April 9, 2018 / 8:32 AM / 3 months ago

コラム:ドイツ銀、CEO交代でも埋められない戦略的空白

[ロンドン 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドイツ銀行(DBKGn.DE)は8日、最高経営責任者(CEO)の首をすげ替えた。しかしトップが代わっても、同じ戦略的空白に直面することには変わりがない。

4月8日、ドイツ銀行は、最高経営責任者の首をすげ替えた。写真は2月、フランクフルトで記者会見に出席するクライアンCEO(左)とゼービング共同副CEO(2018年 ロイター/Ralph Orlowski)

取締役会は8日夜に緊急会合を開き、ジョン・クライアンCEOを事実上解任して後任にクリスティアン・ゼービング共同副CEO(47)を充てる人事を発表した。

今回のトップ人事は、グローバルなトレーディングを通じて利益を追求するドイツ銀の戦略がさらに後退することを示唆している。

UBS(UBSG.S)出身のクライアン氏は、就任から3年経たずに辞めさせられても文句は言えない立場だろう。増資やコスト削減にもかかわらず、同氏はドイツ銀の経営を立て直すことはできなかった。

投資銀行部門の昨年の収入は2015年の水準から25%減少。同部門の有形自己資本利益率はわずか1.4%にとどまり、ドイツ銀がライバルとみなすウォールストリートの大手投資銀行の水準を大きく下回った。

先週末6日時点のドイツ銀の株価は、クライアン氏がCEOを引き継いだときの半分以下に落ち込んでいる。

ドイツ出身者で単独CEOになるのは、ゼービング氏が2002年に退任したロルフ・ブロイヤー氏以来初めて。

ゼービング氏はこれまでプライベート・商業銀行部門責任者を務めていたが、典型的なリテールバンカーではない。

ドイツ銀行で働く25年余りの間にリスク管理やクレジット業務も担当し、ロンドン、東京、シンガポールでの勤務経験もある。

ただ、経営トップが代わっても、士気が一気に高まることはなさそうだ。

クライアン氏を巡る不平の1つは、ドイツ銀が抱える多くの問題について正直過ぎるというものだった。

しかしゼービング氏が、より説得力を持って社内を鼓舞していくとは想像し難い。

投資銀行部門を一緒に率いてきたマルクス・シェンク氏の退任も不安を増幅する要因だろう。

加えて、ドイツ銀は外部の多数の銀行幹部にCEO職を打診してきており、新CEOは、優秀な人材が望まなかったためにお鉢が回ってきたとの印象を拭い去るのに苦労するはずだ。

こうした状況を招いたパウル・アハライトナー会長の責任は大きい。同会長が監査役会のトップを務める過去6年間にドイツ銀では4人のCEOが交代した。

ゼービング氏が受け継ぐ問題は、クライアン氏が抱えていた問題からほとんど変わっていない。

ドイツ銀は引き続き、投資銀行業務を一段と縮小するかどうかを決めなければならない。

ゼービング氏は株式トレーディングなどの業務を縮小する可能性がある。

あるいは米国業務にメスを入れる可能性もある。JPモルガンのアナリストは同業務について、ドイツ銀の総資産の5分の1以上を占める一方、ほとんど利益を上げていないとみている。

問題は、再構築するにしても本国市場の基盤が弱いことだ。

リテール業務の昨年の有形自己資本利益率は1.9%にとどまった半面、コストは収入の90%以上に膨張した。

国内ライバル行のコメルツバンク(CBKG.DE)と合併すればリターンは改善するかもしれないが、利益の薄いドイツ市場へのエクスポージャーが拡大することになる。

ドイツ銀は新CEOの指揮下に入るが、戦略的な空白は引き続き残る。

●背景となるニュース

*ドイツ銀行は8日、ジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)が即時退任し、クリスティアン・ゼービング共同副CEO(47)が後を引き継ぐと発表した。[nL3N1RM04H]

*電話会議の形で緊急開催された取締役会が同人事を決定した。

*共同副CEOのマルクス・シェンク氏も退任する。

*投資銀行部門共同責任者のガース・リッチー氏が単独の責任者になり、共同社長を兼務する。

*現チーフ・アドミニストラティブ・オフィサーのカール・フォン・ローア氏も共同社長に就任する。

*フランク・シュトラウス氏はプライベート・商業銀行部門責任者に。

*ドイツ銀の収益回復・コスト削減能力に対する懸念から、株価は年初来で28%超下落している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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