February 7, 2018 / 8:23 AM / 4 months ago

焦点:為替ヘッジに再び注目集まる、ボラティリティ上昇受け

[ロンドン 6日 ロイター] - 為替相場のボラティリティは各国中銀の金融緩和策の影響で長らく低水準にとどまっていた。ただ、ここ数日の高まりを受け、一部の投資家の間で為替ヘッジについて見直す動きが出ている。

 2月6日、為替相場のボラティリティは各国中銀の金融緩和策の影響で長らく低水準にとどまっていた。ただ、ここ数日の高まりを受け、一部の投資家の間で為替ヘッジについて見直す動きが出ている。北京で2016年1月撮影(2018年 ロイター/Jason Lee/Illustration)

為替変動リスクをヘッジするかしないかという問題は、投資リターンの保護・拡大のため、デリバティブ(金融派生商品)を活用して積極的に為替ヘッジをするファンドの資産運用担当者と、相場変動は長期的にみるとニュートラルになるとの見方から為替ヘッジコストを抑えがちな投資家の間で、意見が分かれる。

各国中銀の金融引き締めが予想されるなか、リターンの低下が予想され、為替変動リスクは上昇している。為替の予想変動率の代表的な指標をみると、過去5週間で50%上昇している。

これは、2017年にドルが主要通貨に対して10%下落したことや、2016年の欧州連合(EU)離脱を決定した国民投票を受け急落したポンドが昨年大幅回復したことでも確認できる。

こうした動きは比較的ゆっくりと進んでおり、2008年の金融危機を受けた中銀の資金供給の効果で、前回ボラティリティが高まった時ほど急激なペースでは進まないとみられている。

ただ、米国主導で世界的な金融引き締めの流れは着実に進んでいる。米連邦準備理事会(FRB)は今回の引き締め局面で既に5回の利上げを行っている。

ロボバンクのアナリストは、ほんの8日前には過去最高値を記録していた株式市場から4兆ドルが消え去ったことは、「一方向の賭けはあり得ない」ということへの注意喚起といえると指摘した。

為替変動は資産運用担当者の実績にも影響する。海外資産に投資するアクティブファンドの運用担当者は、より手数料の安いインデックス・ファンドに関心を寄せる顧客に対して、運用実績を競ってアピールするが、為替相場の大幅変動は、こうした運用担当者の年末のリターンを大きく左右する。

ポンドが英国民投票後の急落から回復し、1月末に1.43ドルに上昇したことやEU離脱交渉の先行き不透明感は、一部の投資家に行動を促している。

ジャナス・ヘンダーソンの資産運用担当者、ポール・オコーナー氏は、日本株や米社債など、運用資産における海外資産の割合が上昇していることを踏まえ「ポートフォリオの3分の1から半分にヘッジをかけて運用している」とし、これまでポンドを支援していた材料は少なくなっており、ポンド相場の先行きは見通せないと説明した。

ミレニアム・グローバル・インベスターズのCEO、マーク・アツリー氏は、為替相場のヘッジ戦略などを投資家に提供しているが、大半の投資家が為替の大幅変動を警戒していると指摘。

「為替が10%動いた場合の影響について、ここ6─9カ月の間、過去数年よりもずっと多くの相談を受けている」と述べた。

10%の為替変動は、金融政策の正常化の時期において投資家がポートフォリオのリターンをゼロから5%にすることを目指している場合、10%から15%への引き上げを目指していた時よりも影響は大きい。

ヘッジに関するいかなる決定も、為替のフォワードやスワップ市場に影響を及ぼす。

為替市場のボラティリティはここ数年、各国中銀の政策により低下したが、予期せぬマクロ経済関連イベントで相場が大きく動くことはあった。

スイス中銀が2015年1月に、スイスフランの対ユーロのペッグ制を事実上解除したことや、英国民投票後のポンドの急落などがそうした例として挙げられる。

国民投票前、機関投資家の多くは為替ヘッジを行っていなかった。そのため、ポンドが15%超下落したことで、海外資産の価値が引き上げられ、思わぬ利益を手にした。

BNPパリバ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、コリン・ハート氏は、英国の年金基金と保険会社の多くは、ポンド以外の資産へのエクスポージャーで高いリターンを得たことを認識しているが、ここにきて若干、警戒感を強めていると指摘する。

「(運用資産の)約65%をヘッジするという長期的なニュートラル水準に戻そうとするトレンドがある。現時点では45%程度にとどまっている」説明した。

組織・人事コンサルティング会社マーサーが、1兆1000億ドル以上を保有する1200の機関投資家対象に行った2017年のアセットアロケーション調査によると、大半の投資家は為替リスクを約40%程度ヘッジしていた。

マーサーの戦略研究部門のグローバル・ディレクター、フィル・エドワーズ氏は「年金基金の大半は積極的なヘッジ戦略を取っていないが、大半の場合において、一定期間さほど変化しない長期的な戦略的ヘッジ率を設定している」と説明した。

為替ヘッジにより投資リターン拡大を目指すヘッジファンドと異なり、年金基金などの長期投資家は、為替相場の変動からポートフォリオを守るためにヘッジを活用しており、そのため、長期的なヘッジ率を設定している。

5日の米株式市場は、ダウ工業株30種が一時1600ドル近く下げ、日中の下げとしては過去最大を記録。米国の投資家が米国外で稼ぐリターンは一段と重要になった。

顧客にヘッジ戦略をアドバイスするレコード・カレンシー・マネジメントの最高経営責任者(CEO)、ジェームス・ウッドコリンズ氏は「2017年は、米国の投資家にとって、米株高によるリターンとドル安による海外資産の価値上昇で完璧な年となった。ただ、それはすぐに、完璧な嵐になり得るとということが問われている」と語った。

Simon Jessop (記者) Saikat Chatterjee(記者)

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