June 12, 2015 / 7:43 AM / 4 years ago

ギリシャ破綻時のリスクオフ、日本に円高・株安波及も 

[東京 12日 ロイター] - ギリシャ支援協議がこう着し、市場には慎重ムードも広がり始めた。債務不履行(デフォルト)やユーロ離脱となれば、日本市場にとって「対岸の火事」ではなく、リスクオフの円高・株安の動きが波及するとの見方が多い。ただ、5年以上もくすぶる問題だけに不透明感が払しょくされれば、中期的には株高要因になる可能性もある。

 6月12日、ギリシャ支援協議がこう着し、市場には慎重ムードも広がり始めた。アテネで10日撮影(2015年 ロイター/Alkis Konstantinidis)

<EU大統領の厳しい指摘>

ギリシャの財政問題に、再び暗雲が立ち込めている。欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)など債権団との支援協議が、一向にまとまらない。ギリシャの政府資金が徐々に減少する中、残された時間は少なくなりつつある。

EUのトゥスク大統領は、ギリシャには「賭けに出る」時間は残されていないと指摘。「われわれに必要なのは交渉ではなく、決定であることは明白」としたうえで「ギリシャはより現実的になる必要がある」と述べた。

ポーランド大統領時代を含め穏健派で知られる同大統領が「これほど厳しい言い方をするのは聞いたことがない」(大手証券ストラテジスト)とされ、市場でも驚きをもって受け止められている。

現行の支援策が終了する6月末までには「合意に至り、現行の支援プログラムが3度目の延長となる」(シティグループ証券、8日付リポート)との見方は市場で多いものの、債権団側が態度を硬化させ、市場参加者も不安を感じ始めた。

11日の海外市場では、5月米小売売上高が堅調でいったんリスクオンに傾いたが、ギリシャ問題に懸念が高まると、米ダウ.DJIは上げ幅を縮小。米長期金利は低下、ドル/円JPY=EBSも伸び悩んだ。

IMFは11日、ギリシャ支援協議でなお大きな隔たりがあるとして、ブリュッセル入りしていた交渉団がワシントンに引き揚げた。

独ビルト紙は、状況に詳しい複数の関係者の話として、ドイツ政府はギリシャが財政破綻した場合の対応で「具体的な協議」を行っていると報じている。

<いったんリスクオフ>

地球の反対側で行われているギリシャの支援交渉だが、日本市場にとって「対岸の火事」として済ますことはできない。日本株市場だけでなく、円債市場でも最近は海外投資家の存在感が大きくなっており、イベント発生となった場合、日本だけ無風というわけにはいかないからだ。

ギリシャが財政破綻した場合、金融市場では、いったんリスクオフの動きが強まるとみられている。株式などリスク資産が売られ、主要国の国債などに「質への逃避」が進む。

一方、ポルトガルやアイルランドなど財政状況が悪い周辺国の国債は売られ、金利は上昇すことになりそうだ。

読みにくいのはドイツ国債の動き。「安全資産」として周辺国の債券から資金が逃避する可能性もあるが、一方で、欧州全体から米国などに資金が流れ出してしまうおそれもある。10年債でドイツが1%付近に対し、米国は2.4%付近と金利差は小さくない。

その際、米国債よりもドイツ国債との連動性をこのところ高めている日本国債の金利も、上昇する可能性がある。10年債利回りJP10YTN=JBTCは、0.2%を切る水準から上昇したとはいえ0.5%程度。欧州マネーが日本国債に逃避してくれるかは不透明だ。

ただ、ドイツ国債や日本国債の金利が一時的に上昇したとしても、買い戻しの動きも比較的早く強まるとの見方が多い。「日米欧と主要国金利は、今年1月の水準から大きく上昇している。リスクオフで(ドイツ国債売りをきっかけに他の主要国の)金利がさらに上昇すれば、買いたい投資家は少なくないだろう」(アムンディ・ジャパン投資情報部長の濱崎優氏)という。

<ユーロは売り一巡後、買い戻しも>

外為市場でも、ギリシャがデフォルトとなれば、いったんはユーロが売られる可能性がある。

しかし、市場のユーロショートのポジションは依然として高水準であり「ここからさらにユーロが売り込まれるどうかは微妙」(三井住友信託銀行の為替セールスチーム長、細川陽介氏)との見方もある。

IMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(2日までの週)によると、投機筋の対ドルでのユーロショートポジションは16万5512枚。過去最高となった3月31日までの週の22万6560枚から減少しているが、1年前(昨年6月3日までの週)は3万3025枚であり、買い戻し余地は小さくない。

ユーロ安が進めば円高要因だが、ドルも対ユーロで上昇するため、ドル/円としては動きにくいかもしれない。しかし、リスクオフが本格的に始まれば、やはり円買いが強まるとの見方もある。「要人発言でドル/円の上値が止められた状況にあり、円高方向を試しやすい雰囲気もある」(IG証券マーケットアナリストの石川順一氏)という。

<長期的にはリスクオン要因か>

リスクオフに日本株は弱い。リスクオフの円高と、グローバル投資家のリスク資産縮小の動きが、ダブルパンチで効くためだ。日本株は押し目らしい押し目を形成せずに年初から約17%上昇してきたが、ギリシャ問題でリスクオフが本格的に強まれば、市場に楽観ムードが強いだけに「10%程度の調整はあり得る」(外資系投信)との声も出ている。

10%調整なら12日の日経平均から2040円の下落となり、1万8400円付近が下値めどとなる。

一方、ポジションの振るい落としが一巡すれば、リスクオンに向かいやすいとの見方もある。ギリシャの財政問題は2010年に赤字隠しが判明して以来、5年以上もマーケットの不安定要因としてくすぶり続けてきた。

「いい加減にして欲しいと感じている市場関係者は、少なくないだろう。他国への波及が限定的であれば、不透明感がクリアになったとして中期的にはリスクオン要因になる」と野村証券・投資情報部エクイティ・マーケット・ストラテジストの村山誠氏は話している。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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