February 28, 2018 / 10:54 PM / 9 months ago

アングル:広がる仮想通貨投資、新参者の「熱狂と落胆」

[ニューヨーク 26日 ロイター] - 昨年仕事でデジタル通貨について調査を行ったパーソナルファイナンス・ライターのJ・R・デュレン氏は、自ら仮想通貨投資というジェットコースターに乗り込んだ。

 2月26日、昨年仕事でデジタル通貨について調査を行ったパーソナルファイナンス・ライターのJ・R・デュレン氏は、自ら仮想通貨投資というジェットコースターに乗り込んだ。写真は13日撮影(2018年 ロイター/Dado Ruvic)

デュレン氏はまず、昨年11月に仮想通貨ライトコインを5ドル(約535円)分購入。その後、主にクレジットカードを使って400ドル分を買い増した。

それからわずか数カ月の間に、デュレン氏は急騰と暴落、そして回復を経験。それに伴って、アドレナリンによる大興奮も気分の落ち込みも経験した。

「最初はほとんどパニックだった」と、デュレン氏は、ポートフォリオの価値が一時40%急落した時のことを振り返る。「急落はショックだった」

このフロリダ州在住の39歳男性は、ビットコインが米ドルに置き換わるべきだとは必ずしも考えない、またブロックチェーン(分散台帳)技術が現代のファイナンスに革命を起こしたり、歯科医が独自の通貨を持つべきだなどと考えない、新たなタイプの仮想通貨投資家だ。

仮想通貨に長年投資してきた投資家から、ネット上の新語である「ヌーブス(新参者)」と呼ばれる彼らは、この最新トレンドに飛び乗った普通の投資家だ。仮想通貨の仕組みや、存在理由をあまり理解していないことも多い。

「この1年で、仮想通貨に投資する投資家のタイプが大きく変わった」と、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのブロックチェーン技術センターのアンジェラ・ワルシュ研究員は言う。「一部の技術屋から、普通の人になった。カフェでも空港でも、仮想通貨についての会話が聞こえてくる」

ワルシュ氏や他の専門家は、短命に終わったペット用品のオンラインストア「Pets.com」の株に個人投資家が飛びついた1990年代後半との類似性を指摘する。ドットコム・バブルが弾けるのと同時に、彼らの資産も蒸発した。

最も有名な仮想通貨はビットコインだが、今では1500種以上の仮想通貨があることが、仮想通貨情報サイト、コインマーケットキャップを見ると分かる。イーサリアムやリップルのような有名なものから、歯科医師用のあまり知られていないデンタコインまでさまざまだ。

この1年で、どれほどの「ヌーブス」が参入したかは、各取引が仮名で行われているため、定かではない。1件1件の取引は、個別のデジタル・アドレスに関連付けられているが、ユーザー情報の詳細を収集したりシェアしたりしている取引所はほとんどない。

消費者に優しい各種サイトの登場で投資はずっと簡単になり、匿名掲示板「レディット」の仮想通貨ページなどは、それまでほとんど見られなかった普通の個人投資家からの投稿で一杯になっている。

ロイターは、最近仮想通貨に投資し始めた個人投資家8人に取材した。多くは、昨年の終わりがないように見えた仮想通貨相場の急騰に乗り遅れたくないという動機で投資を始めていた。

ビットコイン1枚の価格は昨年12月に約2万ドルになり、2017年初めから約1900%上昇した。今月26日朝の時点の価格は約1万0200ドル(約109万円)で、ピーク時から70%下落している。同期間に、これより上昇幅の大きい高騰と、やはり目の回るような下落を経験したコインもあった。

「昨年は、全ての仮想通貨が上昇し続けた2カ月間があった。投資して、数万ドル単位の利益を得た友人が何人かいる」と、ニュージャージー州のリサーチアナリスト、マイケル・ブラウン氏は言う。同氏も12月にイーサリアムを約1000ドル分購入した。

「メディアの加熱にやられてしまった。損をした人の記事なんて見なかった」と、ブラウン氏は言う。

同氏が投資を始めて数週間で、保有していた仮想通貨の価値は75%上昇し、59%下落した。

<ホドルせよ>

2013年の価格暴落より前からビットコインに手を出していた投資家は、自らのことを「OG]と呼びたがる。「オリジナル・ギャングスターズ(元祖ギャング)」の略だ。彼らの間では、仮想通貨は将来的にもっと価値が上がるとして、最近の下落傾向を意に介さない人が多い。

「暴落としては、今回は確かに大きかった。だが長い目で見れば、偉大なところに向かう途上の『しゃっくり』にすぎない」と、仮想通貨に2011年から投資しているハビエル・レベンフィッシュ氏は言う。

突然の急落に動揺しつつも、損切りする意思はない投資家の多くは、「HODL(ホドル)」という呪文を唱えてやり過ごす構えだ。これは、2013年の仮想通貨暴落時に、オンライン掲示板への投稿者が、ビットコインを「HOLD(保有)」し続けると書き込もうとして、つづりを誤ったのが広まった表現だ。

例えば、マイク・ニテキ氏は、昨年12月にビットコイン1枚を約1万8000ドルで購入。現在では43%下落しており、回復を待っている。

「ギャンブルのような投資の楽しさがあったと思う。今回のギャンブルでは確かに、損をしてしまった」と、テキサス州で救急救命士をしているニテキ氏は言う。

前出のデュレン氏も、今は購入したライトコインを保有し続けるつもりだ。ただ、405ドルの投資に対して、33ドルものクレジットカード手数料と取引手数料を支払ったことは後悔しているという。

昨年の急騰期に初めて大口の仮想通貨投資を行った個人投資家の中には、楽観的な人もいる。

ディディ・タイフッツ氏は昨年10月、事業や自宅、車から玩具まで、自らとその家族が所有する財産を全て売却し、タイの「デジタル遊牧民」キャンプに移住すると宣言。最近の取材に対して、何の後悔もないと話した。

仮想通貨のデイトレーダーとして生計を立てる同氏のポートフォリオは黒字で、年内にビットコイン価格は1枚3万─5万ドルまで上昇すると予測する。

タイで暮らすディディ・タイフッツ氏と家族。提供写真(2018年 ロイター/Courtesy Taihuttu family)

失敗した場合のバックアップ案は、家族の経験について本を書き、映画を作ることだ。

「ビットコイン長者になろうとしてやっているわけじゃない」と、タイフッツ氏は話した。

(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

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