July 17, 2015 / 9:02 AM / 4 years ago

相場が「梅雨明け」しない理由

――ギリシャと中国株の海外2大リスクは後退したものの、相場の「梅雨明け」には、まず日米の企業決算発表を見極める必要があるとの声は多い。

 7月17日、ギリシャと中国株の2大リスクが後退したにもかかわらず、金融市場全体には重い空気が漂っている。写真は都内の株価ボード(2015年 ロイター/THOMAS PETER)

[東京 17日 ロイター]- ギリシャと中国株の2大リスクが後退したにもかかわらず、金融市場全体には重い空気が漂っている。緩やかな景気回復シナリオがとん挫したわけではないが、ギリシャや中国の問題が、世界経済に与える影響の度合いが依然として不透明なためだ。

相場の「梅雨明け」には、まず日米の企業決算発表を見極める必要があるとの声が多い。

<「謎」のバルチック上昇>

市場関係者を悩ませている1つの「謎」がある。コモディティ市場が軟調な一方で、ばら積み船運賃の国際市況を示すバルチック海運指数.BADIが急騰していることだ。6月上旬ごろから上昇を始め、16日には10日続伸となり、昨年12月4日以来の1000ポイント大台突破となった。

船舶の需給などの影響もあり、貿易量だけが船賃を決めるわけではない。ただ、世界景気の減速懸念が広がる中で、世界貿易の「体温」を示すといわれるバルチック(・ドライ)海運指数がどんどん上昇していく状況に、市場関係者の多くが違和感を感じている。

「原油在庫が増加していることで、タンカーを倉庫代わりに使っている可能性がある。穀物などコモディティの需要が増加している様子はみられない。世界景気の先行きに明るい兆しが見えて、ばら積み船運賃が上がっているわけではないようだ」とエモリキャピタルマネジメント代表取締役の江守哲氏は話す。

原油など19商品の先物相場で構成されるトムソン・ ロイター/コアコモディティーCRB指数.TRJCRBは、16日の市場で続落。今年初めから、リーマンショック時以来の低水準となるレンジ相場にはまり込んでいるが、そこから抜け出すムードは乏しい。

<不安残る海外景気>

ギリシャのユーロ離脱リスクは後退したが、根本的な問題解決に至ったわけではない。ギリシャへの資金支援への道筋は整い、ユーロ離脱の可能性は後退した。だが、ギリシャがきちんと緊縮策を履行しながら、経済を成長軌道に戻せるのか、先行きは不透明だ。

「毒薬」と呼ばれた銀行閉鎖は20日に解かれる見通しだが、預金流出への懸念が大きい。ギリシャの財政再建には債務減免が必要との見方も多いが、債務減免を認めてしまうと、スペインやポルトガルの反緊縮派が勢いづく可能性もある。

中国株も、なり振りかまわぬ当局の介入で何とか下げ止まった。しかし、人為的な介入での底割れ回避であり、下落トレンド再開への警戒感は強い。同国の4─6月期国内総生産(GDP)の伸び率は、政府目標通り7.0%で着地したが、額面通りに受け取るエコノミストは少ない。

米景気は回復が緩やかで、原油安の追い風効果は今のところ限定的だ。欧州はギリシャの景気減速が足を引っ張るおそれがある。日本でも6月の景気ウォッチャー調査が悪化。食料品などに値上げが広がるなか、消費の先行きには不安も強い。エルニーニョ現象による異常気象も気がかりだ。

シティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏は「欧米景気は循環的な持ち直し基調にある。ただ、資源価格が低下する中で新興国経済は心配だ。中国経済も今回の株安がどう影響するか、まだ読めない」と述べる。

<注目のアップル決算>

日経平均.N225は前週9日に1万9100円台まで下落した後、2万0600円台まで急速に回復した。だが、17日の市場では50円高と足踏み。予想一株利益が上昇してきており、バリュエーション面での割高感は乏しいが、割安感が強まる水準でもない。金利は低下、ドル/円JPY=も124円台に乗せた後は上昇一服している。

緩やかな景気回復が続き、金融緩和環境に変化がなければ、株式などリスク資産市場にとっては好環境だ。「何もなければショートは振りにくい」(外資系証券)という。しかし、一段高に向かうには、何か新たな材料が求められている。

株式市場で注目されているのは、日米の4─6月期の企業決算発表だ。「進捗(しんちょく)率が市場の期待通りなら、海外勢に買い安心感が広がりそうだ」(しんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏)という。

特に注目されているのは、21日に予定されている米アップル(AAPL.O)の4─6月期決算。中国向け売上高が高く、7─9月期の見通しをどう出してくるかが焦点だ。

アップルの第2・四半期(1─3月)決算では、中国の売上高はアイフォーンの好調な販売を背景に71%増の168億ドル(全体は580億1000万ドル)と、欧州を抜く2番目に大きな市場になった。アイフォーンの中国販売は、初めて米国を上回った。

景気が弱くても、企業業績は好調との楽観論が株式市場には根強いが、アップルが慎重な7─9月期の見通しを示せば、市場に不安も広がりそうだ。半面、強気見通しであれば安心感が広がることになろう。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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