January 28, 2015 / 9:28 AM / 3 years ago

国内企業決算で円安と原油安の影響見極めへ、高い市場の期待値

[東京 28日 ロイター] - 今週から発表が本格化する10─12月期国内企業決算に注目が集まっている。円安と原油安の影響の見極めが今回のポイントだが、想定以上の円安進行で輸出企業中心に業績上振れの見方が多い。

 1月28日、今週から発表が本格化する10─12月期国内企業決算に注目が集まっている。東京の証券会社前で26日撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

ただ、原油安は評価損などのデメリットが先に出やすく警戒感もある。市場の期待値が高く、保守的な内容では嫌気される可能性もありそうだ。

<短期的に目立ちやすい原油安の悪影響>

原油安は中長期で見れば、日本経済や日本企業にメリットをもたらすとの見方が多い。円安により原油安の効果は割り引かれるとはいえ、原油価格下落のスピードが速いこともあり、トータルでは原油安のメリットが上回るとみられている。

みずほ証券の試算では全産業で約1兆円のプラスとなり、年間の営業利益を約1.2%押し上げる。

一方、貿易収支の改善という視点で見れば、2013年と比べ14年は原油安が60ドル超、円安が対ドルで18円程度進んでおり、トータルで約8兆円、国内総生産(GDP)を約1.6%程度押し上げるとの試算もある。ガソリン価格などの下落は国内消費の押し上げ要因であり、企業業績にもプラスだ。

ただ、こうしたメリットはあくまで中長期での効果。短期的には在庫の評価損や資源権益の減損損失などデメリットが目立つ。

東燃ゼネラル石油5012.Tなど石油元売り大手は在庫評価損を計上、丸紅(8002.T)や住友商事(8053.T)など総合商社も原油安が引き金となり、設備や権益などの減損損失を計上した。コマツ(6301.T)や日立建機 (6305.T)など日本の建機株も米キャタピラー(CAT.N)のさえない決算で連想売りを浴びている。

「石油設備への投資が減少すれば、シームレスパイプなどの需要も減少する。10─12月期業績にはまだ影響が出てこないかもしれないが、新日鉄住金(5401.T)の会見などで動向を確かめたい」と、日本アジア証券・グローバル・マーケティング部次長の清水三津雄氏は話す。空運や海運などメリットを受けるセクターもあるが、今回に関しては、デメリットのインパクトが大きくなる可能性もあるため、注意が必要とみられている。

<対ドルの円安が対ユーロの円高を圧倒>

一方、円安に関しては10─12月期の業績を一定程度、押し上げるとみられている。「一定程度」というのは、ドル/円JPY=EBSが120円付近のレベルに押し上げられたのが、昨年10月31日のいわゆる「黒田バズーカ2」以降だからだ。

それまでドル円は、110円以下のレベルで推移していた。12月日銀短観では14年度上期の大企業・製造業の想定為替レートは102.64円。2013年度が99.17円であり、それほど変わらない。円安効果をフルに享受できるのは11月以降となる。

日本企業からみると、対ドルの円安が進む一方で、対ユーロでは円高が進んでいる。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和導入やギリシャ総選挙などイベント通過で、やや買い戻されているとはいえ、現状の134円程度は多くの企業が想定為替レートとして置く135円付近に対し、わずかながら円高水準だ。

対ドルの円安と対ユーロでの円高では、どちらの影響が大きいのか──。

大和証券の200社ベースの試算では、2014年度では1円の変動に対し経常利益ベース(予想28.4兆円)で、対ドルでは730億円、対ユーロでは200億円の影響が出る。15年度(同31.7兆円)では対ドルが1660億円に対し、対ユーロは420億円だ。

「ドルの方がユーロに対し、影響度は約4倍近く大きく、日本企業は円安メリットを大きく享受できる環境だ。1ドル120円程度の円安が続くならば、来期以降も日本企業の業績は拡大すると予想できる」(大和証券・投資戦略部ストラテジストの守田誠氏)という。

<「稼ぐ力」にはまだ疑問>

ただ、「円安による収益押し上げ効果を除けば、日本企業のいわゆる『稼ぐ力』はまだ十分ではない」(ニッセイ基礎研究所・金融研究部主任研究員の井出真吾氏)との指摘は多い。原油安は「神風」だが、これも外部要因だ。

現状の118円程度のドル/円レートが3月まで続けば、2014年度平均は110円程度になる見通しだ。2015年度が平均120円で推移すれば、収益押し上げの円安効果をまだ維持できる。

大和の200社ベース予想では来年度も10%近い増益予想だ。しかし、2016年度もこの効果を続けるためには円安が130円台まで進むことが必要になる。これ以上の円安が日本にとってプラスかには議論がある。

日本企業の損益分岐点は低下しており、競争力は高まっているが、設備投資や人件費を抑えたコスト減の効果が大きいとみられている。そうであれば、前向きな動きとは言いにくい。

生産拠点の国内回帰は一部で進んでいるが、年間50万人ペースで人口減少が進む日本に本格的に戻るかは疑問だ。成長戦略への評価は低く、効果が発揮されるとしてもまだしばらく先になる。継続的な成長力には疑問符がまだつく状態だといえよう。

世界的な低金利の進行により、株式などリスク資産へのマネーシフトも期待されている。日本の10年債利回りが0.2%台なのに対し、東証1部の配当利回りは1.5%程度。企業が株主還元を積極化させていることで、利回りの魅力も増している。

しかし、日本の民間の機関投資家の動きはまだ鈍い。積極的に日本株のウエートを増す日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などとは対照的だ。「日本や日本企業への信頼感の回復は、まだ限定的。持続的な成長力には疑問が残る。日本株へのシフトはあくまで一部にとどまりそうだ」(しんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏)という。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below