October 11, 2019 / 11:33 PM / a month ago

焦点:先が見えないキューバ石油危機、ロシアとベネズエラが支援

[ハバナ/メキシコシティ 4日 ロイター] - ベネズエラから多くのタンカーが到着したことで、米国の制裁強化に伴うキューバの深刻な燃料不足は一息ついた。さらに4日にキューバを訪問したロシア首相は、エネルギー産業の発展を支援することを約束した。

 10月4日、ベネズエラから多数のタンカーが到着し、米国の制裁強化に伴うキューバの燃料不足は一息ついたが、同国の深刻なエネルギー問題が解消される見通しは暗い。写真は壁に描かれたベネズエラのチャべス元大統領とキューバ革命の英雄チェ・ゲバラ。9月27日、ハバナで撮影(2019年 ロイター/Alexandre Meneghini)

だが、最も関係の近い同盟国であるベネズエラ、ロシア両国からの支援があっても、キューバのエネルギー問題が解消される見通しは暗い。キューバ政府はここ1カ月、さまざまな省エネ策を導入したが、その多くを継続した。

キューバ政府は9月11日、月末までのガソリン、ディーゼルなど精製済み燃料の供給が十分に確保できていないと警告を出した。キューバがベネズエラのマドゥロ大統領を支持していることへの報復として、米トランプ政権が対キューバ制裁を強化したためだ。

燃料不足に対応して、キューバはただちに省エネ措置を強化した。これらの措置は、主要調達先であるベネズエラの経済危機に伴うエネルギー輸入急減を受けて導入されていたものだ。

キューバ当局は先月、公共交通の運行を縮小し、一部工場で生産を切り詰め、輸送手段として家畜に荷車を引かせたり、薪ストーブの利用を拡大するよう呼びかけた。

これに対し同盟国のベネズエラは、自国の石油生産に問題を抱え、さらに制裁による制約があるにもかかわらず、キューバに向けた石油輸出を増大させた。

情報会社リフィニティブのデータと、ベネズエラの国営石油公社PDVSAの内部データによれば、9月下旬以降、少なくとも8隻のタンカーにより、約383万バレルの原油及び燃料油がベネズエラから出荷された。9月前半まではタンカー5隻、198万バレルだったのに比べると急激に増加した。

その甲斐あって、キューバでは何時間も行列しなければガソリンを給油できない状況は解消されている。ただ、軽油は品薄状態が続いている。

鉄道とバスの運行は増える見込みだが、キューバ運輸当局によると、先月に大幅削減すした分を取り戻し、「通常運行」には戻るには至らないという。

ディアスカネル国家評議会議長は、共産党機関紙「グランマ」に「目の前の岐路を恐れるな(No Fear of the current juncture)」と題する論説を寄せ、キューバが9月に大停電を回避したことを賞賛した。

4日までの2日間、キューバを公式訪問したロシアのメドベージェフ首相も、キューバは孤立していないというシグナルを送った。

メドベージェフ氏は4日、キューバ北部でロシア・キューバ両国の国営企業が開発を進めているボカデハルコ油田を視察した。ロシアの国営通信社スプートニクは、ロシア側は2年間で1億ユーロを投じ、油田内に30カ所の油井を掘削することを計画していると報じた。

ロシア政府高官はタス通信に対し、エネルギー効率の改善と石油開発をめぐる協力を通じて、キューバのエネルギー輸入依存度引き下げに向けて共に取り組んでいると話した。

ただしメドベージェフ首相は、キューバ訪問中、同国への短期的な支援措置については何も発表しなかった。

<エネルギー不足深刻化の恐れ>

キューバの石油自給率は40%程度と推定されている。ここ数年、残りのほとんどすべてはキューバが医療サービスを提供するのと引き替えに、ベネズエラから供給されている。アルジェリアやロシアといった同盟国からも若干量を輸入している。

しかし、ベネズエラとキューバはますます厳しくなる米国の制裁に苦労するだろういうのが、アナリストたちの見立てだ。

ベネズエラのPDVSA社はこのところ、長らく外洋に出ていなかった旧式船を利用してキューバに石油を輸出している。制裁でタンカーをチャーターすることが困難になっているためとみられる。

米ライス大学でラテンアメリカのエネルギー問題を研究するフランシスコ・モナルディ氏は、「状況は厳しくなる一方だ」と話す。制裁の影響で、多くの企業がベネズエラと取り引きするのを避けるようになっているという。

アナリストの中には、メドベージェフ首相のキューバ訪問の目的について、ベネズエラと協調し、キューバのエネルギー危機脱出を支援することを協議することだとみる向きがある。

このところ、ロシア、ベネズエラ、キューバのあいだでは、高官レベルの往来が頻繁に見られる。最近ではベネズエラのロドリゲス副大統領がモスクワ、次いでハバナを訪問した。

エイドリアン・アルシュト・ラテンアメリカ・センターのジェイソン・マルツァック氏は、「とはいえ、自身の経済状況を考えると、ロシアがどの程度の支援を提供できるか疑問だ」と話す。

タス通信はロシア政府の発表として、ロシアからキューバへの石油製品の供給が今年上半期に約4倍に増加した、と報じている。ただ、詳細は明らかにされておらず、トランプ政権が圧力を強めた下半期の出荷量も報じられていない。

キューバではその間も、国民の苦境が続く。

ハバナで「アトリエ」という名のレストランを営むニューリス・ヒヘラスさんによれば、当局が企業のオーナーたちを集め、使用電力量を最大で50%減らしてほしいと要請したという。

「エアコンと電気オーブンはほぼ使わなくなった」と、彼女は言う。

政府のオフィスは日中の数時間、電力の使用をやめている。コンピューターも使えないため、職員は書類作業にかかるか、カリブ海地域の暑さを逃れるため、(エアコンの使えない)オフィスを離れる。

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一部の公務員は給与カットなしで自宅待機を命じられた。職場復帰の指示はまだ出ていない。ハバナ市内の映画館のなかには、上映回数を1日2─3回から1回に減らしてところも出てきた。

映画館の1つ、 「シネ・ヤラ」で清掃員として働くヨランダ・サンタナさんは、「石油不足のせいで、うちでは夜のコメディ上映をやめてしまった」と話す。「状況がいつ好転するのか、見当もつかない」

(翻訳:エァクレーレン)

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