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コラム

コラム:ドルに挑戦する「人民元・ビットコイン連合」の限界

[ニューヨーク 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ハイテク分野の起業家、投資家として有名なピーター・ティール氏は、中国が暗号資産(仮想通貨)ビットコインを「金融兵器」として使い、法定通貨全般、中でもドルの存在を国際通貨システムから駆逐しようとするかもしれないと警告した。中国は実際、デジタル通貨導入に積極的だ。しかしビットコインは、基軸通貨ドルに挑戦するための最良の手段ではない。

 4月8日、ハイテク分野の起業家、投資家として有名なピーター・ティール氏は今週、中国が暗号資産(仮想通貨)ビットコインを「金融兵器」として使い、法定通貨全般、中でもドルの存在を国際通貨システムから駆逐しようとするかもしれないと警告した(2021年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

理論的に言えば、人民元とビットコインの掛け合わせはドルに挑戦することができる。人民元は価値の保存手段として相応の妥当性を持つし、その背景にある中国の巨大な経済力と、偶然にも同国が最大のビットコイン採掘地域という点が、使い勝手の良さを高めてもおかしくない。ビットコインの魅力には、政府の介入に影響されないという要素もある。例えば、バイデン米政権が打ち出した巨額インフラ投資計画によってドルの価値が損なわれるかもしれないなどといったリスクは存在しない。

とはいえ人民元とビットコインはいずれも大きな弱点を抱えている。中国に関しては、経済と資本フローを政府が統制していることは、人民元が国際決済通貨として普遍的に使われるようになる流れと相反する。2019年に中国は世界の輸出の13%を占めたが、中央銀行の外貨準備における比率はたった2%前後だ。ビットコインの方は、確かに政府による干渉は受けないものの、価格が不安定なので価値の保存手段としてふさわしいとは到底言えない。さらに採掘と決済に時間がかかり、大量のエネルギーを消費してしまう。

もっともティール氏が脅威と見なしたのは正しい。中国は少なくとも08年以降、ドルが国際通貨システムを支配する状況を批判し続けている。同国の政策担当者は既に中央銀行デジタル通貨(CBDC)の試験運用に着手しており、この取り組みでは米国より数年早い。ただ中国が本当にドルと互角に渡り合える武器が欲しいなら、最も簡単な方法は市場開放と規制緩和を進め、人民元を外国人がデジタル方式であれ、他の形であれ保有したがる通貨にしていくことだ。

もっとも習近平国家主席が、現在手にしている十分な統制権限を手放すとは想像しがたい。この政府指導型の金融システムへのこだわりが、人民元が国際決済通貨として受け入れられる上で依然として大きな障害になっている。昨年12月に単月ベースで過去最大を記録した中国の巨額の貿易黒字もまたしかりだ。その上、中国の人権保護は悲惨なレベルにあり、ティール氏や他の多くの専門家が、中国が国際通貨システムを牛耳ることはないと見込む理由の1つがここにある。

中国には古来、「夷を以て夷を制する」という政治手法がある。多分ビットコインは中国政府のために「夷」の役割を果たすことはできるだろうが、それは国際通貨システムが中国を受け入れる未来への道筋にはならない。

●背景となるニュース

*ハイテク分野の起業家、投資家として有名なピーター・ティール氏は6日のイベントで、ビットコインが「中国の米国に対する金融兵器の一部として」使われる恐れがあるとの見方を示した。

*ティール氏はリチャード・ニクソン財団が主催したイベントで「ビットコインは法定通貨を脅かすが、特にドルに脅威を与える」と述べた。

*ビットコインの8日の価格は5万7850ドルと、昨年末の2倍に達している。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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