April 28, 2014 / 10:08 AM / 5 years ago

減速する企業業績に警戒感、「保守的」と割り切れず株価下落

[東京 28日 ロイター] - 国内企業の業績に対し、市場の警戒感が強まっている。決算発表は序盤だが、増益見通しでも前期より伸び率が低く、市場期待値を下回って株価が下落するケースが多いためだ。

 4月28日、 国内企業の業績に市場の警戒感が強まっている。決算発表は序盤だが、増益見通しでも前期より伸び率が低く、市場期待値を下回って株価が下落するケースが多いためだ。14日撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

期中の下方修正を避ける「保守的」な予想との見方もあるが、市場の反応は厳しい。割安感も漂うが、円安効果や政策効果を除いた日本企業の「実力」にまだ不安があるとされ、押し目買いの動きは乏しい。

  <売られたホンダ株>

企業業績への警戒感を象徴したのが、決算に対するホンダ(7267.T)の株価の動きだ。前週25日に発表した2014年3月期の連結営業利益は37.7%増の7502億円と好調だったが、15年3月期予想は1.3%増の7600億円と微増の予想。市場予想の8923億円を大きく下回ったことが嫌気され、週明け28日の市場で株価は4.47%下落、年初来安値を更新した。

ホンダの会社側予想は「保守的」とみるアナリストは多い。ドル/円JPY=EBSの想定レートを100円と想定。ブラジルレアルなど新興国通貨の下落も670億円の減益要因と見込んだが、足元で新興国通貨は戻り歩調だ。「リコール問題などもあり、同社はこれまで2年続けて業績下方修正してきた。今回こそ下振れないように、かなり弱めに見積もった可能性がある」(ゴールドマン・サックス証券、アナリストの湯澤康太氏)という。

ニッセイ基礎研究所・金融研究部主任研究員の井出真吾氏によると、企業が発表した業績予想は、過去10年のうち7年は最終的に増額された。下方修正されたのはリーマン・ショックが起きた2008年や東日本大震災の2011年などであり、強気過ぎた予想が下方修正されるケースは少ない。「下方修正を避けたいという経営者心理もあるが、未来を予想するのは誰でも難しく、予想は慎重になるのは仕方がない」という。

大和証券によると、同社調査対象200社のうち、4月25日時点で58社(公表率29%)が2013年度決算を発表した。13年度経常利益は前年比27%増だったが、14年度予想は2%増にとどまっている。市場予想の今期10%増益を最終的に達成できる可能性が高いと自信が持てるならば、マーケット全体(日経平均)のPERが14倍台と歴史的に見ても割安感が漂う今は買いのチャンスだが、投資家は慎重なスタンスを崩さず、押し目買いの動きは鈍い。

決算発表に対する市場反応では、日本電産(6594.T)など業績好決算発表は素直に評価されている銘柄もある。

ただ、15年3月期の連結営業利益が前期比15.4%減になるとの見通しを発表した資生堂(4911.T)などもあり「減益シナリオも視界に入ってきた」(しんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏)との声も出始めた。

<国内市場に不安>

国内企業の3月期決算の発表が始まったのは前週だが、日経平均は4月18日の1万4516円から28日終値まで約228円下落。ウクライナ情勢の緊迫化などもあり、国内企業業績だけの影響ではないが、少なくとも現時点では、株価を押し上げるには力不足という結果になっている。

ホンダの株価は、今期の業績見通しが当初は保守的になるかもしれないという「ガイダンス・リスク」を織り込んですでに下落していた。昨年末の4330円から約1000円(約23%)下落し、予想株価収益率(PER)は10倍程度まで低下していた。決算発表を受けても、GS証券など「買い」のレーティングを継続するアナリストは多く、アク抜け感が出てもおかしくなかったが、押し目買いは鈍く、株価は終日軟調な展開だった。

ホンダだけでなく、トヨタ自動車(7203.T)もPERが10倍を割り込んでいる。自動車セクターはアベノミクスによる円安などの恩恵が大きかったとみられているが、足元の好調な業績とは裏腹に、株価は低調だ。

そのギャップについて市場では「コア市場である国内市場の回復が見えない。アジアなどの経済減速にも懸念がある。日本企業は円安効果や政策効果がなくなったときでも稼ぐことができるのか、まだわからない」(外資系証券・自動車担当アナリスト)との指摘が出ている。賃金の上昇は限定的で消費増税の影響はまだ読めない。

日米でのTPP(環太平洋連携協定)合意は競争力回復のひとつのきっかけになりうるはずだったが、それもひとまず見送られた。

ハイテク製品などの国際競争力の低下も目立つ。かつて世界を席巻した日本製品の影はグローバルマーケットで薄くなっている。「今の日本の輸出入をみると、半製品をアジアに輸出して、完成品を輸入している構図だ。付加価値の高い完成品を輸出するようにならなければ、輸出額は増加しないだろう」(JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・マーケット・ストラテジストの重見吉徳氏)との指摘は多い。

ウクライナ情勢の緊張感が緩むなどして、リスクオフムードが解消されれば、日本株の割安感に注目した買いが入る可能性もある。1ドル100円を割り込まず、海外経済が堅調であれば増益基調は維持できるとみられている。しかし、それでは為替や海外経済次第だったアベノミクス前の日本企業の状況となんら変わりない。たとえ需給対策で一時的に株価が上昇したとしても、真の意味での「稼ぐ力」を回復しなければ、日本株の再評価は一時的に終わるおそれがある。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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