[ダボス(スイス) 22日 ロイター] - 世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)が22日、スイス東部のダボスで開幕した。会議に参加した金融業界の首脳らからは慎重な声が多く聞かれた。
英銀スタンダード・チャータード(スタンチャート)STAN.Lのアンディー・ハルフォード最高財務責任者(CFO)は会場の雰囲気について、1年ほど前は異常なほど前向きだったのに、今やこれほど冷え込んでしまうとは驚きだと語った。
世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者兼会長、レイ・ダリオ氏は世界経済を巡り悲観的な見通しを示すとともに、現在の経済環境は1930年代後半の世界大恐慌の終盤と酷似していると指摘した。
その上で「長期的な観点で最も恐ろしいのは、政治的にも社会的にも対立が拡大する中で、最も有用な手段である金融政策が限界に来ていることだ。新たな景気下降がやって来ないかとても心配している」と述べた。
バークレイズBARC.Lのジェス・ステーリー最高経営責任者(CEO)は地政学的な不透明性と金融緩和の巻き戻しが主要な不安材料とした上で「世間全般に広がっていた過度の楽観は深刻な懸念へと様変わりしてしまった」と指摘した。
こうした中、シティグループC.Nのマイケル・コーバット最高経営責任者(CEO)は明るい面もあると強調。「米中が予想外に良好な貿易協定で妥結する可能性はある」とし、米中貿易摩擦を巡る市場の不安は行き過ぎかもしれないとの見方を示した。
昨年末の相場急落は米国内外の実証的根拠と結び付いていないとした上で「年明けは様々なセクターでかなりの反転がうかがえる。企業の決算シーズンを迎える中で、これまで決算を発表した企業の75%超は業績がアナリスト予想平均を上回っている」と述べた。
前出のハルフォードCFOは、企業の収益性が世界的に歴史的基準と比較して非常に良好であり、世界の消費パターンも依然持ちこたえていると指摘した。
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