April 26, 2019 / 9:12 AM / 4 months ago

コラム:ドイツ銀、コメルツ銀との合併破談で狭まる選択肢

[ロンドン 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドイツ銀行(DBKGn.DE)とコメルツ銀行(CBKG.DE)が合併して欧州有数の巨大銀行になるという夢はついえた。

 4月25日、ドイツ銀行とコメルツ銀行が合併して欧州有数の巨大銀行になるという夢はついえた。1月、、フランクフルトで撮影(2019年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

ドイツ銀のゼービング最高経営責任者(CEO)とコメルツ銀のツィールケCEOは25日、資本要件と執行リスクの存在が合併の意義を失わせたと表明した。これは投資家にとっては既に分かっていたことだった。今後に目を向ければ、コメルツ銀には明確な「プランB」があるが、それによってドイツ銀は選択の余地がどんどん小さくなっていく。

両行のCEOが認めたように、細分化されたドイツ国内市場で事業を統合するのは合理的だった。

ドイツ銀の国内を重視したプライベートバンキングおよび商業銀行部門をコメルツ銀と一体化させれば、BREAKINGVIEWSの計算では合計コストベースは2割削減され、有形株主資本利益率は9.6%になっただろう。従ってドイツ銀にとってのプランBは、ゼービング氏が現在進めているコスト削減方針を堅持した上で、数年以内にもう一度コメルツ銀との合併を目指すことになる。

しかしこの計画には2つの欠陥がある。1つは今すぐコメルツ銀と合併するというドイツ銀のプランAは、同行のトレーディング部門の不振によって相乗効果が劇的に低下したためにうまくいかなかったという点だ。もう1つ、コメルツ銀側にもっと魅力的なプランBが存在することが挙げられる。

ドイツ銀に代わるコメルツ銀の買い手候補としては、フランスのBNPパリバ(BNPP.PA)とオランダのING(INGA.AS)が浮上している。

ただ、いざ買収となれば15%の株式を持つドイツ政府の同意が必ず必要なことを考えると、イタリアのウニクレディト(CRDI.MI)がコメルツ銀の買い手としてふさわしいのは間違いない。ウニクレディトはドイツ子会社を持っており、コメルツ銀との統合すれば、ドイツを代表する大銀行の誕生を望む同国政府にとってより好ましい形になるだろう。

このようにコメルツ銀が他行に買収されれば、買い手が誰であっても、ドイツ銀とドイツ政府はプランCが必要となる。ドイツ銀の劣後クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドは25日に20ベーシスポイント(bp)上がって350bpとなった上に、ゼービング氏は第1・四半期の収入が前年比14%減少したことも示唆した。

しっかりしたプランCは、ゼービング氏がドイツ銀のリスク性資産を33%ほど圧縮することだろう。そのコストが全費用の6%前後になるとすれば金額は46億ユーロに達し、同行の普通株等Tier1資本比率を12.2%と目標の13%より低い水準にとどめる。もっともコストはもっと大きくなる恐れがあり、だからこそ一部でドイツ銀が数百億ユーロの増資が必要になるとの予想が出ている。そこでゼービング氏にはプランD、つまり追加のライツイシュー(新株予約権無償割り当て)の検討という道が最後に残されることになる。

●背景となるニュース

・ドイツ銀行とコメルツ銀行は25日、合併交渉を打ち切ったと発表。[nL3N2272MG]

・ドイツ銀のゼービングCEOは「徹底的に分析した上で、われわれはこうした大規模な合併に伴う追加的な執行リスク、リストラ費用、資本要件を十分に相殺できるほどこの取引はメリットを生まないとの結論に達した」と述べた。

・合併については、労組が3万人の失業を懸念する中で社員が強く反対し、株主や規制当局からも懸念が出ていた。

・ショルツ財務相を筆頭にドイツ政府は合併を通じて同国を代表する大銀行を創設し、金融危機以降経営の立て直しに苦戦を続けてきた両行の将来を巡る不安を払しょくしようとしてきた。

・IHSマークイットのデータによると、ドイツ銀行の5年物劣後クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドは20ベーシスポイント(bp)強上がって約350bpとなり、破談を受けて同行の信用リスクが高まったとみられていることが分かる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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