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東京市場で鳴りを潜める海外勢、株価本格上昇に欠かせぬ「主役」

[東京 30日 ロイター] - 日本株の底堅さが、市場関係者の話題になっている。その中心的な存在として見られているのが公的資金の買いだ。しかし、基本的に押し目買い中心であり、上値を追う本当の「主役」には海外勢の復帰が欠かせないとの声が多い。

 1月30日、日本株の上値を追う本当の「主役」には海外勢の復帰が欠かせないとの声が多い。東証で先月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

だが、2013年のようなアベノミクスへの「熱い期待」は薄れており、主要企業の大幅な増益などミクロ面でどれだけアピールできるかがカギとなる。

<大崩れ防いだ日銀と公的年金の買い>

1月の日経平均.N225はスタートから急落する波乱となったが、調整幅は850円程度と小幅に終わり、終盤の追い込みによってプラスで終わった。

第3週まで明らかになっている需給動向をチェックすると、現物株と先物の合計で、もっとも日本株を買い越しているのが、信託銀行の5800億円だ。信託銀行の売買動向は、その大部分を年金資金が占めるとされる。

昨年10月末に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、運用資産における国内株式の割合を12%から25%に引き上げた。市場では「かんぽ生命保険や今年10月にGPIFと一元化される3共済による株買い増しも寄与した可能性がある」(外資系証券トレーダー)との観測が出ている。

日銀のETF(上場投資信託)買いも日本株を下支えた。29日まで明らかになっているデータでは、1月中に3443億円のETFを購入している。1月に入っては2日に1回のペースで購入しており、単純計算では、このままでは9月ごろには目標額の3兆円に達してしまうオーバーペースぶりだ。

昨年も年初、1月から2月にかけて大幅な調整局面があったが、日経平均の下落幅は約2300円と今年の3倍近くだった。需給面からみると、こうした公的年金や日銀の買いのおかげで1月の日経平均は大崩れしなかったといえる。直接的な効果だけでなく、「当局の買いがあるとみれば売りは仕掛けにくい」(外資系投信)という間接的な効果もあったようだ。

<株価を左右するのはやはり海外勢>

しかし、1月の日経平均の上昇幅は前年12月30日の1万7450円に対し、1万7674円とわずか約224円。1兆円近い日銀と公的年金の買いが入っても1.2%しか株価を押し上げることができなかったともいえる。底堅いとはいえ、昨年来高値の1万8030円を前に伸び悩み気味だ。

1月第3週までに、もっとも日本株を売り越したのは、海外投資家だ。現物と先物を合わせ1兆7726億円売り越している。海外勢が売り込めば、やはり日本株は上昇しにくい。

2013年、日経平均が56%も上昇したのは約15兆円日本株を買い越した海外勢のおかげだ。6967億円の買い越しにとどまった昨年は約7%の上昇にとどまった。昨年は信託銀行(国内年金)が2兆6708億円と最大の買い手に浮上したが、「上値を買うのは海外投資家しかいない」(大手証券トレーダー)ことを如実に示した格好だ。

ただ、海外投資家の動きには変化もみえる。週ごとにみると、第1週は1兆2134億円の売り越し、第2週は7585億円の売り越しだったが、第3週は1993億円の買い越しに転じた。

今週に入ってのデータはまだ公表されていないが、市場の話題になったまとまった買いは公的資金ではなく海外勢の買いとの見方もある。

大和証券・投資戦略部課長代理の熊澤伸悟氏は、米株安にもかかわらず、日本株が小幅高となった28日の相場について、海外短期筋の買いが入ったとみている。「株価が戻ると同時に円安も進んだ。公的年金の買いであればヘッジの円売りは出さない。CTA(商品投資顧問業者)などが、ヘッジの円売りを日本株買いと同時に入れた可能性がある」という。

<今年はマクロでなくミクロに期待>

果たして海外投資家は一昨年のように買いに転じてくれるのか──。

「アベノミクスに関する問い合わせは、めっきり減っている」(米系証券エコノミスト)とされるなか、日本株関係者が期待するのは日本企業というミクロの魅力だという。

米景気回復、円安、原油安のメリットを受ける日本企業には業績上方修正期待が大きいとクレディ・スイス証券・プライベート・バンキング本部CIOジャパンの松本聡一郎氏は話す。「グローバルな比較で割安感がある。日銀や公的年金の買いもある。海外投資家にとって日本株投資を積極化しやすい環境だ」という。

ドル/円JPY=EBSの昨年の平均レートは110円程度。円安がさらに進まなくとも、現在の118円程度の水準で推移すれば為替換算の円安効果は来期も十分享受できる。

円安が現在の水準で止まる一方で、日本株が上昇すれば、海外投資家にとって魅力が増す。ドル建ての目減りが防げるためだ。

ただ、逆に海外投資家がリスクオフに転じたり、日本に対し、失望に転じた場合には、日銀や公的年金の買いは「あだ」になりかねない。

「公的資金や日銀の買いが変に下支えすれば、投資家は下がりにくい相場ととらえ、ショートは溜まりにくくなる。一方、ロングは溜まるだろう。この点だけでいえば、反発しにくく、急落しやすい需給を作り上げかねない」とみずほ証券・エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏は話す。

海外勢が大規模な売りに転じれば、日銀や公的年金の買いでは下支えられないことは、これまでの急落局面で示されている。日銀や公的年金の買いが「主役」になるようでは、日本株の先行きは明るくないだろう。海外投資家そして機関投資家や個人投資家など国内勢が積極的に買ってくれるような魅力作りが長期の株価上昇には欠かせない。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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