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インタビュー:米利上げは年内3回と予想=D・ファス氏
2017年3月7日 / 00:20 / 8ヶ月後

インタビュー:米利上げは年内3回と予想=D・ファス氏

[東京 7日 ロイター] - 米資産運用会社ルーミス・セイレスの副会長で著名投資家のダン・ファス氏(83歳、運用歴59年)は6日、ロイターのインタビューに応じ、米利上げが年内に3回行われる公算が大きくなったとして、年末時点の指標10年物国債利回りUS10YT=RRの見通しを3.0─3.25%に引き上げた。

 3月6日、米資産運用会社ルーミス・セイレスの副会長で「債券界のウォーレン・バフェット」の異名でも知られる著名投資家ダン・ファス氏(83歳、写真)は6日、米利上げが年内に3回行われる公算が大きくなったとの見方を示した。2014年4月撮影(2017年 ロイター/Brendan McDermid)

同氏は「債券界のウォーレン・バフェット」の異名でも知られる。

また、自身が運用する旗艦ファンド「ルーミス・セイレス・ボンド・ファンド」について、平均残存年限を大幅に短期化し、金利上昇局面に備えて慎重姿勢で臨んでいると明らかにした。

同社は、仏ナティクシス・グローバル・アセット・マネジメント傘下の資産運用会社で、米マサチューセッツ州ボストンに本拠を置く。12月末の運用資産残高は2402億ドル(当時のレートで約28兆円)。

ファス氏の来日インタビューの概要は以下の通り。

──市場ではこの1週間、にわかに米連邦準備理事会(FRB)の3月利上げ期待が高まっている。

「私も少し前まで年内の利上げ回数を2回程度とみていたが、どうやら3回の線が濃くなってきた。その1回目が今月あるとして、あと2回ということだ」

「FRBにとって目下の問題は経済ではない。米国の経済指標は良好で企業業績の基調も底堅いが、先行き不透明感が非常に強い。国内だけでなく、グローバルレベルで予見可能性が低下していることを背景に、企業が新規投資を手控えている状況だ」

「FRBの次の一手を予想するにあたっては、国内の経済状況のみならず、地政学的な動向の予測も欠かせなくなった。たとえば米国の対メキシコ政策が厳しいものになれば、それは米経済にとっても大問題となるだろう。オランダの総選挙が間近に迫っているが、欧州で今後実施される選挙の結果は、たとえばこれから発表される米CPI(消費者物価指数)よりよほど重要だ」

「この業界に60年近く身を置き米国の金融政策をフォローしてきた私は、FRBのマンデートが国内に焦点を当てたものだということは当然知っている。しかし(中銀設立以来)100年余りで、経済や市場の分野では世界的な統合が進んだ。現在の一体化した世界においては、どこかで動揺が走れば、それは世界の様々な場所に伝播する」

「20年前に米国が利上げを行った際には、東南アジアからマネーが流出して同地域の経済が大打撃を受けた(アジア通貨危機)。このことについては、それはFRBの使命ではないし米国が気にする必要はないとみる向きもあるだろう。しかし私は、それはFRBが考慮すべき問題だと思う。恐らくFOMCメンバーも同じように捉えているはずだ」

「つまり、米国の利上げは、米国外のさまざまな市場に大きな影響を及ぼす。それゆえ、米国経済や社会の健全性を追求するならば、アジア、南米、欧州など世界の経済と社会の健全性を気にかける必要がある。これは、FRBが現在直面する難題(conundrum)だ」

「一方で、米国内の銀行システム─具体的には、ほぼ全ての小規模銀行からの利上げを求めるプレッシャーは臨界点近くまで高まっている。それはFRBとしても無視できないレベルに達しており、今後何かよほど深刻な問題でも起きない限り、FRBはあと3回程度利上げしたがっているように見受けられる」

──2017年の米金利見通しに変更は。

「年内の利上げ予想を3回に引き上げたのに伴い、年末時点の10年債利回りを3.0─3.25%としたい(従来予想は2.75─3.0%)」

──最新のポートフォリオについて。

「世界的に不確実性が増していること、また国内で利上げ圧力が高まっていることを勘案し、われわれは、不測の事態に備えようと行動してきた」

「デュレーションの大胆な短期化を行い、足元はそれをキープしている。旗艦ファンドの『ルーミス・セイレス・ボンド・ファンド』の平均残存年限は、2─3年前までは何年にもわたり13年だったが、現在は6年半となっている」

「また、キャッシュや米短期債券の比率を引き上げて機動性を高めている」

「これほどまでに慎重だったことがかつてあったかと言えば、最近ではなかったと言える。しかし、1958年にキャリアをスタートした私がまだ若手だった1960年代や70年代には、時として、そういった慎重さに助けられた経験がある」

「金利上昇局面は、債券運用者にとって非常に好都合な投資環境だと言ったらどう思うだろうか。むしろ逆だと言う人が多いかもしれない。無論、やみくもにインデックスを買えばいいわけではないし、難しい環境であることは確かだ。世界が変化するなか、売買回転率を抑えつつ、注意深く銘柄選別を行う戦略に勝機があろう」

インタビュアー:植竹知子

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