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NT倍率が今年最高水準、年末年始の日本株乱高下に警戒信号
2014年12月24日 / 08:32 / 3年前

NT倍率が今年最高水準、年末年始の日本株乱高下に警戒信号

[東京 24日 ロイター] - 日経平均.N225の突出した上昇ぶりが、再び目立ってきている。TOPIX.TOPXとの比率であるNT倍率.NTIDXが今年最高水準に上昇。昨年末のレベルに近づいてきていることで、今年初めにかけて見られたような株価の乱高下が警戒されている。

 12月24日、日経平均の突出した上昇ぶりが、再び目立ってきている。TOPIXとの比率であるNT倍率が今年最高水準に上昇した。写真は東証。10月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

市場の日本株先高観は強いものの、過剰流動性がベースの上昇相場だけに荒れる展開には注意が必要だ。

<よみがえる昨年の記憶>

24日の市場で日経平均が219円高と1.24%上昇したのに対し、TOPIXは0.92%上昇にとどまった。その結果、日経平均をTOPIXで割った比率であるNT倍率は24日終値で12.52倍まで上昇し、11月13日につけた終値ベースでの今年の最高水準に並んだ。

NT倍率の上昇が注目されるのは、昨年末から今年初めにかけて日本株が乱高下した際に、同倍率が急上昇していたためだ。

同倍率は昨年12月25日に2000年以降での最高水準となる12.72倍まで上昇。日経平均はその後、12月30日に年初来高値1万6320円を付けたが、新年に入ると一気に軟化し、2月4日の1万4008円まで急落した。NT倍率は1月20日には12.09倍まで低下している。

もちろん、昨年末から今年初めにかけて乱高下したのは日経平均だけではない。早期の米利上げ警戒に伴うマネー縮小懸念などから米ダウ.DJIもドル/円JPY=も乱高下した。

しかし、昨年末高値から2月初旬前後につけた安値までの下落率を比較すると、ダウが6.7%、ドル/円が4.4%なのに対し、日経平均は14.1%と突出している。

日本株の振れ幅(ボラティリティ)が大きいのは、売買シェアで海外投資家が7割近くを占め、国内投資家が少ないという構造的な問題もある。だが、昨年末から今年初めの乱高下に関しては、日経平均がTOPIXに対して突出して上昇していたという「ゆがみ」も一因だったとみられている。

日経平均だけが突出して上昇する仕組みは、昨年と同様だ。ファーストリテイリング(9983.T)など寄与度の大きい値がさ株が急上昇し、指数を引っ張っている。24日の市場ではファーストリテイリング(9983.T)が2.93%上昇し、1銘柄だけで日経平均を約51円強押し上げた。同株は、特段の材料が観測されないまま年初来高値を突破している。

市場では「海外短期筋が値がさ株を買い上げることで、指数の釣り上げを狙っているのではないか」(国内証券ストラテジスト)との観測が絶えない。みずほ証券・エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏は「12月初旬の調整は小幅だった。特段の買い材料がないまま日経平均が1万8000円を超えていくようであれば、年明けの再調整リスクが高くなる」との見方を示している。

<債券運用難で株式の注目度はアップ>

低金利による運用難は深刻化している。24日の円債市場で、国債利回りは10年債が0.325%に低下、20年債でも1.085%と1%ギリギリだ。中期債はもっとひどく、2年債が0.040%、5年債が0.040%と0.1%を大きく割り込んでいる。世界の債券市場も各中央銀行の超金融緩和で低金利が続いており、「安全資産」での運用難は各国共通だ。

ある株式担当の国内証券ストラテジストは、最近、地方の銀行などに講師として呼ばれることが多くなっていると明かす。「国内の金融機関はあまりの低金利のため、収益確保のためにどこかでリスクを取っていかなければならなくなっている。日本株などに興味を示しているようだ」という。

「掉尾(とうび)の一振」──。「掉尾」とは、物事が最後になって勢いの盛んになることで、年末の株高を指してそう呼ばれることがある。

大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏によると、過去20年の日経平均の年末最終5営業日間は18回上昇している。さらに、各証券会社の来年の日経平均予想は2万円台が並ぶ。現時点から仕込んでおけば、10%以上の値上がりが期待できる水準だ。

しかし、アノマリーや、「ゆがみ」を伴った日経平均上昇につられて日本株を買うと、痛い目をみるのは今年初めの相場で証明済みだ。

<米経済拡大シナリオのリスク要因>

7─9月期実質国内総生産(GDP)確報値が前期比年率5.0%に上方修正され、米経済の独り勝ちの構図がますます鮮明化してきている。

しかし、世界の名目GDPに占める米国の比率は1985年には35%だったが、2013年には22%まで低下。以前のように米国が潤えば世界が潤うというわけにはいかなくなっている。

一方、米連邦準備理事会(FRB)は、米国の低インフレ状態が続いていることで利上げを急ぐ必要性は低下しているが、景気の回復力を重視すれば、金利の「正常化」は近づく。米景気拡大の恩恵が世界に行きわたらない中でマネーだけが収縮すれば、他国市場への悪影響は大きくならざるを得ない。

三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「利上げの際にはリバースレポのレートを引き上げることになるとみられるが、金利を高く設定してしまえば、高金利に注目したマネーが他市場からシフトする可能性もある」と指摘する。

逆に、米経済への期待感が後退するリスクシナリオもある。7─9月期GDPはあくまで過去の数字だ。11月の米経済指標の中には、耐久財受注や新築1戸建て住宅販売など弱い数字も垣間見られた。過剰な自動車ローンなど問題も残っている。

「米国経済の拡大シナリオにのめり込み過ぎると失望のリスクも大きくなる。過剰流動性がベースの上昇相場であり、荒れる展開には常に警戒が必要だ」とアストマックス投信投資顧問・証券運用部シニアファンドマネージャーの山田拓也氏は話している。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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