February 17, 2018 / 12:13 AM / in 4 months

焦点:データ保護責任者を大募集、新規制控え世界で求人合戦

[サンフランシスコ 14日 ロイター] - 起業家ほどの名誉もなく、開発者ほどギークシック(おしゃれオタク風)でないかもしれないが、テクノロジー業界でいま最も熱い注目を浴びている職種は、データ保護責任者だ。

2月14日、起業家ほどの名誉もなく、開発者ほどギークシック(おしゃれオタク風)でないかもしれないが、テクノロジー業界でいま最も熱い注目を浴びている職種は、データ保護責任者だ。写真は2016年12月、パリ近郊の企業データセンターで撮影(2018年 ロイター/Benoit Tessier)

ジェン・ブラウンさん(46)が情報プライバシー保護の認定資格を最初に取得した2006年当時には、顧客データ管理について法的、倫理的な問題を扱う有資格者を求人する企業は多くなかった。

だが2018年現在、欧州連合(EU)の個人データ保護規制が、インターネット誕生以来最も大きな変化を迎える中で、その遵守に向けて世界中の企業が大急ぎで取り組みを進めている。

そして、ブラウンさんの受信ボックスは、リクルーターからのメールで溢れかえった。

「まだ誰もデータ保護に関心を持っていなかった時期にこの世界に入り、仕事を見つけるのが大変だった」と、米サンフランシスコ近郊の新興企業スモー・ロジックでデータ保護責任者(DPO)を務めるブラウンさんは語る。

「突然、皆が大注目するようになった」と彼女は言う。

今年5月のEU「一般データ保護規則(GDPR)」施行を控え、世界のテクノロジー業界ではすでに、ブラウンさんのような数限られた専門的人材の奪い合いが起きている。

新規則は、EU市民がネット上にある自身の情報をよりコントロールできるよう、欧州人と取引する全企業に適用される。個人データの監視や処理が事業の中核となる企業は全て、DPOの雇用を義務付けられる。

そして、DPOを見つけることは至難の業だ。

GDPR導入によって、欧州と米国だけで2万8000人以上、世界全体で最大7万5000人のDPOが必要になると、データ保護に取り組む国際NPO、国際プライバシープロフェッショナル協会(IAPP)は推計。これまでドイツとフィリピンにしかDPO雇用を義務付ける法律がなかったため、その数を把握していなかったという。

英国では、求人サイトIndeed上でのDPO募集が、過去18カ月で8倍以上に増加。2016年4月には、全求人100万件あたり12.7件がこの職種だったが、昨年12月には同102.7件に増えた。

DPO需要は、テクノロジーやデジタル・マーケティング、金融や医療保険、小売りまで、データを重点的に扱う企業では、特に高くなるとみられている。

米配車大手ウーバーやツイッター(TWTR.N)、米民泊仲介サイト運営大手エアビーアンドビー、ウェブサイトを対象にセキュリティーサービスを提供する米クラウドフレア、信用調査会社エクスペリアン<EXPN.L >などが、前出の英求人サイトにDPOの求人広告を出している。

米マイクロソフト(MSFT.O)やフェイスブック(FB.O)、顧客情報管理(CRM)大手のセールスフォース・ドット・コムやスラックも、DPOを求人しているとロイターに明らかにした。

<「皆が探している」>

「1週間に8本か10本ほどリクルーターから電話が来る」と語るのは米マサチューセッツ州のメール管理会社マイムキャストでDPOを務めるマーク・フレンチ氏だ。

「新年になったとたん、急激に電話が増えた。みな『GDPRまでわずか5カ月しかない。どうしよう』と気付いたのだろう」

DPOは、企業のデータ管理がプライバシー保護法に合っているか点検し、個人情報保護について従業員を訓練し、さらにEUとの連絡窓口になることを、GDPRは義務付けている。他にも、顧客から要望があれば、当人の個人情報を提供、または場合によっては消去し、データ漏えいが発生した場合は72時間内に報告するよう求めている。

フレンチ氏の典型的な一日は、GDPRのガイダンスが更新されていないかを確認、マイムキャスト開発チームとの会議では新製品のプライバシー対応を議論、マーケティングチームから来たデータ使用要請を検討し、個人情報保護ポリシーの改定作業を進め、会社のGDPRやプライバシー対応について顧客と1、2本の電話会議をこなす、というものだ。

「施行日が近づいてきているので、自分の時間の65%はGDPR対応で占められている」と、マイムキャストの上級副社長も兼任するフレンチ氏は語る。

DPO人材需要で、個人データ保護研修への関心も改めて高まっていると、IAPPでコンテント・ディレクターを務めるサム・ファイフル氏は語る。IAPPでは昨年、GDPR対応プログラムをDPO志望者向けに開講した。

「2018年のGDPRに関する訓練プログラムは、6月まで完売だ」とファイファル氏は語り、2017年にIAPPの新規加盟企業が2万4000社から3万6000社へ急増したと付け加えた。

一方で、すでにDPOを抱える企業は、引き抜きを警戒している。

こうした企業は、長年データ処理企業にDPO採用を義務付けてきたドイツに拠点を置くものが多い。

その1つ、ベルリンに拠点を置く広告ターゲティングの新興企業Simplaexを率いるジェフリー・ファンイード最高経営責任者(CEO)は、「皆DPOを探している」と話す。「誰かが弊社のDPOを奪いに来た時に対抗できるよう、キャッシュを準備しなければ」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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