市場反応のポイントは米株だ。

ニッセイ基礎研究所シニアエコノミストの上野剛志氏は米株について「米企業業績は悪くないため、今の株価水準が高すぎるとは思わないが、量的緩和が続いていることが大前提にある」と指摘。「量的緩和が秋に終了することは既定路線だが、その後も低金利がある程度の期間継続するとの期待がある。この期待が後退することを、株式相場は嫌がるだろう」との見方を示す。

米経済が順調に回復していることを示し、米金利が上昇するなかでも、米株が上昇、ドル/円も上昇し、日本株は円安・米株高のダブルメリットを受ける──。金融緩和にどっぷりつかっている現在のマーケットが、「出口」を織り込んで、こうした素直な展開になるには、まだ相当の時間がかかるとみられている。

(伊賀大記 編集:内田慎一)

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