[東京 12日 ロイター] - フィデリティ投信は、個人型確定拠出年金(個人型DC)の市場規模が今後10年で約6兆円に拡大するとの試算を発表した。確定拠出年金法改正を受けて、専業主婦など加入対象が拡大しており、注目度が上がっているという。市場規模が約650兆円の米国とは比較にならないものの、将来性のある市場の1つになりそうだ。
個人型DCとは私的年金の一種で、現役時代に掛金を納めて運用し、老後の受給額として損益が反映された額が支払われる年金。今年5月の確定拠出年金法改正で公務員や第3号被保険者(専業主婦等)などが対象に加わった。それぞれ年間の掛金上限を設けた上で、加入が認められる。
フィデリティ投信が第3号被保険者約1万人を対象に7月実施したアンケート調査によると、第3号被保険者の21%が個人型DCに加入したい、または加入を検討していることが明らかになった。フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長は、対象者の加入意向などを勘案し、掛金上限額が現状のまま継続した場合、2025年には個人型DC全体の資産残高が現在の1.4兆円から、6兆円程度まで拡大する可能性が高いと試算している。
アンケート結果では、投資をしない理由として、投資に関する知識・勉強不足への不安を挙げる声が多かった。運用失敗などのリスクへの恐怖も投資行動への妨げとなっている。いかにこの「不安」を和らげられるかが、個人型DC市場拡大への鍵になりそうだと野尻氏は話している。
横田浩熙 編集:伊賀大記
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