October 11, 2019 / 8:17 AM / 7 days ago

情報BOX:実需使用で成功した仮想通貨XRP、今年は価格が下落

[ロンドン 10日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)に関する話題なら、今はフェイスブックが計画を主導している「リブラ」に尽きるのかもしれない。しかしその裏では、既に商取引において一定の地歩を得ている有力な仮想通貨が1つ存在している。

 10月10日、暗号資産(仮想通貨)に関する話題なら、今はフェイスブックが計画を主導している「リブラ」に尽きるのかもしれない。しかしその裏では、既に商取引において一定の地歩を得ている有力な仮想通貨が1つ存在している。写真はソウルで、ビットコインの価格チャートが表示されたモニター。2017年12月撮影(2019年 ロイター/Kim Hong-Ji)

それは時価総額ベースで第3位の「XRP(リップル)」で、目指しているのはビットコインなどが達成できていない、迅速かつ低コストの資金決済の実現だ。投機ではなく実需の取引に使えると判明した数少ない仮想通貨であるXRPは、一部の大手金融サービス会社が国際的な決済に利用するなど、利用規模が加速しつつある。

ただ今年に入って、ビットコインが2倍以上に値上がりし、「イーサリアム」など他の仮想通貨も小幅高で推移しているのと対照的に、XRPの価格は25%も下落している。

こうしたXRPの値動きは、実需の拡大に比例して仮想通貨の価格が上がるはずだという想定に反するものだ。結局今年の仮想通貨市場では、ビットコインがさらに市場シェアを伸ばしたことになり、主な市場参加者は依然として価格変動を収益機会とみなすトレーダーだということが分かる。

ロイターはビットコインの主な代替通貨(アルトコイン)に焦点を当てる中で、XRPの将来性や課題を示した。

<基本概念>

誕生から7年が経過したXRPは、実際の金融取引や商取引に利用可能な仮想通貨を定着させる試みとしては、これまでで最も成功した例の1つだ。

カリフォルニア州に拠点を置き、ブロックチェーン型の決済プラットフォームを提供しているリップル社が開発。このプラットフォームを使う企業が国境をまたぐ決済を行うために導入したもので、電子商取引(EC)や「P2P」取引にも使用できる。

決済サービス企業や送金サービス企業などは、XRPを使えば瞬間的に取引可能で、手数料は安くなり、伝統的な決済手段で縛り付けられる運転資金も必要なくなる。

リップルによると、XRPを通じた決済に要する時間は4秒で、ビットコインなら1時間強、昔ながらの方法では3日から5日かかる。

同社のマーケティング・対話担当シニアバイスプレジデント、モニカ・ロング氏は「実際にエクスポージャーとリスクはずっと小さい」と胸を張る。

<ビットコインとどう違うか>

ビットコインは政府当局を介在させず、既存の金融制度をすり抜ける目的で創設されたが、XRPやリブラはそうした趣旨に基づいていない。

リップルの開発チームはXRPの分散台帳のソフトウエアを維持管理し、技術に関する面倒を見ている。これはつまり、企業にとってほぼ監督も規制もされていないビットコインよりも、XRPを取引する方が安心だとの意味合いを持つだろう。

XRPが生み出される方法も、ビットコインとは異なる。

ビットコインは、「採掘者」が競争しながら強力なコンピューターを駆使して数学的な計算を解いた上で新通貨を手に入れる。一方XRPは、総供給量1000億XRPが誕生時に発行されている。

リップルは現在、XRPの大部分をエスクロー口座に預託し、流動性拡大のために大手投資家への販売を続けている。つまりリップルが、XRPの供給を集中管理している。

<リブラとの差異は>

リブラとXRPには似ている部分があるが、明確な違いもある。

両者とも、仲介手数料の高さや手続きの遅さという決済セクターが抱える問題の解決を目指している。しかしリブラが銀行口座を持てない人たちにより簡便な送金手段を提供しようとしているのに対して、XRPは伝統的な金融サービス会社の利用を念頭に置く。

またXRPの価格は変動するが、リブラはボラティリティを抑えるため銀行預金や政府短期証券といった伝統的資産に裏付けられた「ステーブルコイン」だ。

リブラが政治家や規制当局の猛反対にあっているという事実は、XRPの今後に影響を及ぼし得る。それはフェイスブックの24億人の利用者がリブラの潜在的な使い手であるからなのは言うまでもない。

<XRPの利用者>

大半は決済サービスや金融サービスを手掛ける企業だ。

リップルによると、十数社がXRPを使っている。最も有名なのは米送金サービスのマネーグラム・インターナショナル(MGI.O)で、同社にはリップルが6月に3000万ドルを出資した。

中小企業や富裕な個人を顧客とするロンドンのマーキュリーFXもメキシコやフィリピンなどにおける決済円滑化のためにXRPを利用している。

マーキュリーの創業者アラステア・コンスタンス氏は「XRPを使う3つの大きな理由は、スピードとコスト、安全性だ。決済速度は上がり、コストは劇的に下がる」と説明した。

<市場の反応>

今年これまでにビットコインの価格は115%上昇しているが、XRPはおよそ25%下がった。他のアルトコインもビットコインの高騰には付いていけなかった。とはいえ、イーサリアムなど有力なアルトコインはプラス圏で推移している。

アクセンチュアの試算で約1兆5000億ドル規模にもなる世界的な決済事業において、XRPはある程度勢力を強めているにもかかわらず、価格が下落してしまった。

仮想通貨市場の参加者の話では、リップルによるXRP売却で価格の下げ圧力が増大し、決済事業における成長のプラス効果を相殺しているという。

ロンドンの仮想通貨交換所ビークオントの調査責任者デニス・ビノクロフ氏は「リップルは使用促進のためにXRPを供給しなければならない。それは必要悪で、短期的には価格に打撃を与える。しかし長期的には使用が増えていくことになる」と指摘した。

リップルのモニカ・ロング氏は「われわれはXRPの価格やボラティリティについて、日々や週次ではなく、何年もの長い単位で考えている。われわれが注力し、資産をより安定させるとみなす要素は、利便性と流動性だ」と強調した。

<トレーダーは好意的か>

イエスでもありノーでもある。

他の仮想通貨と異なり、XRPは非常に流動性が高いので、超高速取引業者やヘッジファンドなど、短期的な価格変動に基づいて利益を得ようとする市場参加者にとって魅力がある。

一方、市場にXRPが大規模に供給されて価格が押し下げられるため、長期的な投資家には人気がない。

仮想通貨のマーケットメーカー、B2C2の欧州・中東・アフリカ責任者キャメロン・ディッキー氏は「トレーディングの観点から出来高とボラティリティは商機を生み出し、コンピューター取引の世界にとって素晴らしい環境となる。だが購入して長期保有をする人々には好ましくない」と述べた。

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