July 8, 2018 / 12:21 AM / 2 months ago

アングル:愛する者の「死」どう伝えるか、捜査官らが心情告白

[ニューヨーク 1日 ロイター] - 今から17年前、ケビン・グリーン刑事は、遺族に最愛の家族が殺害されたという痛ましい知らせを初めて伝えたときのことを、今でも鮮明に覚えている。

 7月1日、ケビン・グリーン刑事は今から17年前、遺族に最愛の家族が殺害されたという痛ましい知らせを初めて伝えたときのことを、今でも鮮明に覚えている。写真は、昨年10月にラスベガスで起きた銃乱射事件を追悼する集会に出席する人たち。カリフォルニア州で昨年10月撮影(2018年 ロイター/Patrick T. Fallon)

「土曜日の午後3時50分ごろだったとはっきり覚えている」と当時、米ニュージャージー州イーストオレンジの刑事だったグリーン氏は言う。交通指導員をしていた母親に、息子が射殺されたことを伝えた。

「とても心が痛む瞬間だった。母親に子どもを失ったことを知らせなくてはならないのだから」

現在は同州エセックス郡の検察当局で殺人捜査官をしているグリーン氏はそれ以来、数多くの近親者に「通知」をしてきた。それでも、自身の仕事の中でもっともつらい職務であることに今でも変わりはない。慣れて楽になることは決してないと、同氏は言う。

大量殺人や近所での殺人事件、自殺や交通事故死など、米国ではグリーン氏のような人々が、年間数万件もの「死」を近親者に伝えるメッセンジャーの役目を担っている。5人が犠牲となったメリーランド州の新聞社で先週発生した銃撃事件でも、それは初期対応者の仕事だった。

最愛の人を失ったという知らせは、ほとんどの家族を打ちのめすが、それを知らせる人たちも苦しい思いをしている。

「私たちはそれを認めないし、口にもしないが、よく眠れている人など誰もいないし、心に重くのしかかっている」。エセックス郡の検察当局で15年、多くの殺人事件の捜査を指揮してきたトム・ケリー警部補はこのように話す。

家族が知らせを受けたときには、まだ事件が解決していないことが多いのも事を複雑にしている。近親者が知らせを受け止めようとしている時に、捜査官は、例えば被害者がドラッグを使用していたかどうかといった個人的な質問をしなくてはならないこともあるという。

「数日間、そのような質問を続けることもある」とケリー氏は語った。ニュージャージー州ニューアーク市とニューヨーク市西方に位置する他の20の自治体を同氏は管轄している。

捜査官はまた、事件についてあまり語りすぎないよう慎重になる必要があるとケリー氏は述べた。被害者の近親者が容疑者である場合もあるからだ。

<ソーシャルメディアより早く>

州の法律によって定められている死亡通知を行う人たちは、それがどのように行われるべきかについて、意見がおおむね一致している。

簡潔に伝えること。そして、直接的な言葉を使うこと。例を挙げると、「私たちを残していった」という言い方ではなく、「殺された」とはっきり伝える。

玄関や電話ではなく、自宅の中で通知をなるべく行うこと。また、他の親類が同席していることが望ましい。

また何よりも、ソーシャルメディアや報道に出てしまう前に直接知らせること。

ニュージャージー州ジャージーシティーでは、死亡通知を行う際、無宗教の聖職者(チャプレン)を警察官に同行させようとしている。つらい警察の訪問を少しでも思いやりあるものとするための方法として、他のいくつかの管轄区ではすでに行われている。

「警察がどんな努力をしようと、どういったアプローチを取ろうと、われわれが警察であることに変わりない」とマイケル・ケリー警察署長は語った。

このプログラムは、同市で傷害予防に当たるポール・ベランボイヤー氏が考案した。2001年9月11日の米同時多発攻撃から1週間後、同氏は世界貿易センタービルで命を落とした2753人の遺族への通知を手助けするため聖職者になった。

安否不明者の家族に、彼らがもっとも恐れていた事態を通知する中で、ベランボイヤー氏は涙や激しい怒り、またはただうつろな表情を浮かべる人たちと出会った。最初の体験について鮮明に覚えていると同氏は話す。

「その男性はとても怒っていた。まだ若い愛する娘が殺されたからだ。彼女には、みなが思い描き夢見ていた前途有望なキャリアと将来があった」

<「精神的に消耗する」プロセス>

9.11以降、初期対応者にとって、もっとも試練となった事件は昨年10月1日にネバダ州ラスベガスの音楽フェスティバルで起きた銃乱射事件だろう。容疑者は、日曜日の夜に開催されていたこの野外コンサート会場に向かってホテルの上層階から銃を乱射。会場は修羅場と化し、米現代史上で最悪の銃乱射事件となった。

犠牲者58人を特定し、遺族に伝える任を背負ったのは、同州クラーク郡のジョン・フーデンバーグ検視官とその部下だった。

フーデンバーグ氏は「やや奇跡的」な3日間でミスもなくやり遂げることができたのは、部下25人の功績だとし、感情的につらい仕事だが正当に評価されないことも多いと付け加えた。

「人間にとって、これは恐らくもっとも精神を消耗し、ストレスの多いプロセスの1つだろう」

クラーク郡のプリシラ・チャベス上級検視官は、スタッフの構成員について、10年前はほぼ男性で占められていたが、今では9割が女性だと話す。女性の方が遺族のつらい気持ちに自然と寄り添えるという。

今では、検視官の制服を着て誰かの死を伝えに行くときには、これから起きることへの心構えができているとチャベス氏は言う。だからといって、決して楽なわけではない。

「彼らの顔を見ると、(制服の)ロゴに目をやり、何て書いてあるのか理解する。次には、好奇心あるいは恐怖の表情を見せる」と同氏は語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

 7月1日、ケビン・グリーン刑事は今から17年前、遺族に最愛の家族が殺害されたという痛ましい知らせを初めて伝えたときのことを、今でも鮮明に覚えている。写真は昨年10月、ラスベガスで起きた銃乱射事件の追悼場所で祈りをささげる女性(2018年 ロイター/Chris Wattie)

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