October 9, 2014 / 9:28 AM / 6 years ago

FOMC議事録で金融相場復活、円安停滞で日本株は逆行安

[東京 9日 ロイター] - マーケットは金融相場に逆戻りしたようだ。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は景気に対して慎重な見方を示したものの、利上げに前のめりではないことが好感され、米市場では株高・債券高の同時高が進行した。

 10月9日、マーケットは金融相場に逆戻りしたようだ。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は景気に対して慎重な見方を示したものの、利上げに前のめりではないことが好感され、米市場では株高・債券高の同時高が進行した。7月撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

だが、米金融緩和の長期化はドル安・円高材料であり、世界的に景気が減速すれば日本の輸出企業の収益を圧迫する。日本株にとって相対的に不利な展開であり、逆行安となっている。

<国内金利、邦銀・年金・海外勢の買い>

金融相場が復活したきっかけは、米連邦準備理事会(FRB)が8日公表した9月16─17日開催のFOMC議事要旨だ。世界的な景気減速が米国経済に及ぼすリスクや、ドル高が成長やインフレに与えるリスクへの言及があったことが明らかになり、FRBは早期の利上げに踏み切らないと市場で受け止められた。

8日の米市場は議事要旨が公表されると雰囲気が一変。それまで小動きだった米ダウ.DJIが274ドル高と急伸する一方、10年米債価格は上昇、利回りは2.3%台に低下。金融緩和(長期化)期待を買い材料にして株高・債券高が同時進行する金融相場(流動性相場)が復活した格好だ。

世界的な金利低下は日本にも波及。10年長期金利JP10YTN=JBTCは節目の0.5%を割り込み、0.485%と約1カ月半ぶりの水準に低下した。銀行や年金などの国内勢に加えて、海外勢の買いが観測されている。

ドイツ証券・チーフ金利ストラテジストの山下周氏は「海外景気の落ち込み次第では、米国もマイナスの方向に引っ張られるシナリオも想定され始めているようだ。米債市場では可能性として、米利上げ観測の後退を少し意識した動きとなった」と話す。

<ドル高シナリオに陰りも>

今回の議事要旨で注目されたのは、FRBが世界経済に対して強い懸念を示した点だ。一部のFRB当局者はユーロ圏のさえない成長率やインフレ率に言及。複数の当局者は「中国か日本の経済成長減速、もしくは中東かウクライナにおける予期せぬイベントが、同様のリスクをもたらすかもしれない」と指摘した。

三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「世界経済への懸念をこれほどまでに示すのは、米当局者としては珍しい。世界経済の回復なしでは、米経済も厳しいとの認識が広がっているのではないか。金融緩和の長期化を織り込む動きが復活しそうだ」との見方を示す。

実際、米経済は世界経済への依存度を強めている。米国と世界全体の国内総生産(GDP)を比較してみると、10年前は米国が30%を占めていたが、昨年は22.4%までに低下している。

一方、欧州や中国のGDP比率は拡大。最近は「内向き」とも言われる米経済だが、グローバルマーケット依存度はかつてないほど高まっている。業績が好調な米国企業をみると、世界全体で事業を展開しているグローバル型企業が多いことも、それを示している。

ドル・インデックス.DXYは4日続落。これまでマーケットは、米景気改善に伴い、米金融政策が正常化し、米金利が上昇。ドル高/円安が進行するという業績相場に向かうシナリオをたどっていた。ドル高を容認する要人発言もそれを後押ししていた。米経済の相対的な強さに変化はなく、ドル高シナリオが崩壊したわけではない。

しかし、FRB当局者の微妙なトーンの変化は、シナリオを変更させないまでも、相場調整を加速させるには十分であり、ドル/円は8日夕方の市場で107円半ばまで下値を広げている。

新生銀行・執行役員市場調査室長の政井貴子氏は「米国サイドに目を向けると、マーケットが一時想像していたよりは長期金利の上昇スピードが緩やかになっている。日米金利差の拡大ストーリーから、ドル高/円安がどんどん進展していくという見方は、分が悪くなってきた」と話す。

<日本株にはダブルのマイナス材料>

米金融緩和の長期化観測を背景にした金融相場は、日本株にとって不利な展開だ。8月上旬以降、日経平均は約1500円上昇したが、その原動力は102円台から一時110円まで進んだ円安に他ならない。円安の日本経済全体への影響については見方が分かれているものの、「輸出企業の影響が大きい日本株市場において円安はプラス材料」(国内証券)とみられている。

「ドル/円が107円の現水準であれば、輸出企業の増益期待は変わらない」(SMBCフレンド証券・チーフストラテジストの松野利彦氏)との指摘は多い。ただ、円安を除けば買い材料が乏しいだけに、調整局面においては、利益確定売りを誘発しやすい。

さらに米金融緩和長期化の背景が世界景気の減速懸念とあっては、世界市場での販売に黄信号がともる。日本の輸出株にとっては、円安減速とダブルでのマイナス材料となりかねない。

10月第1週(9月29日─10月3日)の海外投資家による日本の現物株と先物合計の売買は、1兆0632億円の売り越しと今年2番目の規模に膨らんだ。しかし、8月第2週から9月第3週まで約2兆5000億円を買い越しており、売りの「余裕」はまだ大きい。

8日の日経平均は前日比100円を超える下落となり、270ドル上昇した前日の米ダウと明暗を分けた。市場では「円安シナリオが陰り、相対的に日本株は不利とみた海外勢が売ってきた。日柄調整ではなく、値幅調整となる可能性が出てきた」(大手証券トレーダー)と懸念する声も聞かれ始めてきた。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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