March 1, 2018 / 2:39 AM / 7 months ago

焦点:イスラエルの仮想通貨、ダイヤモンド取引を透明にするか

[ラマトガン(イスラエル) 7日 ロイター] - イスラエルのダイヤモンド取引所は、現金と密室での合意に支配されていたダイヤモンド市場に新たな息吹をもたらすべく、仮想通貨の導入を進めている。

 2月7日、イスラエルのダイヤモンド取引所は、現金と密室での合意に支配されていたダイヤモンド市場に新たな息吹をもたらすべく、仮想通貨の導入を進めている。写真はテルアビブで2013年撮影(2018年 ロイター/Nir Elias)

だがその手始めとして、伝統的に保守的な市場参加者に、このテクノロジーが役に立つことを納得してもらわなければならない。

ダイヤモンド取引で世界最大級の中心地でもあるこの取引所は、仮想通貨導入により、取引効率が向上し、透明性が改善されると期待する。

現行のダイヤモンド取引は、「双方の合意と最小限の記録に基づき、匿名で行われることが多い」とイスラエル司法省は最近の報告書で指摘。こうした不透明さのため、米連邦捜査局(FBI)とユーロポール(欧州刑事警察機構)は、同取引所が資金洗浄や犯罪資金の調達に利用されているのではないかと目を光らせるようになった。

原石と研磨済みダイヤモンドの利ざやが小さいため、研磨業者が資金確保することは難しく、銀行は融資縮小か、完全に撤退している。

仮想通貨プログラムの賛同者は、仮想通貨の導入によってこうした問題に対処しやすくなる、と考えている。

「物事がやりやすくなり、この通貨に対する支持が得られるものと予想している」。ダイヤモンド取引所のマネージングディレクター、イーライ・アビダル氏はロイターにそう語った。

「この産業は課題に直面している。仮想通貨は多くの側面で、これらの課題に対応することになる。取引の収益性、取引スピード、資金洗浄の問題、昨今の銀行が抱える問題などだ」と同氏は言う。

同取引所が導入を計画しているのは、2種類のコインだ。

「カット」と呼ばれる第1のコインは、ピアツーピア(1対1)で、ディーラーだけが利用できる。世界各国のトレーダーは、身元調査に似た取引所による審査を経た後で、デジタルウォレットを与えられることになる。

それぞれの個別取引はわずか数分で検証され、ブロックチェーン(分散型台帳)で一般公開されるが、誰が何を保有しているかという個人情報の機密は守られる。公的機関からの要請があった場合には、取引所はこの情報を規制当局に提供することができる。

<資金移動の難しさ>

「カット」により、トレーダーとリテーラーのあいだの資金移動を巡って浮上している問題が解消される可能性がある、とダイヤモンドを扱う中堅ディーラーは指摘する。

「資金移動はますます困難になっている。銀行規制に伴い、ごくわずかな金額の移動であっても複雑になった。それに何日もかかることもある」と、このディーラーは匿名を条件にロイターに語った。

「買い手はダイヤモンドを手にするまでは代金を払おうとせず、売り手は代金を受け取るまで、ダイヤモンドを手放そうとしない」

このディーラーは仮想通貨を巡る規制の仕組みを知りたがったが、それには時間を要するだろう。仮想通貨の世界でよく見られるように、同取引所のコインも政府規制の不在の下で導入されているからだ。

暗号通貨の代表格であるビットコインは、12月につけた最高値から今月初旬までに7割も下落しているが、その一端は、グローバル規模での規制当局による取り締まりを市場が懸念していることにある。だがビットコイン支持者の多くは、規制を歓迎すべきだと主張する。

ダイヤモンド取引を管轄するイスラエル経済省の報道官は、取引所が導入するコインに関する規制について、詳細な議論が行われていないと述べている。

「カット」の先行販売は、5日からの国際ダイヤモンドウィークで開始された。取引所向けにコインを開発した創業1年のCARATS.IOのアビシャイ・ショウシャンCEOは、ここから数週間以内にコインの使用が始まるという。

コインの価値は14の変数を用いた指標に基づいているが、現物のダイヤモンドの価格決定に用いられる特性はわずか4つだ。

価格はアルゴリズムによって決定される。というのも、たとえば金はオンス単位で、石油はバレル単位で価格が決まるのに対して、ダイヤモンドは1つ1つ非常に異なるため、個別に価格が決定されるからだ。

そして、第2の仮想通貨コイン「カラット」は、後日発行される予定で、現物のダイヤモンドを保有することなくダイヤモンド市場に投資したいと考える機関投資家や個人投資家を対象としている。

「人々が実際にダイヤモンドの売買を行わずに市場に投資する方法を編み出そうとしている」とショウシャン氏は言う。

両コインの市場価値の4分の1は、第三者が保有するダイヤモンドによって担保される予定だ。ショウシャン氏によれば、こうした体制によって、「他のどの暗号通貨と比べても、変動がはるかに小さい」通貨になるはずだという。

<厳しいセキュリティ>

イスラエルのテルアビブ郊外で厳しいセキュリティで守られた4棟の高層ビル群にあるダイヤモンド取引所では、国内外のトレーダーのあいだで230億ドル相当のダイヤモンドが昨年取引された。

このエリアは「ダイヤモンド地区」として知られており、鉄道を利用する訪問者は、「ダイヤモンズ・ブリッジ」を渡ってアクセスする。

訪問者は指紋を採取された後にビルに入ることを許され、世界最大のトレーディングフロアを見下ろすことになる。ダイヤモンドが1個でも紛失すれば、高層ビル群全体が封鎖される。

イスラエルのダイヤモンド地区には、大粒の最高級ダイヤモンドを専門とする研磨業者がごった返している。もっと小粒のダイヤモンドに関しては、インドや中国における大型取引所に太刀打ちできない。取引はその性質上、グローバルなもので、取引所の脇には、インド最大手行のインドステイト銀行が支店を構えている。

イスラエルからのダイヤモンド輸出は、2017年に12%減の155億ドル(約1兆6600億円)となった。コンサルタント会社ベインの2017年業界レビューでは、デビアスによれば2016年に800億ドルだったダイヤモンド宝飾品販売が「停滞した」と述べている。

同社は、長期需要の減速と研磨業者の不安定な財務状況の2つが大きな懸念だと指摘する。

自身の価格リストが広くベンチマークとして利用され、業界に強い影響力を持つラパポート・グループのマーティン・ラパポート会長は、イスラエル国内の有力者だが、新たなシステムとは競合せざるを得ないかもしれない。

ラパポート会長はダイヤモンド需要拡大に向けた努力を称賛する一方で、暗号通貨は「ちょっとした流行」だと考えており、その持続可能性については確信が持てない、とロイターに語った。

「ダイヤモンドには本質的な価値があり、その価値は何世紀も続いている。その価値を、暗号通貨のように現代的で興味深いものに盛り込めるのかについては、非常に疑問だ」と同氏は述べた。

(翻訳:エァクレーレン)

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