November 7, 2014 / 8:32 AM / 6 years ago

日欧の緩和加速でカネ余り、「バブル」発生への警戒も

[東京 7日 ロイター] - 日欧の中央銀行が緩和姿勢を明確にしており、金融市場ではカネ余りが加速する見通しだ。世界的に景気は米国を除いてさえない状態が続いているが、それゆえ資金需要は弱く、株式などリスク資産に資金が流入し続ける可能性が大きい。ただ、実体経済とのかい離も広がるため、マネーだけが拡大する「バブル」発生への警戒も強まっている。

 11月7日、日欧の中央銀行が緩和姿勢を明確にしており、金融市場ではカネ余りが加速する見通しだ。都内の外貨両替所で2010年9月撮影(2014年 ロイター/Yuriko Nakao)

<220兆円のマネー流入へ>

日銀の追加緩和発表から1週間。今度は欧州中央銀行(ECB)が追加緩和の姿勢を明確に打ち出した。

ドラギECB総裁は6日の理事会終了後の会見で、必要であれば理事会全員が一段の措置を講じる用意があり、これに備えスタッフに追加策の準備に着手するよう指示したことを明らかにした。想定されているバランスシートの規模は3兆ユーロで、現在から1兆ユーロ(約142兆円)上回る水準だ。

日銀の追加緩和では、マネタリーベースを80兆円程度増加させることを決定しており、ECBと合わせれば、220兆円の巨額なマネーが中央銀行から金融機関に流れ込むことになる。米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和策を終了したが、資産の縮小は利上げ後だ。グローバルでのカネ余りはさらに加速する可能性がある。

世界的な超金融緩和の背景には弱々しい経済があり、政策当局者の期待ほどには資金需要は拡大していない。いきおい、行き場を探すマネーは金融市場に流れ込むことになるとみられる。「信用スプレッドはつぶれ、株式や高利回り商品などリスク資産が選好されることになりそうだ」と、りそな銀行・総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏は予想する。

<PERが急上昇>

実際、株式のバリュエーション水準は切り上がろうとしている。

日銀が追加緩和を発表する前日10月30日、日本株の予想株価収益率(PER)は、日経平均.N225で15倍前半、TOPIX.TOPXで約16倍だった。それが追加緩和後の11月5日時点で日経は16倍前半、TOPIXは約17倍まで上昇している。

その間、一株利益(日経平均採用)は1030円程度から1050円程度に上昇しただけであり、追加緩和前のPERが続いているなら、株価は1万6000円にすら届かない。日経平均で16倍前半、TOPIXで約17倍は歴史的な水準からみれば割高感も漂う水準だが、金融緩和に沸くマーケットでは強気が支配中だ。

強気派の中には、円安が株高を正当化するとの見方が多い。日欧の緩和強化と米国の緩和終了というコントラストはドル高/円安を後押ししており、円安分は企業収益の上積み部分として期待できるという。

9月中間決算発表時点の想定為替レートは100─105円が多く、このまま115円前後で推移すれば、10─15円の「のりしろ」ができる。「輸出が増えなくても為替換算の分だけで利益を押し上げる。その分の株高は正当化できる」と日本アジア証券グローバル・マーケティング部次長の清水三津雄氏はみる。

SMBCフレンド証券チーフストラテジスト、松野利彦氏の試算によると、アベノミクス以降のドル/円と日経平均株価の関係性からすれば、ドル円が115円の場合、日経平均は1万8205円になるという。「最近は相関ラインがやや下にシフトしているのが気になるが、GPIFと日銀で8兆円分の日本株を買うことが想定される。異次元緩和以降の相場を踏襲すると考えていいだろう」と話す。

 <海外勢の買い・国内勢の売り>

ただ、実体経済が伴わない株高を警戒する声も少なくない。消費増税後の日本経済は厳しい状態が続いており、今回の中間決算発表でも、内需が業績の足を引っ張った企業が目立った。

スズキ(7269.T)はインドでの販売が依然好調である一方、国内での販売減が響き、2014年7―9月期の連結営業利益は8四半期ぶりの減益となった。鈴木修会長兼社長は6日の会見で、軽自動車税の増税と消費再増税の可能性があることに懸念を示し、「軽の見通しは非常に暗い」と述べている。

また伸びない輸出にみられるように、円安が企業の競争力を引き上げているとはいまだ言えない状況だ。「円安は株価にとってプラス材料ではあるが、円安を活かして本業が回復するのでなければ、長期投資家は本格的に資金を投入するというのは難しいのではないか」としんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏は話す。

こうしたなかでの急速な株高。中央銀行の市場への過剰な関与で、ファンダメンタルズからかい離したバリュエーションが形成されることへの警戒感は国内勢に強いようだ。「日銀はルビコン川を渡った。あとはバブルが生じるだけだ」(生保系エコノミスト)。

外国人投資家は前週、日本株を現物と先物合計で1兆3681億円と大幅に買い越した。一方、個人は9453億円と大幅な売り越し。積極的な海外勢に対し、消極的な国内勢という構図は変わっていない。

(伊賀大記 編集:佐々木美和)

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